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Windows XPからVistaへウィザード形式で簡単引っ越し! 「VistaへGo!」


 Belkinの「VistaへGo!」は、Windows XPを搭載したマシンからWindows Vistaマシンにデータを転送するための“お引っ越しキット”。製品は転送ケーブルとユーティリティソフトから構成されており、データに加えてお気に入りの設定やメールなどを簡単に転送できるのが特徴だ。


USB転送ケーブルとユーティリティのセット

「VistaへGo!」製品パッケージ。実売価格は3,980円
 「VistaへGo!」は、Windows Vista搭載マシンにデータを簡単に移行させるためのもの。Belkinオリジナルの製品というわけではなく、マイクロソフトが提供する移行ツール(関連記事)に転送ケーブルを付加してパッケージ化した製品だ。日本国内では、バッファローやエレコムなどからも同等製品が発表・発売されている。

 前述のように、製品には転送ケーブルとユーティリティを収めたCDの2つで構成されている。転送ケーブルは両端ともオス型のUSB-Aコネクタで、新旧2台のマシンのUSBポートに接続し、データを転送する仕組みだ。

 転送可能なデータは、メール関連(メール/アカウント/アドレス帳など)、マイドキュメント内のファイル、Internet Explorerのお気に入り、Windowsの設定情報など。ただし、メールに関してはMicrosoft OutlookとOutlook Expressのみをサポートしている。

 ユーザーアカウントは、全員分もしくはログイン中の個人アカウントから選んで転送できる。転送対象となるフォルダも任意に追加/削除できるなど、自由度は高い。


専用USBケーブルの両端は、どちらもAコネクタ 2台のマシンのUSBポートに接続して利用する。ケーブル長は2.4mとかなり長め

ウィザードを利用したカンタン設定。設定の自由度も高い

Windows転送ツールをWindows XPにインストールする。Windows Vistaには転送ツールが標準搭載している
 では早速使ってみよう。Windows XPマシンにドライバとユーティリティをインストールし、転送ケーブルをUSBコネクタに接続する。同様に、Windows Vistaマシンにも転送ケーブルを接続する。ケーブルに極性はないので、どちらのマシンに接続しても問題ない。

 ちなみにユーティリティをインストールするのはWindows XPのみ。Windows Vista側は標準搭載する「転送ツール」を利用する。このため、ユーティリティのインストールは不要だ。

 転送ケーブルで2台のマシンを接続すると、転送ウィザードが起動するので、画面の指示に従って転送対象のアカウントやフォルダ、設定を選択する。転送先のドライブやアカウント名を変更する場合もここで行なう。転送対象の選択が終われば、転送が開始。これら一連の操作はWindows XP側で主に行ない、Windows Vista側は送られてきたデータを受け取るだけになる。


USBケーブルを接続するとウィザードが起動。Windows Vista側も同じタイミングでUSBケーブルのもう一端を接続する 両マシンのケーブル接続が確認されたのちは、Windows XP側で操作を続ける 転送アカウントは自由に設定可能。他人のアカウントもまとめて転送できるが、転送先でログインするためには個々のパスワードが必要になる

 転送作業中は、2台のマシンは操作できない状態になり、アプリケーション等を起動した場合には転送が中断する。また、転送するファイルが数十GB単位となると、当然ながら転送にそれ相当の時間を要する場合もある。従って、作業開始はタイミングを見計らって行なった方が良いだろう。

 転送終了後は、Windows Vistaマシンでログイン作業を行なう。すでにWindows Vistaに存在するアカウントを上書きしたのであれば、そのままログインできる。新しいアカウントの場合は、パスワードを設定したのちログインする。

 ログイン後は、お気に入りなど各種設定の移行が完了しているかを確認しよう。ちなみに、移行ファイルのレポートも表示されるので、どのファイルを移行したかは後日でも参照できる。なお、Windows XP側のデータは移行作業後も保持されており、厳密に言えば移行ツールというより、コピーツールと考えた方が理解しやすいだろう。


転送アカウント名の重複を避けるため、新規に名前を設定することもできる。上書きも可能だ 転送可能なファイルを確認している際の画面。時間を要する場合もしばしばあった 転送対象となる具体的なフォルダの一覧。ここで不要なフォルダのチェックを外したり、新規に追加したりする

転送先ドライブを指定することも可能 移行先のディスク容量が少ない場合には、アラートが表示される 転送開始。ちなみに同梱のカラーチラシには転送時間として「30GB=33〜100分」という目安が記されているが、ややアバウトすぎる気がしないでもない

転送が完了した後の表示。実際にはこの時点ですべての転送が終わり、あとはWindows Vista側でログインするだけなのだが、表示はなぜか「転送する準備ができました」となっている 転送完了時の画面。転送したユーザーアカウントの数、ファイル数、プログラム設定の数などが表示される 具体的な転送内容のレポートも作成される。保存ボタンを押すとHTML形式で保存される

