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SkypeやGoogle Talkを搭載! 無線LAN利用のパーソナル端末「mylo」


mylo。ソニースタイル限定販売の製品で価格は39,800円
 海外で先行発売されたソニーのパーソナルコミュニケーター「mylo COM-1」が日本でも発売された。IEEE 802.11bの無線LANが利用できる場所ならどこでも、インターネットを通じた音声通話や文字メッセージの送受信、WebブラウジングやWebメールが利用できるという携帯端末である。

 しかも単なるコミュニケーションツールにとどまらず、mylo間の通信をはじめとして、音楽、動画、静止画を再生、表示するメディアプレーヤー、テキストエディタといった多彩な機能を備える。携帯電話なみのサイズに重量約150gと持ち歩いても負担にならない新しいタイプのポータブル機器だ。

 myloの外観は、そのままスライド式のスマートフォンとしても通用しそうなもの。ソニー製品と言うと、どうしてもPSPのイメージと重なってしまうが、myloはより曲線が強調された個性的なデザイン。ボディの真ん中に配置されたディスプレイは2.4インチ、バックライト付きの65,536色のQVGA液晶である。近頃の携帯電話と同等のスペックとも言えるのだが、横長方向に固定された表示のためか、少々雰囲気が異なっている。

 ディスプレイを押し上げるようにスライドさせると、QWERTY配列の小さなキーボードが現れる。基本的には両手でボディの左右端を持ったまま親指2本を使ってキーを押すことになるので、パソコンと同じように文章をタイプできるというわけではないが、手応えのないタッチパネルではなく、しっかりしたクリック感のあるボタン式。しかも、携帯電話と同様の予測変換機能を搭載しているため、素早く効率的な文字入力が可能となっている。コンパクトながらテンキー方式のようなもどかしさはない。


本体色はブラックとホワイトの2種類。なお、FON専用無線ルータ「La Fonera」とのセットも同額で販売されている キーボードはパソコンなどと同じ標準的なQWERTY配列。非常にコンパクトだが、しっかりしたクリック感があるボタン式だ ボディの上側面にはメモリースティックDuo/PRO Duo用スロット、USBポート、ヘッドホン接続ケーブル用の端子が並ぶ

 キーボード以外の操作は、ディスプレイ横にあるリング状の4方向ボタンと中央の決定ボタンが中心だ。ディスプレイに表示される階層メニューとポップアップメニューを組み合わせた、ポータブル機器としてはスタンダードな操作感と言って良いだろう。音楽や動画再生のためのジョグレバーや音量調整ボタン、誤動作防止用のホールドスイッチなどは別に用意されているほか、ボディ上部にはパソコン接続用のUSBポートとマイク・ヘッドホン用ケーブルを接続するポートがある。また、外部ストレージとしてメモリースティックDuo/PRO Duoに対応したスロットを装備している。


音量調整ボタンとスライド式のホールドスイッチはボディ裏。左右端の透明なリングはイルミネーションを兼ねたインジケータランプだ 音楽再生や動画再生で利用するジョグレバー。ボディ下側面のくぼんだ位置にあるので不用意に触れてしまうようなことはなかった 音楽を再生するとディスプレイに楽曲データが表示される。付属のヘッドホン接続用ケーブルはマイクと着信応答スイッチ付き

「What's Up」画面。アドホックモードの通信先、Skypeの通話先、Google Talkのアカウントを登録すれば、一目でオンライン状況を確認できる
 パーソナルコミュニケーターを名乗るだけあって、コミュニケーション関係の機能は充実してる。パソコンで利用者が多いSkypeを内蔵。音声通話をはじめとして、文字メッセージの送受信やファイル転送などがmyloだけで可能なのである。音声通話を行なうときは、ボディ右側のスピーカー部を耳に当てる携帯電話のようなスタイル、あるいは付属のマイク付きケーブルに接続したヘッドホンを使うスタイル、どちらにも対応する。アカウントはmyloから簡単に取得できるので、新たに用意しても良いし、パソコンで使っているものをそのまま流用しても良い。

 さらに、Googleが提供するGoogle Talkも内蔵している。こちらは別途パソコンなどでアカウントを取得しておく必要はあるが、後述する内蔵WebブラウザからGoogleのWebメールサービスであるGmailも使えるようになるため、利用価値は非常に高いと言えるだろう。

 myloでは、こういったコミュニケーション機能を「What's Up」という画面で集中管理できるのが大きな特徴となっている。あらかじめSkypeの通話先やGoogleのアカウントを登録しておけば、それぞれがアイコンとして表示されるのだ。ここから各ユーザーのオンライン状況が一目で確認できる上、そのままSkypeやGoogle Talkを起動して会話を始めるといったこともできてしまうのである。

 myloに搭載されているWebブラウザは外箱のロゴマークから判断するとOpera系のようである。使用感は、やはり携帯電話のフルブラウザに近い。表示はなかなか高速で、画面にフィットするようレイアウトを変更したり、50%から150%までの拡大や縮小が可能。パソコン用のページがすべて表示できるとは限らないが、JavaスクリプトとCookieが利用できるので、ログインが必要なページなどにも対応する。初期状態のブックマークにはGoogleのGmailが登録されており、メールの送受信が可能だった。このほか、SNSの「mixi」やレーベルゲートが運営するミュージックコミュニティ「playlog」に参加することもできる。


