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インストール機能で快適度アップ! PSP用ソフト「みんなの地図3」


 本来であれば娯楽が目的であった携帯ゲーム機に、脳トレや雑学クイズ、電子書籍などのように実用性を前面に打ち出したソフトが登場して久しい。ソニースタイル・ジャパンとゼンリンが発売する「みんなの地図3」も、その1つ。カーナビやWebサービスなどでお馴染みのデジタル地図をPSPで閲覧、ナビゲーション用途に利用できる地図ソフトだ。

 2006年4月に第1弾を発売して以降、順調にバージョンアップを重ねており、本作ではメモリースティック Duoへのインストール機能を搭載。また、施設などの検索用データベースも強化された。

なお、今回試用したバージョンはベータ版となるため、4月25日に発売された製品版とは一部仕様等が異なる場合もあるので、あらかじめご了承いただきたい。


注目のインストール機能~スクロール快適度が確実にアップ

インストール、GPSによる測位などに対応した「みんなの地図3」。価格は6,090円
 新しいモノ好きならまず注目したいのが、インストール機能。PSPではセーブファイルなどを保存するためにメモリースティック Duoを利用している。インストール機能では、メモリースティック Duoに地図データをコピーして、地図表示に当たっての読み込み時間の短縮化を図っている。

 PSP用ソフトはダウンロード作品を除けば、光学メディアであるUMDで提供されるため、フラッシュメモリなどと比べると読み込みに時間を要してしまう。しかし、インストール機能を使うことで、この点を改善してくれるというわけだ。

 インストール作業も難しいことはない。本作はディスク2枚構成となっており、DISC 1からソフトを起動して、システムメニューから「インストール」を選択。そして、インストール専用データディスクになるDISC 2にディスクを入れ替えて、インストールを進めていく。

 インストールの際には、複数の組み合わせからデータをコピーできる。例えば、DISC 2に収録する全国の広域地図と、約1,100都市分の詳細地図データをすべてインストールすることも行なえる。この場合、必要な容量は約1,734MBだ。

 また、広域地図だけや、詳細地図だけのインストールも可能だ。詳細地図ではエリアを指定したインストールが行なえ、関東1都6県を指定した場合には347MBの容量で済む。どの程度の範囲をインストールしたら良いかわからない場合には、まずは自分が居住するエリアだけでもインストールしておけば良いだろう。

 なお最大容量のインストール時には約40分ほど必要だが、初回1度だけ行なえば良い作業となるため、それほど気にならないだろう。


インストール作業はシステムメニューから選んでいくだけ 都道府県を指定して詳細地図をインストールすることも可能

地図インストールによって、スクロールや縮尺変更時の高速化が実感できる
 さて、インストール後の使用感についてだが、派手さはないものの、着実な効果が随所から伺えた。その中で、1番わかりやすいのは表示地点を変更した際に発生するディスクアクセス回数の減少だ。

 例えば、方向キーを押し続けるとカーソル移動に伴って地図がスクロールするわけだが、データを未インストールの場合には一定エリアまで表示が進むと、UMDアクセスのために一瞬ながらスクロールが停止してしまう。しかし、インストールを行なっておけば、停止の状態が発生しなくなる。少しの違いとはいえ、ちょっとしたフラストレーションを溜めなくてすむ。

 また、縮尺変更時でも快適さを実感できた。本ソフトの場合、9段階ある縮尺レベルの中で、レベル1とレベル2が建造物の形も確認できる詳細地図、レベル3以降が広域地図となっている。そして、データインストール時には、詳細地図と広域地図の切り替え時に発生するUMDアクセスが抑制されるようになる。

 こうした縮尺変更はデジタル地図のキモと言える部分で、少しの間とは言え読み込み時間が発生してしまうのは気になる点だ。しかし、データをインストールしておけば、この点を改善でき、体感スピードの向上は大きいと言える。

