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「MY-IPTV」のチューナー付属モデルで海外からテレビ視聴に挑戦


 オネスト・テクノロジーの「MY-IPTV Anywhere」は、自宅のテレビを外出先で視聴できる製品。2006年8月にソフトウェア単体のダウンロード販売が開始された後、11月にはUSB 2.0接続型のテレビチューナーボックス「MY-IP BOX」が付属したパッケージ版が発売された。

 今回、12月4日から8日にかけて香港で行なわれた通信関連の展示会「ITU TELECOM WORLD 2006」を取材した折、MY-IP BOXを接続した自宅のPCへと接続、テレビ番組の視聴を試みたので、その時の模様を交えながらパッケージ版を紹介していきたい。


テレビチューナーボックスが付属した「MY-IPTV Anywhere」パッケージ版

「MY-IPTV Anywhere」のサーバー側画面。ボタンなどは異なるがクライアント側も外観は同等

MY-IP BOXが同梱するパッケージ版の価格は9,800円。対応OSはWindows XP/2000
 MY-IPTV Anywhereは前述の通り、先行して販売が開始されたダウンロード版(標準価格4,200円)、MY-IP BOXが付属するパッケージ版(同9,800円)に加え、ソフトウェアのみを収録したパッケージ「MY-IPTV Anywhere BASIC」(同6,980円)、Webカメラで撮影した映像の配信にも対応する「MY-IPTV&CAM Anywhere」(同14,800円)などがラインナップされている。

 いずれもソフトウェア部分の仕様は共通で、自宅のPCにサーバーソフトを、外出先で使用するノートPCなどにクライアントソフトをインストールすることで、テレビ番組をインターネット経由でストリーミング視聴できる。なお、ダウンロード版および「MY-IPTV Anywhere BASIC」では別途テレビチューナーボードを用意する必要がある。また、本ソフト自体はイニシャルBにて清水氏がすでに取り上げられているので、こちらも是非ご覧いただきたい。

 さて、パッケージ版の特徴はと言えば、やはり前述の地上アナログチューナーを搭載した「MY-IP BOX」が同梱している点だろう。本体サイズは22×63×112mm(幅×奥行き×高)で、ニンテンドーDS Liteを一回り程度小さくしたような大きさ。スタンドも添付されており、縦置き設置にも対応している。

 添付CD-ROMからサーバーソフトとMY-IP BOXのドライバをPCにインストールした上で、MY-IP BOXを添付のUSBケーブルで接続。合わせて、外出先で利用するPCにクライアントソフトをインストールする。接続およびインストール作業に平行して、専用サイトからユーザー登録を行なうことで、ダイナミックDNSの役割を担う「中間サーバー」への登録が完了する。

 また、ダウンロード版の提供開始当初はポート設定を手動で行なう必要があった。しかし、現時点ではUPnPによる自動設定に対応しており、ルータ側がUPnPに対応していれば、ポート設定の作業は不要だ。UPnPによる設定状況はサーバーソフト側の設定画面から確認できる。

 MY-IP BOXはPCと接続するためのUSB端子、音声出力端子のほか、アンテナ入力端子とS映像/コンポジット映像・音声入力端子が備わっている。なお、音声出力端子に関しては、Windows XP SP2であればUSBを介して音声出力が行なわれるため、接続の必要はない。

 S映像とコンポジット映像・音声入力端子は、添付の変換コネクタを利用して1本のケーブルでMY-IP BOXと接続する形になる。入力された映像は、サーバーソフトの設定画面から入力元を切り替えることでクライアントに対して配信が可能になる、クライアント側では入力元の切り替えには対応しない。もちろん、HDDレコーダなどを接続すればテレビ視聴は可能だが、MY-IP BOXに直接接続したアンテナ入力からのテレビ映像との配信は排他利用と言えそうだ。


