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多彩なイメージエフェクトを搭載したロジクールの130万画素Webカメラ


Qcamシリーズの中ではベーシックなポジションに位置する「Qcam Fusion QVX-13S」。直販サイト価格は8,980円
 ロジクールの「Qcam Fusion QVX-13S」は、パソコンのディスプレイ上部に設置するのにちょうど良いWebカメラだ。コンパクトなボディにカメラとマイクというシンプルな構成ながら、130万画素のCMOSセンサーを採用しており、動画はVGAサイズ、静止画なら最大400万画素まで撮影可能。さらに付属ソフトウェアとの組み合わせで、さまざまな特殊効果を楽しむことができる。Yahoo! Messenger、Windows Live Messenger、Skype(スカイプ)など、ビデオチャットでの利用に活躍する一品である。

 Qcamシリーズは、豊富なラインナップと曲線を多用したユニークなデザインが目をひくが、特徴はなんといっても多彩な映像、音声処理を可能にしているQcamアプリケーションだろう。QVX-13Sも、ソフトウェアとの連携で最大のパフォーマンスを発揮する。

 そして、数ある機能の中で実用性が高いのは、やはりRightLight2とRightSoundだ。RightLight2は周囲の明るさや照明の色を自動的に判断して、画像を最適の画質に保つというもの。特に照明の光量が不十分だったり、逆光で顔が暗く映ってしまう場合など、悪条件で威力を発揮する。自由に動けるノートパソコンに無線LANといった環境には非常に有り難い機能である。

 RightSoundはマイクが拾った音から残響やハウリングを排除し、クリアな音声を伝えるというもの。こちらはウィザードが用意されており、初回起動時に入出力デバイスの選択、アコースティックエコーキャンセレーションの選択、音量調整、テストなどを対話形式で設定してくれる。映像、音声とも、マニュアル設定にも対応しているが、RightLight2とRightSoundを活用すれば面倒な調整とは無縁。いつでもどこでも安定したクオリティのビデオチャットを楽しむことができるのである。

 フェイストラッキングも利用価値が高い。カメラの前にいる人物の目鼻立ちを認識し、顔全体がフレーム内に収まるよう撮影方向やズーム倍率を自動調整するという機能だ。イスの背もたれに寄りかかったり横を向いたりすると、それに合わせてスーっと映像が追いかけてくる。しかも、1人だけでなく、2人3人を同時にトラッキングしてしまうのだ。QVX-13Sはレンズ方向を変えるパン・チルト機構を搭載していないが、ビデオカメラやデジタルカメラの手ブレ補正と似た仕組みでこれを実現しているようである。


Qcamアプリケーションは縦長のツールバー風。さまざまな機能アイコンが並んでおり、操作性はランチャー系のソフトに近い VGA動画をキャプチャ。あえて天井に吊した蛍光灯の直下という悪条件で撮影してみたが、RightLight2のおかげで発色は良好だ

初回起動時にはRightSoundを設定する対話式のウィザードが現われる。もちろん、あとから動作を変更することも可能だ カメラの動作設定。フェイストラッキングを有効にしておくと、パンやチルト、ズームは自動的に調整される

人物の動きに合わせてリアルタイムに動作するアバター。このほか撮影した人物の顔にイラストを追加するフェイスアクセサリーが利用できる
 Video Effectsはフェイストラッキングの画像認識をエンターテイメントに応用した機能だ。これには2種類が用意されている。1つはナマの映像を送る代わりにイラスト風の画像を表示させる、いわゆるアバターである。インターネット上のコミュニティサイトなどで見かけるような単純な静止画ではなく、ユーザーの顔の向きや表情の変化に合わせて動く、リアルタイムアニメーションだ。

 もう1つは撮影中の画像にメガネやヒゲなど、ちょっとしたアイテムを付け加えるというもの。こちらもただのイタズラ描きと思ったら大間違い。アバターと同じく、ユーザーの顔立ちを認識して自動的に表示位置や方向を変えてくれるのだ。なお、どちらもロジクールのWebサイトから追加アイテムをダウンロードして、ライブラリに追加することができる。

