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手書きメモをその場でデジタル化! プリンストン「デジタルインクパッド」


プリンストンの「デジタルインクパッド PTB-DIP1」。クリップボード型のユニークな手書き入力デバイスだ。直販サイト価格は19,800円
 パソコンで絵やイラストを描かない(描けない)筆者にとって、タブレット系のポインティングデバイスには縁が薄い。しかし、プリンストンテクノロジーの「デジタルインクパッド PTB-DIP1」は、ちょっと気になる存在である。

 デジタルインクパッドは、単体で動作する手書き入力デバイスで、一般的なタブレットとは異なり、使用時にパソコンと接続する必要がない。このパッドの上に用紙を載せ、専用のペンで文字や図形を書き込むと、それがデータ化されて内蔵フラッシュメモリやSDカードに保存される。このデータをあとからパソコンに転送、付属ソフトウェアでテキスト変換などの処理を行ない、多目的に利用することができるのだ。

 また、会議やミーティングの内容を音声データとして保存する録音機能を搭載。パソコン接続時にはタブレット式のポインティングデバイスとしても機能する。ビジネスユースを念頭に置いたユニークな携帯端末型の入力機器と言えるだろう。


手書き入力時はクリップに挟んだA4用紙全面、タブレットとして使用するときは用紙の下半分ほどが読み取り範囲となる パッケージには本体と専用ペンのほか、ソフトウェアを収めた3枚のCD-ROM、USBケーブル、替え芯などが同梱されている

付属の専用ペンは、普通のボールペンとしても使用可能。ノック機構が電源スイッチを兼ねているので、芯を収納しておけば誤動作の心配はない
 デジタルインクパッドはフラットなプレート状。主な使い方が似ていることもあり、単票用紙を束ねて挟み付け、メモなどをとるときに使用するクリップボードにそっくりだ。サイズはA4用紙より少し大きい横250mm、縦350mm。ただし、厚さは約12mm、重さは650gほどある。下部には小さな液晶ディスプレイとタッチスイッチのアイコンが並んでいることからも、普通のクリップボードでないことは一目瞭然だ。

 デジタルインクパッドのクリップに用紙を挟んで何か書き込んだのち、電源を切るとデータが内蔵メモリに保存される。USB経由でパソコンと接続して確認すると、まるでイメージスキャナで取り込んだ画像のようである。筆者は必要な手書きのメモをパソコンに取り込み、ファイルとして保存することがあるが、普段使用しているスキャナよりもはるかに手軽でスピーディーだと感じた。なにしろ、普通にペンで文字や図形を書き、ボタンを押すだけなのだ。手書きのメモをテキストに起こす手間を省きたいビジネスマンや、素早いキーボード入力が苦手なユーザーにぴったりである。

 読み取り可能な距離はプレート面から13mm以内。通常のメモ用紙やプリンタ用紙なら1枚の厚さは0.1mm程度なので、100枚以上重ねても使用できる計算になる。プレート上での読み取り範囲は8.5×10インチで、ちょうどA4用紙の大きさだ。スペック表によると読み取り性能は分解能0.0254mm、精度0.42mm、速度150psで、一般的なタブレットと同等といって良いだろう。

 細かい文字を素早く書き殴っても、しっかりと読み取ってくれるので安心感がある。筆圧を検出して強弱表現をつけるといった機能はないが、メモや議事録などのオフィスワークはもちろん、パソコンで描くイラストの下書きや、ちょっとしたスケッチにも応用できるだろう。なお、パソコンに接続したままタブレットとして使用する場合は下半分、A5横程度のスペースが読み取り範囲となる。


プレート下部には小型の液晶ディスプレイが配置されている。左右にある操作アイコンは専用ペンでタッチする方式だ 上側面の左側にミニBタイプのUSBポート。クリップは頑丈な作りで、100枚程度の用紙を重ねて挟み込むことができる

