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どんな体勢でも使える! ハンディ型トラックボール「ごろ寝リターンズ」


「ごろ寝リターンズ(SGM2)」の実売価格は3,480円前後。Windows XP/Me/2000の標準ドライバで動作する。本体サイズは58×84×64mm(幅×奥行×高)で、重量は97g
 今回のアイテムは、寝っ転がりながら使える“ごろ寝スタイル”対応のシグマA・P・Oシステム販売(シグマ)が発売するマウス、その名も「ごろ寝リターンズ」だ。ただ、普通に思い浮かべるマウスのイメージとはちょっと違う。パソコン用ポインティングデバイスであることに変わりはないのだが、正確に言えばマウスではなく、ハンディタイプのトラックボールだ。

 普通のマウスのように平らな面を必要とせず、手に持ったまま操作できるので、文字通り横たわったままでもパソコン画面上のポインタを動かすことができる。扱いやすさという意味では通常のマウスに1歩譲るが、慣れさえすればある程度素早い操作も可能。肩の力が抜けるポインティングデバイスとして注目したいアイテムである。

 さて。「リターンズ」というからには、過去にベースとなった製品があったわけで、調べてみたところ「SGM-U」というモデルが見つかった。マウスと言うよりはブレスレットに近い外観のハンディトラックボールだ。だいぶ前のことなので、この製品かどうかは思い出せないのだが、筆者は過去にこのタイプのポインティングデバイスを使った経験がある。デスクの上に置くのではなく、手に持ったまま操作するハンディトラックボールとしては非常に良くできた製品だったと記憶している。

 「ごろ寝リターンズ(SGM2)」も、この先代のデザインコンセプトを引き継いでいるのが大きな特徴だ。ただし、外観はブレスレット形ではなく“C”字形。まるで昆虫が丸まっているような、見ようによってはキモイと言えなくもない生物学的な形状である。しかし、単に奇抜さを狙っているのではなく、人間工学に基づいたエルゴノミックデザインとのこと。確かに変わった形状ながら、手に持ってみるとシックリ馴染んでしまう。

 デスクの上に置いて使うことができる「3点倒立デザイン」を採用しているのも特徴の1つ。下部に角状の突起が3つあり、スタンド代わりになるのである。ふと、“倒立”はしないのではないかという疑問が頭をかすめたが、この点は深く考えないことにした(笑)。


正義のヒーローが乗り回すスーパーマシーンというより、エイリアンが持っている光線銃のように見えてしまうのは筆者だけだろうか(笑) 丸まったボディの内側に配置されたトリガースイッチ。横長のシーソー式で普通のマウスの左右ボタンクリックと同様の操作が可能

 基本的な構えは光線銃を持つようなイメージだろうか。大きく張り出した2本の角を中指で巻き込むようにホールド、親指でトラックボールをグリグリと回すのである。ホイールは少々離れた位置にあるが、こちらも親指で操作できる。左右クリックは本体の内側、人差し指がかかる位置にあるトリガースイッチ。あるいはトラックボールの左右にあるボタンを利用しても良い。

 ラメ入りのトラックボールは、直径2cmほどで硬質ゴムのような手触り。光学センサー方式を採用しているだけあって、非常に滑らかで心地良い動きに加え、汚れにも強いという。頂上部分にあるホイールはトラックボールよりもソフトな感触で、伸ばした指先でも確実に回すことができる。内側のトリガースイッチは左右ボタンに対応したシーソー式。珍しい構造だが、ストロークが長く、しっかりしたクリック感があるので誤操作は起きにくい。どちらかといえば親指でトラックボール周りのボタンに触れてしまうことの方が多かった。

 筆者個人としては、寝転がったままでという本来(?)の使い方もさることながら、補助的なポインティングデバイスとしての使い勝手を評価したい。文章入力のようなキーボード中心の作業をしているときは利き手をマウスに持っていくのが億劫だったりするのだ。しかし、本製品を普通のマウスと併用する形でキーボードの側に置いておけば、ちょっと指先を伸ばしただけでポインタが動かせるのである。高さがあるため少々安定性に欠けるのが難点だが、滑りにくい場所なら操作性は悪くない。

 なお、スタンド代わりになる3本のツノ。これにはツボ押し効果があるとマニュアルに記されている。実際、肩や首筋に押しつけると結構気持ちよかったりするから困ったものだ。あとで気づいたのだが、パッケージをよく見ると、このツボ押し効果をアピールするイラストがしっかりと描かれていた(笑)。


手前に大きく張り出た角を中指で巻き込むように構える。この角にはツボ押し効果があるらしく、首筋や肩に押し付けると結構気持ち良かったりする ホイールと右ボタンを同時に押すことで400dpiと800dpiの解像度を切り替えることができる。パソコンとの接続はUSB、ケーブル長は1.5mほどだ

今回試用したSGM2のパッケージ。製品の色によって異なるデザインを採用しているようだ。下のアイコンが描かれた部分にもネタが混入している(笑)

シルバー、ブラック、ホワイト、ガンメタリックと4色のカラーラインナップをモチーフにした壮大なストーリーが展開する特設ページ
 これを余談といってしまって良いのか迷うところだが、本製品にはイヤでも目に付く大きな特徴がある。間違えてオモチャ売り場に置かれてしまっても不思議ではない、強烈なパッケージだ。レトロ感漂うSFチックなイラストに意味不明のコピーが添えられており、いわく「怪電波の調査に向かった『ごろ寝』。待ち構える地下暗黒帝国の驚異!」、裏を返すと「大型化したマッシブなボディからホイール+光学センサーを搭載し多彩な大技を繰り出します」と続くのである。念のためにお断りしておくが、これはあくまでもパソコン周辺機器であって、プラモデルやフィギュアの類では決してない。

 このワケのわからないデザインコンセプトの謎は、製品の特設ページを見れば解けるはずだ。製品をスーパーマシーンに仕立てたアクションストーリーが展開しているのである。製品そのものをキャラクターにしたプロモーションは珍しくないが、ここまで勢い良く突っ走ってしまったものは、そうお目にかかれない。

 物語の主役は親父超一郎さん。いささか後退しかけた生え際とは対照的な、フサフサとした胸毛を露出しすぎるきらいがあるようだが、正義のヒーローらしくなかなかカッコ良い。この超太郎さんが4人の美女とともに悪の組織と戦うというストーリー展開である。物語は4つのエピソードから成り立っていて、それぞれにSGM2のカラーラインナップをモチーフにしたマシーンが登場する。ガンメタリックは空中、ブラックは地中、ホワイトは海中、シルバーは宇宙という具合だ。

 宇宙はともかく、空中、水中、地中で、この形状が乗り物として通用するのかどうか気になるところだが、この「ごろ寝スーパーマシーン」が実に良い味を出しているのである。格納庫に鎮座した迫力満点の機体があるかと思えば、手抜きなのかウェザリング(リアルな雰囲気を出すためにワザと汚れをつけること)なのか判断しかねるチープ感漂いまくりの機体もある。まるで昔懐かしい“かいじゅうだいずかん”を見ているようなのだ。

 特設ページでは「ごろ寝リターンズ」のプロモーションムービーや壁紙なども配布されているので、1度はご覧になることをお勧めする。その上で、このノリに乗っかるか、あるいは無視してなかったことにするか、個人の責任で判断していただきたい(笑)。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sigma-apo.co.jp/front/products/detail/SGM2
  シグマA・P・Oシステム販売
  http://www.sigma-apo.co.jp/


(斉藤成樹)
2006/12/13 10:47
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