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レシーバの存在を意識させないロジクールのモバイルマウス「VX Nano」


極小レシーバーがセットになったモバイル用ワイヤレスレーザーマウス

製品本体。ロジクールオンラインストア価格は9,980円。右下にあるのが超小型のUSBレシーバーだ
 ロジクールの「VX Nano Cordless Laser Mouse for Notebooks(VX Nano)」は、モバイル用に設計されたワイヤレスマウスだ。3つの拡張ボタンを装備し、レーザー方式で高い読み取り精度を誇るハイエンドマウスである。

 最大の特徴は、超軽量、超小型のUSBレシーバーにある。USBコネクタよりも短いレシーバー本体は、USBポート装着時の突出部がわずか8mmで、取り回しが悪かった従来のワイヤレスマウスのレシーバーのイメージを大きく覆すものだ。同社では「プラグ・アンド・フォーゲット(抜き差し不要)」というキャッチコピーで、その小ささをアピールしている。


正面から見たところ。筐体自体はクセのない素直な形状 側面にはラバーグリップを採用し、ホールド感は高い

拡張3ボタンや「MicroGearプレシジョンスクロールホイール」を搭載

実際に持ったところ。前方にある2つの拡張ボタンは人差し指で操作する
 筐体は左右対称ではなく、右手専用のデザインだ。もっとも、奇をてらったデザインというわけではなく、自分の手には握りやすくなじみやすい。ロジクールのマウスは製品ごとに握り心地が大きく異なっており、ユーザーの好みに左右される部分が大きいが、本製品は万人に受け入れられやすいデザインではないだろうか。左右側面はラバーグリップを採用しており、ホールド感も高い。

 通常の左右ボタンに加え、拡張ボタンを3つ装備している。ホイールの手前にある拡張ボタンは、「ワンタッチ検索ボタン」と呼称され、デフォルトでは検索エンジンへのショートカットが割り当てられている。後述するユーティリティ「SetPoint」を使えば、任意の動作を割り当てることも可能だ。

 左前方にある2つの拡張ボタンには、デフォルトでは戻る/進むボタンが割り当てられている。これらのボタンは親指ではなく、人差し指で操作するレイアウトだ。モバイルユースでは不安定な姿勢で操作することも多いため、親指で本体をがっちりとホールドした状態でこれらのボタンを操作できるのは、非常に理にかなった設計であると言える。


ホイール手前には拡張ボタン×1を装備。デフォルトでは検索エンジンへのショートカットが割り当てられている リアビュー。左前方に拡張ボタン×2を装備しており、右手で操作する

 ホイールについては、従来モデル「VX Revolution」で採用する「MicroGearプレシジョンスクロールホイール」を搭載している。これは、高速回転の「ハイパーファストスクロールモード」と通常回転の「クリック・トゥ・クリックモード」を切り替えることで、通常のスクロールはもちろん、上下に長いWebブラウザの画面や、数千~数万行もあるワークシートなどを一気にスクロールできるという機能である。

 従来モデルの場合、ハイパーファストスクロールモードとクリック・トゥ・クリックモードの切替は底面のスイッチで行なっていたが、本製品ではホイールクリックで行なうように改良されている。いちいちマウスを裏返すことなく直感的に切り替えられるようになった反面、ホイールクリックに任意の機能を割り当てて使用したいユーザにとっては、やや難のある割当となっている。

 なお、従来モデル「VX Revolution」にあったズームキーは、本製品では省略されたようだ。


筐体はやや重いが手に馴染みやすい。拡張キーは任意に割り当て可能

裏面のレイアウト。単4形電池2本で駆動する。センサー穴はやや本体右寄りだが、使いにくいというわけではない
 それ以外のスペックについても、ざっと見ておこう。レーザーセンサーの解像度は800dpiで1,000dpiが多いレーザーマウスとしてはやや低めだが、実用上特に支障はないだろう。

 電源は単4形電池を2本使用する。本体の重量は電池含め95g、電池なし73gで、同じ電池本数を使用するエレコムの「M-D9シリーズ」の重量(電池なしで49g)と比べると倍近くあるが、実際に使ってみるとそれほどズッシリくるといった感じはなく、手になじみやすい。むしろ、最近の軽すぎるマウスに違和感を感じているユーザーには歓迎されるかもしれない。

 電池の持ちは公称6カ月で、2.4GHz帯を採用したワイヤレスマウスとしては比較的長い部類に入る。従来モデルに搭載されていた、本体側のLEDで電池残量を表示する機能は省略されているが、ユーティリティ「SetPoint」上で残量をチェックできる。