左側面には電源スイッチやオーディオ入出力端子などが並ぶ。内蔵マイクは便利だが、手書き入力時にペンの擦過音を拾いやすいのが難点
 デジタルインクパッドの大きな特徴は、やはりコードレスで利用できるという点だ。本体に32MBのフラッシュメモリを内蔵、これにA4用紙約100枚分のデータを保存できる。加えて、最大2GB容量のSDカードに対応したスロットを備えているため、容量に関する心配は無用だろう。電源は内蔵のリチウムポリマー電池。USBバスパワーによる充電式だ。接続中はタブレット型のポインティングデバイスとしても使用できるので、充電のためだけにパソコンを起動させておくといったムダを省くことができる。

 マイクと録音機能が搭載されているのも特徴の1つ。WMA形式のモノラル記録のみではあるが、ICレコーダとして会議やミーティングを録音したり、あるいは音声メモをとるといった用途なら不便は感じない。横の入力端子に外部マイクを接続すればペンと用紙が擦れる雑音を排除できるし、ヘッドホンやスピーカーユニットを接続すればMP3データなどのステレオ再生が可能。SDカードにデータを入れておき、オフィスワークの合間に好みの曲を楽しむといった使用法も考えられる。

 デジタルインクパッドへの入力には専用ペンを使用する。パッケージに同梱されている黒色ペンは光沢のあるクラシカルなデザインの油性ボールペンだ。内部には電子回路が組み込まれていて、芯を出すノック機構がスイッチを兼ねている。電源はPR48というボタン型バッテリ。直径8mm足らずの小さな空気亜鉛電池だ。補聴器などで使用されることが多いらしく、家電店などのほか、コンビニエンスストアなどでも手に入る。

 今回は試用できなかったが、付属の黒以外にオプションとして赤、青、緑のカラーペンが用意されている。直販サイトでの価格は3,980円。インクの色が異なるだけでなく、ペンを替えれば記録されるデータの線色も変わるというから、なかなか面白そうだ。各色取り揃えれば色エンピツのような感覚で使い分けられるだろう。なお、替え芯についてはゼブラの油性ボールペン用「4Cシリーズ」が使用できるそうである。


32MBの内蔵メモリに加え、2GBまでのSDカードにデータを記録できる。左側面にあるスロットにはプッシュロック機構が組み込まれている バッテリパックは本体裏の小さなカバーの中。ここには替え芯やスタイラスペンとして使用するための樹脂製交換芯も収納できる

 デジタルインクパッドには、OSがタブレットに対応していない場合に必要となるドライバを含め、計6種類のソフトウェアが付属している。「MyInk」は、デジタルインクパッド内に記録されているデータをパソコンで閲覧したり、保存ファイル形式を変換するためのアプリケーション。本体をUSBで接続すると自動的に起動するメインプログラムだ。

 「MyScript Stylus」はタブレットでの手書き入力を文字データに変換、「MyScript Note Basic」は画像データ内の文字を読み取ってテキストに変換するアプリケーションである。このほか、Power Pointと連携する「Power Presenter」、WordやExcelと連携する「Free Notes & Office Ink」も付属。Windowsの種類や環境によっては不要だったり動作しない場合もあるが、必要なものだけを選んで個別にインストールすることが可能だ。

 ちなみに、最低限必要となるタブレット用ドライバとMyInkは、Windows Vista/XP/2000に対応している。いつも新しいパソコンが使えるとは限らないオフィスユースでは、この幅広い対応が大きなメリットとなるのではないだろうか。


タブレット用ドライバやMyInk、Office連携用ソフトは1枚のCD-ROMに収められている。すべて個別にインストールが可能だ 本体を接続すると自動起動するMyInk。デジタルインクパッド内のデータを閲覧できるほか、ファイル形式の変換機能などを備えている

MyScript Stylusはタブレットによる手書き文字入力ツール。ソフトウェアキーボードと併せて使用できる 画像中の文字をテキストに変換するMyScript Note Basic。ちょっとイジワルな手書き文字だったが納得できる形で認識してくれた(笑)

関連情報

URL
  製品情報
  http://www.princeton.co.jp/product/pc/ptbdip1.html
  プリンストンテクノロジー
  http://www.princeton.co.jp/


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(斉藤成樹)
2008/05/14 11:10
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