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使いやすさにこだわった! ユニークな機能を持った2つのマウス


 今回紹介するのは、USB接続型の光学式マウス。コクヨの「JUST ONE」とバッファローの「BOMC-C2/Mシリーズ」である。どちらもポインティングデバイスとしての機能は標準的ながら、使いやすさや使い心地にこだわったユニークなデザインやアイデアが活かされている点が大きな特徴だ。高機能で高性能なマウスが主流の昨今、ヒトに優しいという方向性をあえて選んだ注目に値するアイテムである。


コクヨS&Tの「JUST ONE」。カラーバリエーションはブルー/シルバー/ブラック/グリーン/レッドの5色。実売価格は3,280円前後 バッファローの「BOMC-C2/Mシリーズ」。試用したシルバーのほか、ブラック、レッドの計3色がラインナップされている。実売価格は2,280円前後

ボディサイズを変更できるアタッチメントが付属したコクヨ「JUST ONE」

 JUST ONEは、約800種類ものユニバーサルデザイン製品をラインナップするというコクヨ(発売はコクヨS&T)がリリースしたマウス。デジタルヒューマン研究センターとの共同開発だ。

 特徴は、なんといってもボディサイズが変えられるという点だろう。底面にあるスライドスイッチを動かすと内部のロックが外れ、本体の後半分が取り外せてしまうのだ。この部分は交換アタッチメントとしてS/M/Lの3種類が付属しており、自分の手にフィットするサイズを選んで取り付けられるというわけである。各アタッチメントは、ただ大きさが違うだけでなく、それぞれ異なった形状の3次元的なカットが施されているという非常に凝った作りだ。

 大きさは、1番小さいSサイズのアタッチメントを装着したときで全長121mm、中間のMサイズで127mm。最大のLサイズでは136mmだ。一般的なマウスは110mmから120mm、数多くのボタンをそなえた多機能モデルでは130mm前後なので、中型クラスから大型クラスまでを1台でカバーしていることになる。


S/M/Lの3種類が用意された交換アタッチメント。大きさが違うだけでなく、形状の細かい部分が異なっており、非常に凝った作りだ 普段は見えない部分も、アタッチメントと同色で仕上げられている。接合部は4カ所のツメで確実に固定されるのでガタつきの心配はない

ボディの真ん中付近に設けられた空間。単なるデザイン上のアクセントなのか、あるいは通気等の意味があるのか、ちょっと気になってしまう
 JUST ONEの特徴はアタッチメント式のボディだけではない。そのフォルムも非常にユニークだ。なんと真ん中付近に大きな穴が空けられているのである。この穴から伸びたスリットと、後方から伸びた突起が左側面で重なり合い、フォーミュラカーのサイドポンツーン(前輪と後輪の間の張り出し)を思わせるグリップを形作る。シームレスタイプの左右ボタンが並ぶ先端部は、思い切りよくカットされたシャープなイメージだが、ボディ後方は滑らかなカーブで構成されたソフトなイメージ。空間、直線、曲線が一体となった印象的な非対称デザインである。

 JUST ONEを使って驚かされるのは、手で握り込んだときの感触だ。素材そのものが違うのか、あるいは塗装などの表面処理を変えているのか詳細は不明だが、部分ごとに手触りが異なっているのだ。指先が当たるダークグレーの側面部分はゴムのようなしっとりとした感触だが、手のひらで覆うアタッチメント部分は硬質でドライな感触。また、左右ボタン部分は少しだけザラつきがある指がかりの良さそうな感触なのである。

 しかも、各部の質感が非常に高い。指と平行になるよう傾斜をつけられた左右ボタンは程良いストロークで、軽いながらしっかりとした手応え。スクロールホイールは他の一般的なマウスに比べると径が大きいらしく、不自然に指を曲げなくても確実に操作できる。交換用アタッチメントやユニークなデザインばかりに目がいってしまいがちだが、こういった実際に触れてみなければわからない部分へのこだわりにも注目していただきたい。

 アタッチメントは簡単に交換できるので、用途や気分によって使い分けても良いのだが、自分の手に合ったサイズを探すのはなかなか興味深い作業だ。人それぞれマウスの握り方にはクセがあるようで、単純に手が小さいからSサイズ、大きいからLサイズにすれば良いというわけではないようである。

 筆者は手が大きい方ではないが、3種の中から選んだのはLサイズのアタッチメントだった。まるでマウスにパームレストが付いているようで、なかなか心地良いのだ。全長が136mmにもなるわりにはボディーシェイプがスリムなためか、はじめは太い棒状のものを握っているような違和感があったが、慣れるにしたがって長時間の使用に適したデザインだと実感できるようになった。


ボディ底面。空間の下方にある長楕円形のスライドスイッチを動かすとボディ内部のロックが外れ、後部のアタッチメントが取り外せる ごく自然に手をかぶせてみると、すべての指と手首がムリのない角度に落ち着く。奇抜なデザインだが、やはり非常によく考えられた形状のようだ

ダブルクリック専用ボタンを備えたバッファロー「BOMC-C2/M」

スクロールホイールとダブルクリックボタンの間隔は数mmしかないが、少しズレた配置のためか不用意に押してしまうようなことはなかった
 バッファローから発売されているBOMC-C2/Mシリーズは、ダブルクリック専用のボタンを備えているという、これまたユニークな製品だ。ダブルクリックのためだけに専用ボタンを用意する必要があるのか、ボタンを2度押せば済む話じゃないか、と思われるかもしれない。