端子類は本体背面に備わっている。これら対応したケーブルは製品に付属する ニンテンドーDS Liteと比較したところ

専用スタンドで縦置きにも対応。台座部分は角度調整も行なえる UPnPによるポート設定状態は設定画面から確認できる

取材先と宿泊先の2カ所で「MY-IPTV Anywhere」の接続に挑戦

ITU TELECOM WORLD 2006の会場となった「AsiaWorld-Expo」

MY-IPTV Anywhereを利用して日本のテレビ番組を視聴
 取材先の香港で試したのは、宿泊先のホテルと会場に設置されたプレスルームの2カ所になる。

 宿泊先のホテルは、IEEE 802.11b/gによる無線LANインターネットサービスが提供されていた。無線LANアクセスポイントへ接続してしまえば、それなりの通信速度が得られるようでWebサイトの閲覧やメールのチェックといった最低限のことは行なえた。

 しかし、MY-IPTVのクライアントソフトを起動し、サーバー側に接続しようとすると、こちらはサーバーが起動されていない旨のポップアップ画面が表示された。後述するプレスルームでの接続が問題なく行なえたことを考えると、ホテルの無線LANからの通信速度が十分ではなかったか、無線LAN接続速度が常に変動する状態だった点が一因として考えられるのかもしれない。

 一方、プレスルームでは有線LAN環境が用意されており、通信速度も下りで6Mbpsとまずまずの数値。自宅PC側にトラブルが生じていない限り、これならと思い、クライアントからログインを試みたところ、問題なく接続が完了。香港と日本との時差は1時間で、現地で接続した16時30分(日本時間:17時30分)で言えば、ちょうど夕方のニュースが始まった時間。日本にいたところで、まず視聴できない時間帯の番組だったため、仕事の手をとめ、思わず見入ってしまった。

 映像フォーマットはH.264を採用し、画面サイズは320×240ピクセル。配信速度は100~900kbpsで100kbps単位でのマニュアル設定とオート設定の2種類が用意されている。プレスルームでのオート設定時の接続速度は、300~400kbps台。日本で自宅および編集部から試した際は500~600kbps台の速度で接続しており、上限下限ともに低い数値に止まったが、筆者が視聴した範囲では映像品質に大きな不満を感じることはなかった。また、ログイン処理は数秒から5秒程度で、日本での試用時と大きな差はないという印象だ。

 ちなみにWake On LAN(WOL)機能に関しては、筆者のPC環境に起因するせいか上手く動作が確認できなかったため、現地では操作を試みていない。また、リモート録画機能は2006年12月の試用時点ではサーバー側にMPEG-1形式で保存するなどに限られ、外出先でストリーミング視聴できないため、こちらも省略した。


ブロードバンド環境によっては接続できない場合も

専用Webサイトに用意されたチャンネル巡回画像も重宝しそうだ
 渡航に際して、最低100kbpsでも視聴できれば御の字と思ったが、結果的には試用を行なった片方でスムーズに接続が可能だった。一方で、ブロードバンド環境の完備が謳われていても、今回利用したホテルのように現地で試した結果、うまくいかないケースがあることも身をもって実感させられた。こうした際に、どこで問題が発生しているかをもう少し詳しく通知する機能があれば便利だと感じた。

 外出先からテレビ番組を視聴するための製品は、ソニーのロケーションフリーシリーズがヒットして以降、今回試用した「MY-IPTV Anywhere」をはじめ、各社から競合製品が発売されている。香港に渡航した12月を見ても、ノバックからSkypeのビデオチャット機能を利用した「いつでもTV for Skype」の新製品の登場や、アイ・オー・データ機器のテレビキャプチャ製品向けの「どこでもmAgicTV」でもテレビ番組のリアルタイム視聴をサポートするといった動きがあり、自分の環境やニーズを満たせる製品を見つける選択肢が広がっているのは間違いない。

 なお、MY-IPTV Anywhereに関しては、Windows Mobile版への対応やタイムシフト機能、録画した番組のダウンロード機能などの実装が予定されている。当初の予告時期からリリースが遅れている格好となるが、いずれもユーザーの利便性を向上させる機能であり、早期の対応を期待したいところだ。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.honestech.co.jp/products/iptv/
  オネスト・テクノロジー
  http://www.honestech.co.jp/

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(村松健至)
2007/01/10 11:00
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