 マウスを使用しない際は、本体底面のプッシュボタンで電源をオン・オフできる。このボタン、誤操作がないように若干へこんだ位置に設けられているのだが、押した時の手ごたえがあまりなく、やや押しにくいように感じる。個人的にはスライドスイッチのほうが好ましいと感じた。

 セットアップは、一般的なロジクールのマウスと同じく、添付のCD-ROMからユーティリティ「SetPoint」をインストールする。「SetPoint」では、マウス自体のプロパティのほか、前述の拡張ボタンへのファンクション割り当てなどが行なえる。ファンクションは独自のキーストロークの割り当ても可能で、Firefoxの「タブ切替(Ctrl+Tab)」と「その逆(Ctrl+Shift+Tab)」を割り当ててみたが、特に問題なく使用できた。


使用しない際は裏面の電源ボタンをオフにしておくことで、電池寿命を延ばせる 電池残量はユーティリティ「SetPoint」で行なえる

存在をまったく意識させないレシーバー。マウス本体、ホイールの操作感も良好

ノートPCにレシーバーを装着したところ。当然ながら左右のポートには干渉しない
 製品を実際に使ってみると、USBレシーバーの存在をまったくといって良いほど意識しないで良いことに驚く。突起が1cmを切っているので当然と言えば当然なのだが、一般的なワイヤレスマウスのように、レシーバーがどこかにひっかかったり、手にぶつかったりしないよう意識する必要がまったくない。当然のことながら、左右のUSBポートに干渉することもない。まさに異次元の使い心地だ。

 このレシーバー、装着したままノートPCを持ち運べるだけでなく、バッグにノートPCを収納する際も、そのまま収納できるというメリットがある。本製品は、本体裏側にレシーバーを内蔵できるスペースが設けられているが、実際に収納して持ち運ぶ機会はほとんどないのではないかと思われる。

 無線については、伝送周波数帯域として2.4GHz帯を使用していることもあって、途切れなどはまったく感じられず、有線マウスと変わらない使い心地を実現している。個人的には、筐体にとがった部分が少ないこともあり、布の上などで操作しても引っかかるということが少ないのが有り難い。


突起はわずか8ミリ。装着したままの状態でバッグに入れても問題ない 本製品最大の特徴とも言えるレシーバー。サイズは14.4×18.7×6.1mm(幅×奥行×高さ)という極小サイズで、重量はわずか2g

 実際に使っていてやや難があると感じたのが、拡張3ボタンのクリック感があまりよくない点だ。いわゆるマイクロスイッチではなく、タクトスイッチで、「カコッ」という押し応えなのである。個人的にはマイクロスイッチならではの「カチッ」とした押し応えのほうが使いやすいと思うが、個人の好みにも左右される部分であり、全体的に見れば些細な問題だと言える。


エレコムのワイヤレスマウス「M-D9シリーズ」(右)との比較。本体はVX Nanoが一回り大きいが、レシーバーサイズはVX Nanoの圧勝だ USBレシーバー単体での比較

モバイル用ワイヤレスマウスとしては最高峰。競合他社はどう出るか

耐衝撃性に優れるというキャリングポーチやUSB延長ケーブルが付属する
 1週間ほど試用してみたが、久々に破壊力のある製品に出会ったというのが率直な感想だ。ワイヤレスマウスといえばレシーバーの存在を意識しなければいけなかったのが、本製品においてはそれがまるでない。モバイル用というカテゴリにとらわれず、ワイヤレスマウスとして最高峰の製品であると言って差し支えないだろう。あえて不満点と挙げるとすれば、ブラック以外のカラーバリエーションが欲しいとか、そのくらいしか思い浮かばない。

 価格は実売9,000円台と、決して安価であるとは言い難いが、それだけの価値がある製品だと断言できる。むしろ、これだけハイエンドな製品が1万円以下で入手できることは驚きであり、ワイヤレスマウスが「食わず嫌い」な状態にあるユーザーにも、1度は試して欲しい製品だ。

 余談だが、本製品が採用する超小型のレシーバーについては、今後本製品と張り合える他社製品が出てくるのか、心配になってしまうほどだ。個人的には国内サードパーティー各社の奮闘に期待したいところだが、「Nano」の名を冠したこのサイズに合わせることは容易ではないだろう。半年後、1年後といったスパンで見て、ワイヤレスマウスのレシーバーの「標準サイズ」がどう変化していくかにも注目したい。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logicool.co.jp/index.cfm/mice_pointers/mice/devices/3271&cl=jp,ja
  ロジクール
  http://www.logicool.co.jp/


(山口真弘)
2007/10/03 11:09
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