 確かにその通りではある。しかし、毎日何時間もパソコンに向かい、何千回となくクリックを繰り返すようなユーザーなら、人差し指にかかる負担が気になってもおかしくはない。筆者など指のこわばりを解消するため、作業の合間に握力を鍛えるトレーニング機器を使っているくらいである。少しでもクリックの回数を減らせるのなら、それは大きなメリットなのではないだろうか。

 パソコンに慣れていないユーザーにとっても意味がありそうだ。筆者は以前、お年寄りにパソコンの基本操作を教えていたことがあるのだが、ダブルクリックを苦手とする方が意外に多かった。考えてみれば、テレビゲーム以前の世代は短い間隔でボタンを2度押す動作など縁遠かったはず。いきなりやれと言われて戸惑うのもムリはない。お年寄りに限らず、マウスを使い始めたばかりの人は指先に力が入ってしまい、タイミングが取りにくい場合が少なくないようだ。BOMC-C2は、そんなクリック数を減らしたい、あるいはダブルクリックを簡単・確実に行ないたいというユーザーにお勧めしたいアイテムなのである。

 BOMC-C2の形状は、シンプルな小判形。左右サイド部に大きな滑り止め用パッドが嵌め込まれているので扱い方の自由度は高い。手の小さい人なら軽く握り込んで、手の大きい人は指先で軽くつまむようにすると良いようだ。シームレスタイプの左右ボタンは軽快な操作感だが、やや先細り気味なので深く握り込むと押しにくいかもしれない。スクロールホイールは幅8mmほど。指先がかかりやすいよう中央部が凹んでいる上、硬貨のフチのような横方向のミゾを刻み込むという工夫が施されている。


左ボタンの上に指を置くと、そのすぐ右側にダブルクリックボタンがくる配置。距離は数mm程度しかないため、指を伸ばす手間は無視できる
 ダブルクリック専用ボタンはスクロールホイールの直前、中央からわずかに左へ寄った位置にある直径5mmほどの赤い突起だ。適度な高さがあるので、いちいち目を向けて確認しなくても指先の感触だけで簡単に探り当てられる。

 使い方は説明するまでもないだろう。左ボタンを2度クリックする代わりに、この赤いボタンを1度だけ押せば良いのである。使い始めは、人差し指を横方向に移動させる手間が難点かと思われたが、左ボタンの位置から数mmスライドさせるだけなので、すぐに気にならなくなってしまう。

 全長98mm。滑らかでクセのないコンパクトなボディは、お年寄りや小さな子どもの手でも扱いやすそうである。手の大きなヘビーユーザーが常用するには小さすぎる気もするが、普段使っているマウスでの操作に疲れたとき、本製品に交換するという予備的な使い方はいかがだろうか。クリックの回数が減らせるだけでなく、握り方を変えることで気分がリフレッシュされるといった効用が期待できる。

 また、今どきのマウスには珍しく、USBプラグをPS/2プラグに変換するアダプタが付属している。新旧のWindowsパソコンからMacintoshまで幅広く対応できるのも特徴の1つといって良いだろう。ラインナップはシルバー、ブラック、レッドの3色。ダブルクリックボタンに加え、ケーブル巻き取り機構を内蔵した姉妹モデル「BOMU-RC2/Mシリーズ」も発売されている。


サイド部に嵌め込まれた紡錘形のパッドは軟らかいゴム製。小さな突起がたくさん並んでおり、指先でつまんでも滑る心配はない 変換アダプタが付属しているので、USBポートだけでなく比較的古いパソコンに装備されているPS/2ポートに接続することができる

マウスの機能自体はシンプルながら、ユーザーの利用シーンに配慮した製品

 今回紹介したアイテムは、どちらもコントロールソフトなどのインストールを必要としない、ごくごくシンプルなマウスである。しかし、手に馴染む心地良さを重視したり、ユーザーが苦手とする操作を補うなど、ユーザーインターフェイスとしての完成度やユーザーにかかる負担を軽減すること重視した製品に仕上げられている。

 近頃では不自然な体勢でマウスを使い続けることによって、指や手首、肘の痛み、重度の肩こりといった障害が起きる、いわゆる“マウス症候群”に陥ってしまう人が増えているという話を聞く。ポインティングデバイスのような、直接触れて操作するアイテムはユーザーとの相性というものがあってもおかしくはないのだ。

 パソコン関係機器と言えば、機能や性能ばかりに気を取られてしまいがち。自分自身の身体や用途に合うかどうかを、選択の基準に含めてみても良いのではないだろうか。


関連情報

URL
  JUST ONE 製品情報(Oh Yeah! さぷらいふ内)
  http://www.sapulife.com/cat01/acces/item/eam_umud2.html
  コクヨ
  http://www.kokuyo.co.jp/
  BOMC-C2/Mシリーズ 製品情報
  http://buffalo.jp/products/catalog/item/b/bomc-c2_m/index.html
  バッファロー
  http://buffalo.jp/


(斉藤成樹)
2007/01/17 11:06
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