 QVX-13SはWindows XPとWindows 2000に対応しているが、高機能なだけにハイスペックなパソコンを要求される。マニュアルによれば、動作環境はPentium 4 1.4GHzまたはAthlon 1GHz以上。RightSound、RightLight2、Video Effectsなどを使用するにはPentium4 2.4GHz以上が必要となっている。つまり、比較的新しいパソコンでなければ、QVX-13Sのパフォーマンスをフルに発揮させることはできないのだ。しかし、古い機種で使えないわけではない。前述したQcamアプリケーションの高度な処理が相応の性能を要求しているのだ。これらの使用を控えれば必要スペックに満たないパソコンでも十分に機能するようである。


思わず見入ってしまうほどリアルな動くアバター。素顔を出すことなく、こちらの表情を的確に伝えてくれる実用的なギミックだ


ロジクールのWebサイトに用意されているアバター用追加データ。比較的リアルなものから奇抜なものまで、バリエーションは豊富だ ファイスアクセサリ用のデータは100種類以上用意されていた。順次追加されているようである

左からカメラ、マイク、インジケータランプという並び。本体は幅約9cmと、非常にコンパクトにまとめられている
 カメラユニット本体は幅9cmほどで、一端が丸く膨らんだスティック状。130万画素のCMOSカメラモジュールは左側の球形部分に収められている。画角はかなり広めに設定されているようだが、映像の歪みは目立たないし、遠近感は損なわれていない。ピント調整不要のパンフォーカス式で、使い勝手は良好。Webカメラとしては非常に優秀な部類に入るのではないだろうか。

 ボディほぼ中央に楕円形のマイク口、右にはロジクールのロゴを囲むようにリング状のインジケータランプが配置されている。スナップショット用シャッターはボディ上部にある細長いボタン。ストロークが長いわりに手応えは軟らかく、押し切る直前に軽いクリック感がある。伸ばした手で操作してもブレを最小限にとどめてくれそうだ。

 また、普段は目立たないが、カメラ左側にプライバシーシェードというちょっと便利なシカケがある。ビデオチャット中に人目を避けたくなったときなど、指先でボディ横から引き起こすとレンズ部分を眼帯のように覆った上で代替画像を表示してくれるのである。単純だが確実でスマートなプライバシー保護機能だ。


カメラのレンズ部分を眼帯のように覆ってしまうプライバシーシェード。この状態ではあらかじめ選んだ代替画像が表示される プライバシーシェード使用中に表示する代替画像。あらかじめ用意されたもの以外にユーザーが撮影した写真画像などを選ぶことも可能

グレーの平たい台形がスナップショット用シャッターボタン。本体とフレキシブルクリップの接合部は自由に角度を調整できる
 QVX-13Sの製品写真を見ると、カメラユニットから垂れ下がったリングのようなものが気になるのではないだろうか。フレキシブルクリップと呼ばれるこの部分、名称から思い浮かべるような、何かを挟みつけるものではない。柔軟なラバーで覆われた、自由に曲げられるスタンドなのだ。

 使用法はカメラユニットの根本近くにある段になった部分をディスプレイなどの角に引っかけるだけ。これでは安定しないように思えるが、輪になった部分を曲げて前後のバランスを取ることができるし、表面のラバーが滑り止めの役目を果たすため、ブレたり落ちたりするようなことはない。また、適度な重量があるため、平たく引き延ばせばデスクの上でも、あるいはCRTディスプレイのような奥行きがあるものの上に置いてもしっかりと安定するのだ。見た目は少々不可解だが使い勝手は非常に良く、感心させられた。


フレキシブルクリップは自由に曲げられるスタンドだ。表面を覆うラバーは軟らかく、滑り止めになるので設置場所を選ばない 液晶ディスプレイのフチに引っかけるように設置。これだけでもフレキシブルクリップを適度に曲げれば意外にしっかりと安定する

関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logicool.co.jp/index.cfm/products/details/JP/JA,CRID=2204,CONTENTID=12674
  ロジクール
  http://www.logicool.co.jp/

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(斉藤成樹)
2006/10/18 11:14
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