利用者の多いSkypeを搭載。パソコンと同じように音声通話が可能なだけでなく、文字メッセージの送受信やファイル転送にも対応 別途パソコンからアカウントを取得すれば、Googleの文字メッセージサービスGoogle TalkやWebメールサービスのGmailが利用できる 内蔵Webブラウザは画面にフィットするようレイアウトの変更したり、50~150%までの範囲で縮小、拡大表示が可能

アドホックモードでは他のmylo内にある音楽データやプレイリストを受信して、ストリーミング再生できる
 myloにはコミュニケーション機能のほかにメディアプレーヤーとしての機能も備わっている。内蔵の1GBフラッシュメモリ、またはスロットに差し込んだメモリースティックDuo/Pro Duoに保存した音楽やビデオ、画像データの再生が可能なのだ。音楽はATRAC/MP3/WMA、ビデオはMP-4、画像はJPEG/PNG/BMPに対応。さらに、カット&ペースト機能を備えたテキストエディタを装備しており、ちょっとした文章の編集までこなせてしまう。

 SkypeやGoogle Talk、Webブラウザといったコミュニケーション関係の機能は、すべて無線LANを通じ、インターネットへ接続することで実現されている。一般に広く使われているIEEE 802.11bに準拠しているので、自宅やオフィスなら普段使っているアクセスポイントに接続できるし、外出先でも公衆アクセスポイントを利用することができる。

 注目したいのは、普段インターネットへ接続するインフラストラクチャーモードに加え、mylo同士が直接通信するアドホックモードを備えている点だ。このモードではmylo内の曲データやプレイリストを送信、別のmyloで受信してストリーミング再生することもできるのだ。自分が選んだ曲を他の人に聴かせられるという、なんだか音楽番組のナビゲーターにでもなったような気分が味わえてしまう、myloならではの楽しい機能である。

 パソコンとの接続はUSB。USBフラッシュメモリやカードリーダー・ライターと同じように、mylo内のファイルをパソコンのエクスプローラなどから読み書きできるMSC(マスストレージクラス)モードのほか、Windows Media Player 10などの楽曲データ転送に対応したMTP(Media Transfer Protocol)モードにも対応する。


テキストエディタでは文字サイズを3段階に変更できる。予測変換機能を搭載しているので、ストレスのない文章入力が可能だ 付属のソフトウェア「mylo Launcher」。ここから「mylo Image Transfer」「mylo Tools」「SonicStage」「Image Converter」が呼び出せる mylo Image Transferではパソコン内の画像データをmyloのディスプレイに合わせてリサイズ、転送することができる

 贅沢を言えばカメラを搭載して欲しかったところだが、ポータブルなコミュニケーター、メディアプレーヤーとしては十分以上の機能を搭載していると言って良いだろう。筆者個人としては、携帯電話に足りない部分を補完するという点でも非常に役立ってくれたというのが実際に使った感想である。どちらかといえばエンターテイメント系アイテムという印象が強いが、家族や友人同士だけでなく、ビジネスマンのコミュニケーションツールとしても利用価値が高そうだ。

 パッケージには本体、バッテリー、ユーティリティCD-ROMのほか、マイクと着信スイッチが付いたヘッドホン接続用ケーブル、USBケーブル、ACアダプタ、それにキャリングポーチが同梱されている。ヘッドホンやストラップなどは付属していないが、ウォークマンやPSP用のアクセサリーを流用しても良いだろう。mylo専用オプションとしては、吉田カバン製のキャリングケースなんていう、なんともそそられるアイテムが用意されている。


mylo Toolsではファームウェアのアップデート、データのバックアップとリストア、各種設定をパソコンから行なうことができる 裏蓋内のリチウムイオン充電池。ACアダプタのほか、USBバスパワーでも充電可能。連続駆動時間はSkypeの通話で約3.5時間、音楽再生では45時間 厚手でクッションが効いたキャリングポーチが付属。ヘッドホン接続ケーブルは本体とカラーコーディネートされている

関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/Mylo/
  SonyDrive
  http://www.sony.jp/

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(斉藤成樹)
2007/03/28 11:17
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