 一方、地図インストール機能は、詳細地図の表示エリアを拡張させる意味合いもある。ディスク容量の都合上、DISC 1にはすべての詳細地図は収録されていないようで、埼玉県を例に説明すると、さいたま市はインストールをしなくても詳細地図が確認できるが、秩父市や久喜市ではDISC 2のデータをインストールすることで初めて詳細地図が確認できるようになる。こうした点からも、メモリースティックの容量が許す限り、データをインストールしておくことをお薦めしたい。

 なお、当然ながらソフト起動時にはDISC 1が必ず必要になる。PCソフトなどのように可能であればディスクレスで起動したいのが人情ではあるが、この点は致し方ないだろう。


インストール有無によって、詳細地図エリアが広がるのは見逃せないポイントだ。埼玉県久喜市の場合、未インストール状態ではレベル3の縮尺までしか地図を表示できない インストールすることでレベル1の表示が可能。表示から情報量の変化がわかる

GPSと無線LANで現在地を特定できる

測位が成功すると画面中心のポインターが丸印になり「現在地モード」に切り替わる。上記写真は、大宮駅西口周辺を歩いてみたところだ
 別売のGPSレシーバーを利用することで、前作同様に現在地を測定できる機能を備えている。土地勘のない、見ず知らずの場所に訪れた場合などには便利な機能と言えるだろう。

 ただ、GPSを利用した現在地測位は、時間がかかるのが難点だ。GPSレシーバーの取扱書によると、当日最初の測位ではすべてのGPSをサーチするため、数分を要するという。また、数時間後に再利用する場合も同程度の時間がかかるとされている。なお、サーチ中は移動しないことが推奨されている。

 実際に利用してみるとわかるが、自分の体の前にPSP本体を持ったまま、GPSレシーバーのアンテナを数分間、天空と水平に保つのは厳しい。このため、サーチ作業を行なう場合には、遮蔽物のない開けた場所のテーブルなどにPSP本体を置いて、実施するのが前提になるだろう。

 サーチが無事終了すると、「現在地モード」に移行する。これ以降は、定期的に再測定を行ない、履歴を地図上に表示してくれるようになる。この状態になれば、PSP本体を体の前に固定せず、アンテナを隠さない程度に片手持ちした状態でも、ある程度の測定は可能なようだ。

 なお、サーチの進行状況を示すチャートもあるが、測位失敗を示す黄色いアイコンが点滅したのちに、急に測位成功の青アイコンへと変化し、果たして正常に作業が進んでいるのか判断しにくい点は気になった。


GPS測位の状況は、衛星型アイコン(画面右上)の色で判別できるが、正常に進行しているか判断しにくいのが気になった
 GPS以外にも現在地測定方法が用意されており、それがPlaceEngineを活用した方法になる。PlaceEngineは、無線LANの電波情報を利用して位置情報を推測する技術。PSPの無線LAN機能を利用するため、GPSレシーバのような外部機器の必要はない。また、即位も短時間で完了する。

 なお、当然ではあるがPlaceEngineのデータベースに収録されているエリアでなければ利用できない。データベース自体は一般ユーザーの協力によってアップデートされ続けているが、現状では都市部でのみ使える手段になるだろう。

 とは言え、測位から結果表示までの速度が素早い点は魅力と言え、エリア内外を問わず数秒程度で結果を表示してくれる。大宮駅西口周辺で試したところ、測位作業は問題なく完了できた。現在値に関する精度はGPSに比べて落ちる場合があるものの、PlaceEngineで大まかな位置を特定し、あとは手動で地図をスクロールさせた方が、素早く行動ができるかもしれない。また、GPSとは異なり、地下街の移動時などにも活用できる点も合わせてお伝えしておく。


電波をイメージさせるアイコン(画面中央)は、PlaceEngineで測位した最新の地点。また、青い丸印は測位を行なった場所の履歴を示している GPSとPlaceEngineのどちらを優先するかなどはオプションで指定できる

ルート探索、地図検索機能の実用性は?

