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光って踊れるサウンドエンターテインメントプレーヤー「Rolly」


「Rolly」。ソニースタイルでの価格は39,800円。全長103mm、幅65mmで、バッテリーを含めた重量は約300g
 今回のアイテムは、あちこちで話題になっているソニーの「Rolly(SEP-10BT)」である。音楽を視覚的に表現し、みんなで楽しめるという新しいタイプのデジタルオーディオプレーヤーだ。

 注目すべき点はやはり、モーション機能だろう。仔猫やハムスターを思わせるサイズのボディが腕をパタパタさせながらチョコマカと動き回るのである。ただ単に音楽を聴くだけにとどまらず、見ていて楽しいパフォーマンスを繰り広げてくれるエンターテインメント性あふれる製品だ。

 本体は全長10cmあまりのタマゴ形。本体色はキラキラとした光沢があるパールホワイトだ。ボディ取り巻くように、柔らかいラバー製のホイールが2本。両端にはスピーカーを覆うようにお椀形のアームが取り付けられている。重量はバッテリー込みで約300g。小さくかわいらしい外見に反し、手に持ってみると意外にズッシリとした手応えがある。

 スライド式の電源スイッチを入れ、プレイボタンを押すと左右のアームが羽を広げるようにゆっくりと開き、曲の再生が始まる。なかなかドラマチックな演出だ。プレイボタンを2度プッシュするとモーション機能が働き出し、その動きはとても軽快だ。小さいとは言え、300gほどもあるボディを数個のモーターを緻密に連携させてスピーディーかつスムースに動かしているのには驚かされる。AIBOやQRIOで培われたロボット制御技術が活かされているのだろう。


さまざまな色に光るイルミネーションは2本のホイールの内側と上部にある楕円形プッシュボタンの周りに組み込まれている 頂上部にあるボタンは長楕円形。1度押すと通常の曲再生、ダブルクリックのように2度続けて押すとモーション再生が始まる

Rollyのモーション動作例(MOV形式


モーションを視覚的に編集する付属ソフト「Motion Editor」。ソニースタイルのページではお試し版が配布されている
 モーションは付属のソフト「Motion Editor」を使い、ユーザーの思い通りの動きをプログラミングすることができるし、Rolly本体やパソコンで曲調を解析、自動的に踊らせることもできる。また、ソニーでは一般のユーザーが作成したRollyのモーションを公開するシェアサイト「Motion Park(URL)」を開設しているので、ここからデータをダウンロードしても良いだろう。

 普段、デスクや床の上にガラクタが散乱しまくっている筆者の場合、あまり動かれてしまっては困ると思っていたのだが、普通のモーションなら30cm四方ほどのフラットなスペースがあれば十分に楽しめる。モーターの動作音が少々大きめなので音楽の再生音量を絞っていると耳についてしまうのが残念だったが、レゲエやラップなど、比較的メリハリのハッキリした曲で踊るのを見ていると楽しい気分になる。

 ゆるやかな強弱があるクラシック、または落語や朗読などに凝った動きをつけるのも奥が深い。モーションは動きの面白さだけでなく、例えばアームを開けばクリアな音、閉じればこもった音というようにサウンドに表情がつけられるし、ボディの向きを変えれば左右の音量差、前後に動かせば遠近感が作り出せるのだ。実をいうと筆者は曲に合わせた動きより、こちらの効果音的な使い方にハマり、かなりの時間を費やしてしまった。


「Motion Editor」ではモーション編集のほか、効果音や音声ガイドなどRolly本体の設定なども行なえる Motion Parkでは他ユーザーとモーションファイルを交換することが可能だ

本体を立てると下側のアームが自動的に閉じる。この状態でホイールを回せば選曲や音量調整、上下に振ると再生モードが切り替わる
 Rollyは操作性にも特徴がある。電源のスライドスイッチ以外にはプッシュボタンがたった1つあるだけで、液晶ディスプレイなどもないのだ。選曲や音量調整は床に置いてボディそのものを動かしたり回したりするか、あるいは手に持って振ったり、ホイールを回すことによって行なうのである。ソニー製品でお馴染みのジョグダイヤルを大胆にアレンジ、発展させた直感的で覚えやすい操作だ。