転送中のエラー発生時に原因通知が行なわれないことも

何度か試した限りでは、大容量ファイルは転送に失敗する確率が高かった。個人的には、写真や動画などのファイルには、直接コピーしたほうが良いのではないかと思う
 作業自体はウィザード形式を採用していることもあってスムーズに進められたが、設定内容を変えて何度か試すうちに気になる挙動もいくつかみられた。

 1つは、転送中に何度かエラーが発生し、作業が中断した点。その際、ディスクの容量不足など根本的な原因がある場合を除き、中断された理由が表示されない場合が多く、いったん作業を終了して最初からやり直す必要があった。

 最終的には、転送対象の項目を減らすことで正常に転送が完了したのだが、果たして容量の問題だったのか、それとも特定のフォルダが起因してエラーが発生していたのかは、最後までわからなかった。また、エラーが発生して転送が中断した場合でも、Windows Vista側には新アカウントが作成されていたりと、挙動が安定していない印象を受けた。

 マイドキュメント配下にある大量のデータを一晩かけてコピーする場合など、最後の最後でエラーが出るのは、かなりストレスが溜まる。それだけに、対処方法の明示とまではいかなくても、原因表示機能は欲しいところだ。


ディスク容量の警告を無視して続行するとこうなる なんらかのエラーで転送が中止された際は、このようなメッセージが表示された

転送ツール開始前の状態。Windows Vista側とWindows XP側で画面デザインが同一なので、見分けがつきにくい
 また、移行作業中は新旧それぞれのマシンにウィザード画面が表示されているのだが、これらの画面デザインが同一であるため、どちらがWindows XPでどちらがWindows Vistaなのか、見分けがつきにくい。特にデスクトップマシン間の移行においては、同じディスプレイを共用するケースも考えられるだけに、画面の色や文字でどちらのマシンかを判断できるようにするなどの配慮が欲しかった。

 このほか、同梱のクイックインストールガイド(冊子)に掲載されている画面が英語版という点も気になった。本製品のターゲットとなるのは、手作業での環境移行作業に自信がない初中級ユーザーであるはずだ。そうした意味で、手順を示す冊子の画面が英語版というのは、製品メリットそのものを否定するようなものだ。

 この点はメーカー側も認識しているようで、クイックインストールガイド内で「日本語版のウィザードは、2007年2月末までには弊社Webサイトよりダウンロードが可能です」とアナウンスされている。ただ、原稿執筆段階(3月10日現在)では、同社Webサイト上にこれらのダウンロードのアナウンスは(遅延の連絡も含め)一切ない。こうしたメーカーの姿勢には、やや疑問を感じないでもない。


各自に適した移行方法を知った上での選択肢の1つとして

Windows Vistaインストール時に表示されるセットアップ画面。左下にファイル/設定転送のガイドがある
 後半はやや苦言を呈したが、そもそもがOSメーカーの純正機能を利用していることもあり、信頼感は全般的に高いと言える。サードパーティ製アプリケーションの設定移行はサポートされないが、これは製品の性格上仕方ないだろう。むしろ、階層が深く普通ではなかなか探し出せない設定ファイルを手軽にコピーできるメリットを評価すべきだと言える。

 一方、これら移行作業は本製品を利用しなくても、ネットワーク経由やDVD、USBメモリ経由でも行なえてしまう。Windows Vistaのインストールディスクに含まれる転送ツール、あるいはマイクロソフトのWebサイトからダウンロードできる転送ツールを用いることで、まったく同じ手順で転送が行なえるのだ。

 となると、本製品のメリットは「ネットワークがない環境でも利用できる」という1点に限られてしまう。新旧いずれのマシンもネットワークに繋がっているのなら、本製品をわざわざ購入する必要はないのかもしれない。

 しかし、本製品の意義はWindows Vistaへの環境移行時にネットワークや物理メディアを利用しない選択肢を提供することにあると思われる。確かに、家庭内ネットワークが構築されていなかったり、DVDなどのメディアを利用した移行ができないユーザーにとっては、オールインワンで使える便利な製品だろう。手間と時間が大幅に節約できることを考えれば、数千円という価格も妥当と言える。

 ただ、1回使っただけで他用途に転用できない製品を購入することに、抵抗を感じる人もいるだろう。本製品はWindows Vistaマシン同士のデータ転送もサポートしているのだが、現時点に限ればそうした需要はあまり多いとは思えない。

 そもそも新しいマシンへ移行する際は、アカウントを新しく作り直したほうがクリーンな状態で使えると考えるユーザーもいるはずである(筆者がまさにそうだ)。また、Windows XPをWindows Vistaにアップグレードするのであれば、こうした移行作業の必要がない。従って、自身の利用シーンに適した移行方法を確認した上で、選択肢の1つとして本製品の購入を検討するのも良いだろう。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.belkin.com/jp/catalog/desktop/usb/f5u258.htm
  ベルキン
  http://www.belkin.com/jp/index.htm


(山口真弘)
2007/03/14 11:03
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