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HDDを立てて使える! センチュリー「裸族のお立ち台」


「裸族のお立ち台」の直販価格は3,980円前後。なお、直販サイトによれば、USBハブ搭載モデルも11月下旬に発売されるようだ(URL
 センチュリーの「裸族のお立ち台(CROSU2)」は、SATA型のHDDをUSB経由でPCと接続できるようにするアダプタだ。「お立ち台」というネーミングが示す通り、HDDを装着した状態を見ると台の上で直立しているかのようなユニークな外見である。

 これまでも、SATAやIDE型のHDDをUSB接続に変換するアダプタや外付ケースは多数存在したが、クレードルのように上から差し込めるようにした製品は初めてだろう。ごくごく単純な発想でありながら、リムーバブルケースなどを追加購入することなく、手軽にHDDを抜き差し可能にしたアイディアは高く評価できる。


iPod Dockに似た仕組み。本体はズッシリと重い

製品本体。当然ながらHDDは付属しない
 本体は黒一色で、同梱品はACアダプタと電源ケーブル、USBケーブルと至ってシンプルな構成。後述するようにOSの標準ドライバを使用するため、ドライバCDなどは付属しない。

 外観は、iPod用Dockの大型版といった印象。上部にはHDDを差し込むスロットがあり、背面にUSBケーブルと電源ケーブルを接続する仕様になっている。背面には電源スイッチも備わっている。また、上部のスロット部手前にはアクセス状態を示すLEDを搭載する。

 上部スロットを覆うフタには左上に切り欠きがあるが、これは2.5インチのHDDを装着するためのものだ。3.5インチタイプを装着する場合、このフタがバネで押し下げられる仕組みになっている。このため、2.5インチ、3.5インチいずれのドライブでも、アダプタなどを装着することなく、裸の状態のまま接続することができる。細部までよく工夫されていると感じる部分だ。

 電源は本体内蔵型ではなく、ACアダプタと電源ケーブルを組み合わせて使用する。ACアダプタは標準的なサイズと言えるが、電源ケーブルの長さは約2m。アダプタと接続するケーブル長も約2mあるので、合わせると4m超の長さになる。大は小を兼ねるとは言うものの、ちょっと異常な長さだ。

 重量は約630gで、かなりズッシリしている。もっとも、重ければ重いほど安定するだけに、どうせなら前述のACアダプタではなく、電源内蔵にして欲しかったと思う。


正面から見た図。スッキリとしたデザイン 背面から見た図。左端にあるのが電源スイッチ

背面から見たところ。USBケーブル、電源ケーブルの2本を接続する 同梱品はACアダプタ、電源ケーブル、USBケーブルと至ってシンプル

標準ドライバで動作可能。HDDの抜き差しも非常にスムーズ

3.5インチのHDDを装着したところ。余談だが、ベアドライブを保管する場合は、同社「裸族シリーズ」の収納ボックス「裸族の村」を使うのも手だろう
 使い方は至って簡単。ベアドライブを上部のスロットに挿入し、あとはUSBケーブルでPCと接続するだけ。取扱説明書を読む必要すらないシンプルさだ。

 SATAをUSBに変換しているだけなので、Windowsの標準ドライバでそのまま利用できる。フォーマットに関しても、通常の外付けや内蔵型HDDの使い勝手と変わらない。当然のことながら、Macなどでも利用できる。

 差し込む際に相当の力が必要に思えるが、HDD自体の重さもあり、実際にはかなり容易に挿入できた。取り外す際は、上から引っ張るだけではコネクタが破損してしまう可能性もあるため、本体前面のレバーを押下し、下から押し上げる必要がある。しかし、これもかなりスムーズに取り外すことができた。筆者としては、抜き差しでもっと苦労すると思っていただけに、実際使ってみてやや意外だった。使い勝手としては、かなり優れていると言って良い。

 そもそも、内蔵HDDを接続するためのSATAコネクタは、頻繁な着脱を前提とした規格ではない。本製品の説明書にも、SATAコネクタが定める着脱保証回数を超えた場合、HDDとしての品質が保証できなくなる旨の注意書きが書かれているが、SATAコネクタはIDEコネクタのような固さがあるわけではないため、それほど無理な力が加わるわけではない。

 さらに本製品の場合、電源コネクタは4ピンDCコネクタではなく、SATAの7ピンコネクタで給電するため、取り外しの際に加わる力は軽微であると思われる。一般的な利用形態であれば、コネクタ部の寿命はそれほど気にしなくても良いのではないかと思う。

 ちなみに本製品はホットスワップには非対応だ。従って、PCの起動中に取り外したい場合は、タスクトレイから取り外しを実行して本製品の電源をオフにし、その上でベアドライブを交換して再度電源を投入する手順になる。このあたりはリムーバブルケースを使う場合と手順は同じだ。


上部のスロットを指で押し下げたところ。内部にあるSATAコネクタが見える HDDを取り外す際は、前部にあるボタンを押しながら、上方向に引っぱる。それほど固いわけではなく、スムーズに抜くことが可能だった

完成度の高さが光る秀逸な製品。個人的にはIDE版を要望

 バイト単価などを考慮し、HDDをカートリッジのように利用しているユーザーは多いはずだ。これまでであれば、それらの着脱にはリムーバブルケースを利用するのが一般的であったが、「裸族のお立ち台」はそうした使い方を一変させる可能性を持った製品だ。

 ネーミングのユニークさと、着脱の容易さばかりが注目されているが、HDDの両面が露出していることで、放熱面でも非常に優れている点も見逃せない。そもそも、HDDが故障する際、熱が原因となっていることは非常に多い。その点からも、本製品は非常に理にかなった構造を持っていると言える。

 そして何より、本来のHDDでは想定されていない使い方であるにもかかわらず、それをまったく意識させない完成度を誇る点が秀逸である。外見こそギョッとさせられるものの、使い勝手については文句のつけようがなく、抜き差しもスムーズに行なえる。価格も実売4,000円程度と安く、動画データなどを多数ストックしている自作ユーザーを中心にオススメできる製品だ。

 ところで、個人的にはSATA版だけでなくIDE版の発売も希望したいところだ。しかし、SATA接続の本製品を利用してみて、コネクタを抜き差しする際の固さなども考慮すると、IDE版の製品化は難しいのではないかと感じた。IDEコネクタの抜き差しに必要な力はSATAコネクタのそれとは段違いであるし、IDEのHDDが店頭からほぼ姿を消した現在では、こうしたレガシーなアイテムの企画は困難かもしれない。

 もっとも、古い資産を生かしたいユーザーからそうした要望が出てくるのは、ごく自然なことだと思う。シリコン製のケース「裸族の服」のときのように、競合他社も含めて同じジャンルのアイテムが今後拡充されていくことを期待したい。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.century.co.jp/products/s-razoku/crosu2.html
  センチュリー
  http://www.century.co.jp/


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(山口真弘)
2007/11/21 11:05
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