 筆者の場合、ディスプレイを確認しながらボタンを押すという動作に慣れきっているせいか、多少の違和感はあった。操作したという手応えが稀薄に感じられてしまうのだ。音声や効果音のガイダンスがあるとは言え、選曲もやりやすいとは言えない。もちろん人にもよるが、やはりRollyは音と光と動きのコラボレーションを楽しむ新しいタイプのプレーヤーであり、従来の選曲して再生という使い方とは方向性が異なっていると考えた方が良いのかもしれない。

 Rollyにはヘッドホン出力端子はなく、ボディ両端に20mm径のネオジムスピーカーを内蔵している。水平対向という少々トリッキーな配置だ。出力は最大1.2W+1.2W。さすがに迫力があるとまでは言えないが、中音域が聴き取りやすい驚くほどクリアな音質である。このクラスの小口径スピーカーでは中高音ばかりが目立ってしまう場合が多いが、Rollyでは床面からの反射音を利用し、低音域を補強する仕組みが採用されている。筆者としては柔らかいカーペットなどの上に置いたときのヌケの良い音も捨てがたかったのだが、できるだけ硬い木製のデスクやフローリングの床面に置いた方がサウンドに厚みが出るようである。


20mm口径のネオジムスピーカーは左右が逆を向く水平対向配置。床面からの反射音を利用して低音域を補強している 電源のオンオフとBluetoothモードを切り替えるスライド式スイッチ。フタ付きのUSBコネクタはミニBタイプだ

バッテリーは本体中心部に収納。残りのわずかなスペースに多くの部品を詰め込んだ設計には感心させられる 別売のクレードルならAC電源からの充電が可能だが、本体付属のスタンドは不用意に転がらないようにするためのものになる

 楽曲データはウォークマンなどと同様、USBケーブルでパソコンと接続、「SonicStage CP」を利用して内蔵フラッシュメモリに転送する方式だ。容量は1GB。メモリカードスロットがないのは残念だが、ポータブルプレーヤーのように大量の楽曲データを記録しておく必要がないため、特に不満は感じなかった。また、Bluetoothを利用して、パソコンや携帯電話のワイヤレススピーカーとして利用することもできる。コンパクトながら非常にクリアなサウンドなので、こちらの用途でも利用価値が高そうである。

 電源は容量1,560mAhのリチウムイオンバッテリー。一般的な携帯電話用バッテリーの倍ほどの容量だが、通常の再生ならフル充電で約5時間、モーションを利用しても約4時間という長時間の連続動作を実現している。ACアダプタなどは付属しておらず、充電はパソコンのUSBポートから行なわなければならないが、オプションのクレードルがあればAC電源からの充電が可能だ。なお、パソコンとの接続中やウェイクアップタイマー機能の使用中はモーションが働かないので、ケーブルがからみついたりテーブルから転げ落ちるような心配はない。


設定した時刻に指定した曲を再生するウェイクアップタイマー機能。Rollyを目覚まし時計がわりにすることができる Rollyに内蔵されているフラッシュメモリは容量1GB。楽曲データはウォークマンなどと同じく「SonicStage CP」で転送する

 本体の実売価格は39,800円前後。充電専用クレードルやソフトキャリングケース、予備バッテリーパックといった別売オプション品を組み合わせた場合には5万円近くなるだろう。

 しかし、この小さなタマゴ形ボディの中にデジタルオーディオプレーヤーやスピーカー、USBやbluetoothといったインターフェイス類、加速度センサーや発光ユニット、数個のモーターとギア、さらに大容量のバッテリーまで収められているのである。デジタルデバイスと精密なメカニズムが融合した製品としては納得できる価格だ。単純に音楽を聴くというよりは、動くインテリアやオブジェとして部屋に飾ったり、あるいはAIBOのようなマスコットやペットとして身近に置いておきたくなるようなアイテムである。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/rolly/
  SonyDrive
  http://www.sony.jp/

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(斉藤成樹)
2007/10/10 11:07
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