方向者ルート検索機能。スタート・ゴールを示すアイコンが見える
 「歩行者ルート検索」も試したい機能の1つ。これは、スタート地点とゴール地点を設定することで、その間のルートを表示してくれる機能だが、本作では従来の半径3kmから10km程度の範囲で探索が可能になった。場所指定はユーザーが行なえるので、GPSやPlaceEngineを使わなくても探索できる。

 言ってみればカーナビ的な機能ではあるが、例えば「次の交差点を右折」などのようなリアルタイムの案内は行なわれない。あくまで移動ルートを知る上での目安的に提示する機能だと覚えておこう。なお、GPSによる現在地測位機能を使用すれば、ある程度カーナビの代替用途としても使用できる。ただし、画面に注視した状態での利用は大変危険な行為なので、周囲に十分注意を払って使用して欲しい。


Myブック機能を使えば、お気に入りのスポットを登録しておける
 本ソフトではこのほか、地図を活用するための機能として「Myブック」機能がある。気になった場所を「Myスポット」としてコメントとともに保存できるもので、実質的なブックマーク機能と言える。

 Myブックは複数作成も可能で、1個目はお気に入りの飲食店、2個目は友人に教えてもらった店舗一覧用として作成し、随時切り替えられるといった用途にも耐えうる。

 また「ガイドブック」機能は、メモリースティックを介してPCと連携する機能になる。こちらでは、有料の観光ガイド情報や、PC向けのソーシャルマップサービス「PetaMap」で作成したスポット情報を取り込むことができる。


メニューを選んでいくだけで、ほとんどの地図検索機能が利用できる
 加えて、みんなの地図3では地図検索機能の充実も図られ、ファミリーレストランやカフェ、銀行といった業態を指定した周辺店舗の検索が可能になった。前作までは駅名や住所からしか検索できなかったため、大きく進化したポイントと言えるだろう。

 一方、気になった点は、地図上のアイコンに関するヘルプ文章がない点だ。一般的な地図記号などは直感的にわかるのだが、あまり馴染みのないコンビニ店チェーンの看板を模したアイコンなどは即座に理解できない場合もある。可能であれば、カーソルをアイコンに合わせることで、簡単な補足説明を表示する方法や、凡例などのヘルプをPSP上で確認できれば便利だと感じた。


「紙の地図」の代替にぴったり

地図表示はカスタマイズが可能
 以上、筆者が使用した範囲では幾つか気になる点はあったものの、地図の操作性自体に関してはしっかりと作り込まれている印象を受けた。地図のインストール状態にかかわらず、スクロールは非常に滑らかで、カーソルキーを押した分だけ表示範囲がリニアにスライドする感覚は心地良い。また、LRボタンで地図を回転させ、同時押しで回転方向をリセットできるといった小技もきっちり抑えられている。

 地図検索などに利用するメニュー関連もキビキビと動作してくれ、反応の遅さなどを感じることは少ない。文字入力が必要なシーンは、駅名検索やMyスポットのコメントなどを登録する程度で、ほとんどのメニューはカーソルキーで操作できる。ゲーム機に慣れたユーザーであれば、戸惑うことはほとんど無いだろう。

 一方、今回強化された施設情報に関しては、さらなる充実を望む声も出てくるかもしれない。ナビゲーションという面では、カーナビや携帯電話では目的地の電話番号を入力するだけで場所を検索できる機能などが一般的だけに、今後「みんなの地図」シリーズにも同様の対応を求められそうだ。

 ただ、みんなの地図を「普段持ち歩く紙の地図」の代替品として考えた場合、その魅力は大きいだろう。電車での移動時や食事休憩後のちょっとした隙間時間にサッと取り出し、スピーディーな操作性を活かして手早く目的地を探すという用途は十分可能なはずだ。また全国主要地域の詳細地図が確認できて、6,090円という設定設定もお得感がある。

 メモリースティック Duoの低価格化によって、地図データインストールの敷居も低くなった。手持ちのPSPをより有効に活用するためのツールをお探しなら、本ソフトを1度試してみる価値はあるだろう。



関連情報

URL
  製品情報(ソニースタイル)
  http://www.jp.sonystyle.com/Nws/Mob/Map/Press/index.html
  製品情報(ゼンリン)
  http://www.zenrin.co.jp/product/minchizu3.html

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(森田秀一)
2008/04/30 11:16
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