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USBポートを16ポート搭載! センチュリーのUSBハブ「16ポートHub名人」


業界最多の16ポートを搭載したUSBハブ

「16ポートHub名人」のパッケージ。製品の実売価格は9,800円前後
 現在市販されている「USBハブ」と言えば、一般的な製品で4ポート、モバイル用途の一部製品で2ポート、というのがここ数年の主流である。一部メーカーでは、7ポートモデルなどもラインナップしているが、売れ筋はあくまで4ポートで7ポートモデルは品揃えの域を出ない。

 一方で、近年のUSBに対応した機器の多様化に伴い、多ポートのUSBハブ需要が増していると考えられるのも事実だ。特に、携帯電話や各種ポータブルデバイスのUSB充電対応は、こうした状況に拍車をかけていて、安定した給電能力を持つ多ポートハブはニッチながらもニーズは存在していると考えられる。

 今回紹介するセンチュリーの「16ポートHub名人(CHM-16P)」は、4ポートモデルの実に4倍にあたる16ポートを搭載したセルフパワータイプのUSBハブだ。筆者の知る限り、過去に国内周辺機器メーカーから登場した製品としては最多のポート数である。また、単にポートが多いだけではなく、USB切替器としての機能を備えている点もポイントだ。


無骨なデザイン。筐体は見た目の印象よりもコンパクト

製品本体。両側面に8ポートずつを備える。筐体は約356gで、ズッシリと重い
 筐体は約1.5mm厚のアルミ製で、本体色はシルバー1色。これでもかと言わんばかりの無骨さ、そしてネジが露出していることもあってか、工業製品チックなオーラを身にまとっている。重量も約356gと、一般的な4ポートハブが100g以下であるのと比べると、どっしりと重い。

 電源は本体内に内蔵しており、俗に言うメガネケーブルでコンセントに接続する。物理的なオン・オフスイッチが付属している点も昨今のUSBハブとしては異色だ。

 USBポートは、本体側面の左右に8ポートずつ配置されている。ポートはタテ向きに並列配置されているため、USBコネクタ部に厚みのある製品はやや差し込みにくいかもしれない。もっとも、こうした場合に1ポートずつ飛ばして接続しても合計8ポート使用できるわけで、圧倒的なポート数であることに変わりはない。

 4ポートハブの4倍のポート数と言うことで、とてつもなく巨大な筐体サイズを想像してしまいがちだが、上記のようなポート配列のせいもあり、実際はかなりコンパクトな作りをしている。本体サイズは116×63×67mm(幅×奥行×高)で、例えるならば大きめのACアダプタと言ったところだろうか。液晶ディスプレイの脇に置くにはやや高さがあるかもしれないが、それでも設置場所に困ると言ったほどではない。

 ただ、両サイドにポートを備えるため、双方のポートを確実に使用する場合や、後述の切替機能を使う場合には、それなりに設置幅が必要になるので、前もってスペースを確保しておきたい。


電源は内蔵型。いわゆるメガネケーブルで電源を供給する格好だ 左側面。電源スイッチを備えているのは、最近のUSBハブでは珍しい

2台のPCで切り替えて利用可能。ストレージの接続には注意

 ハブとしての使い勝手は他のUSBハブ製品と同様になる。そこで、ここでは切替機能を中心に見ていきたい。

 USBポートが配されている左右の両側面には、アップストリームポート(USB Bコネクタ)が1ポートずつ、合計2ポートが備わっている。このポートに対して、それぞれ異なるPCとUSBケーブルで接続し、セレクタースイッチを手動操作することで、ハブの接続先PCを切り替えられるのだ。

 これによって、最大16台ものUSB機器を切り替え利用できるわけで、抜き差しの手間がかからなくて済むのは非常に有り難い。用途としてはニッチかもしれないが、PC本体だけを交換して使うような環境、例えば筆者のようなハードウェアの評価ライターや、ソフトウェア・ハードウェアを問わずサポートを行なっている環境では、機器を1つずつ抜き差しする必要がない本製品は、作業効率の向上という面で強い味方になってくれそうだ。

 また、現在市販されているキーボード・マウス・ディスプレイの複合切替器(KVMスイッチ)では、ホットキーを装備したUSBキーボードや、4ボタン以上を装備したUSBマウスなどは正常に動作しない場合が多い。そうした場合に本製品にUSBマウスやキーボードを接続し、ディスプレイとは別に接続を切り替えるというのは良い方法でないかと思われる。

 なお、HDDやUSBメモリと言ったストレージ機器については、物理的なスイッチで切り替えるのは不安な面がある。こうしたストレージ機器は「ハードウェアの安全な取り外し」を経由せずに抜き差しするのは推奨されていないわけで、本製品にストレージ機器を接続している場合には切り替え機能の利用は避けた方が良いだろう。従って、切り替え機能を利用する場合は、上述のようにマウスやキーボードと言った入力機器を接続する利用シーンが中心になるだろう。


右側面。シンメトリックなデザインだ 側面のセレクタスイッチで接続先PCの切り替えが可能。切り替え機能にフォーカスした場合、ホットキーでの切り替えという要望はあるかもしれないが、価格を考えるとやむを得ない点だろう

実売9,800円前後と決して高くはない価格帯。細かなブラッシュアップにも期待

 本製品が特筆すべきなのは、実売価格が9,800円前後とそれほど高価ではない点だ。もちろん、USBハブ単体としては高価な部類に入るが、2,500円前後で販売されているセルフバスパワー対応の4ポートハブを4台購入した場合を考えると、それほど高価という印象は受けない。多くのポート数を求めるヘビーユーザーから見れば、それほど抵抗のない価格設定ではないだろうか。

 ただ、細かい使い勝手の面で気になる部分もあり、その1つが「脚がない」点だ。通常、こうした機器には放熱処理と滑り止めを兼ねてゴム脚が付属しているが、USBハブのような筐体が軽い製品の場合はゴム脚があっても、接続したUSBケーブルに引きずられてしまうこともある。

 一方で、本製品のように重量があれば同様のケースはあまりなく、「ケーブルに引きずられない」点が1つのセールスポイントになると考えられる。そういう意味で、ゴム脚シールなどが付属していれば製品の訴求点が増えたことを考えると少々もったいない気もする。


 現状ではこうした部分も含め、自ら訴求点を見つけられるパワーユーザー向けの製品という評価になる。しかし、現時点でニッチな製品とは言え、多ポートUSBハブの需要が今後高まっていくのは間違いないと思われるので、細かなブラッシュアップにより訴求点が強化された後継製品の登場にも期待したいところだ。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.century.co.jp/products/hub/chm_16p.html
  センチュリー
  http://www.century.co.jp/


(山口真弘)
2007/10/31 11:12
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