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録音番組をiTunesに転送できる! USBラジオチューナ「PCラヂオ」


ロジテックの「PCラヂオ」。USBワンセグチューナーと同じ感覚で利用できるPC用ラジオチューナーだ。直販サイトの価格は7980円
 ロジテックの「PCラヂオ(LRT-FMAM100U)」は、USBプラグ一体型のコンパクトなラジオチューナーである。ワンセグチューナーやフラッシュメモリなどと同じように、パソコンのUSBポートに挿し込むだけで、手軽にラジオ放送を聴いたり録音できるというアイテムだ。

 音声のみで情報を伝えるラジオ放送は、移動中や他の作業をしながらでも聴くことができる、いわゆる“ながら”が可能。しかも、地下などの一部例外を除けばエリアを気にすることなく、日本全国どこでも比較的安定して受信できるという大きな特徴がある。

 リアルタイムに聴く時間がなければMP3形式などのファイルとして録音、ポータブルオーディオプレーヤーに転送するのも良いだろう。手軽で信頼性が高く、時間を効率良く使える情報収集、エンターテインメントツールとして注目したいパソコン周辺機器である。

 PCラヂオの本体は、マットブラックのインゴット形。シンプルな形状ではあるが、浮かし彫りで大きく描かれた「RADIO」のロゴがアクセントになっている。受信周波数は、AMが535~1705KHz、FMは76~90MHzで、一般のラジオと変わらない。重量はわずか14gで、付属の外部アンテナと合わせても100gを切る。USBワンセグチューナーなどと一緒に持ち歩いても、負担を増やすことにはならないだろう。


USBプラグを保護するキャップは反対側の端に差し込めるが、ストラップホールを覆い隠してしまうのが少々残念 パッケージには本体のほか、外部アンテナ、ソフトウェアを収録したCD-ROM、マニュアルリーフレットが同梱されている

選局や録音を行うコントロールソフト「らくラヂ」。コンパクトなウィンドウながら、なかなか使い勝手が良い
 PCラヂオの選局や録音のために、製品にはアプリケーション「らくラヂ」が付属している。メタリックグレー系のコンパクトなウィンドウで、デスクトップの隅に常駐させてた状態でも邪魔にならない、シンプルさが魅力のソフトである。

 上段には、AM/FM切り替えボタンと12個のプリセット選局ボタンが並ぶ。中段には、周波数などを表示するパネルとスライド式のタイムシフトコントローラ。下段には録音ボタンと設定ボタン、マニュアル選局用ボタン、右下に音量調整という配置だ。使用頻度の高い機能が常時表示されており、非常に使い勝手の良いアプリケーションである。

 機能面での特徴は、放送を60秒まで遡って再生できるタイムシフト、それに録音機能だろう。特に録音機能はWAV/MP3/WMAのほか、Ogg VorbisやMonkey's Audioといった幅広いファイル形式に対応。「らくラヂ スケジューラー」による予約機能も搭載しており、開始時刻と終了時刻を指定する方式のほか、曜日と時刻を指定する週間予約も利用できる。


AMとFMにそれぞれ12あるプリセット選局ボタンへの登録は都道府県名の指定による簡単な設定が可能 録音ファイル形式は6種類の中から選べる。WAV/MP3/WMAのほか、Ogg VorbisやMonkey's Audioにも対応している

「らくラヂ スケジューラー」では時刻とチャンネルを指定した通常の予約録音のほか、曜日を指定する週間予約も行える

「らくチューン」は音声ファイルをライブラリ化、プレイリストなども使用できる。リピート再生は語学学習に便利な機能だ
 「らくラヂ」で録音したデータは、もう1つの付属アプリケーションに自動登録される。音声ファイルや音楽ファイルを登録、ライブラリ化して一括管理する「らくチューン」だ。実は「らくラヂ」自体には、ファイルを読み込んで再生する機能はなく、録音後の作業はすべてこの「らくチューン」上で行うことになる。

 「らくチューン」は単純にファイルを一覧表示し、再生するだけのアプリケーションではない。音質を調整するグラフィックイコライザー、音声ファイルの音量を一定に揃えるノーマライザー、雑音を低減させるノイズリダクションなどの音質調整のほか、データ内の無音部分を自動的に探し出して、複数ファイルに分割するといった編集処理が簡単に行えるのだ。

 さらにフェードイン、フェードアウト、リバーブといった26種類にも及ぶサウンドエフェクトを搭載。これらを組み合わせたフィルタを適用し、ファイルを一括変換する機能も備える。ラジオ用としては高機能すぎるように思えるが、音楽CDのリッピングなどにも対応している点を見ると、本来は音声音楽データ全般を管理するために設計されたアプリケーションではないかと思われる。

 登録したファイルを、iTunesにエクスポートできるのも大きな特徴の1つだ。普段聴いている曲と一緒に、ラジオ放送を録音したデータをiTunesに登録、iPodに同期させることができるのである。エアチェックしたお気に入りの曲を詰め込むのも良いし、外出先で語学番組や教養番組を聴くのも良い。「PCラヂオ」の活躍範囲を広げる上で非常に利用価値の高い機能と言えるだろう。


10バンドのグラフィックイコライザー、再生速度の変更、ノイズリダクションといったサウンドコントロール機能が用意されている 26種類の音響効果を組み合わせてフィルタを作成、ファイルに一括適用するという強力なサウンドエフェクト機能を搭載している

付属のAM用アンテナは長さ3mのケーブルで接続。先端の平たい円筒部にフェライトアンテナが内蔵されている
 PCラヂオには一般的なラジオとは異なる、ちょっと変わった点がある。AM用アンテナは外部接続式で、FM用アンテナが内蔵されているのである。普通のラジオではAM用を内蔵、、FM用は外装に取り付けられたロッドアンテナや外部接続のワイヤアンテナなどを使うものが多い。ちょうど反対なのだ。

 これはデジタル機器が動作中に出す電気的なノイズの影響を避けるために採用された措置ではないだろうか。ポータブルラジオでAM放送を聴きながらパソコンなどに近づいてみるとわかるが、放送をかき消すほどの雑音が混入してしまう場合があるのだ。デジタルオーディオ機器ではAMラジオ放送を受信できるタイプが少ないのは、この問題を解決するのが難しいからと思われる。

 PCラヂオ付属のAM用外部アンテナは長さ3mのケーブルで本体と接続する。平たい円筒形で、自動車のダッシュボードに置くGPS電波受信アンテナのようである。内部にフェライトバーアンテナを内蔵し、裏側には磁石が取り付けられている。機能や性能は一般のAMラジオが内蔵しているものと同等だろう。パソコンから離し、窓際のカーテンレールなどに貼り付けると格段に雑音が減る。ケーブル接続式を採用したメリットは大きいようだ。

 FM用アンテナは小さな本体に内蔵されている。AMラジオとは異なり、FMラジオはデジタル機器が出すノイズの影響を受けにくいため、このようなスマートな構造が可能になったのだろう。ただ、筆者の印象では若干感度が不足しているように思えた。普段は「らくラヂ」の設定で内部アンテナから外部アンテナに切り替え、AM用アンテナを共用できるようにしておくのがお勧めだ。

 それでも不満がある場合にはオプションとして販売されているF型コネクタ変換ケーブル「CB-MCXF-015(製品URL)」を使用して、市販のFM用外部アンテナやテレビ用のアンテナを接続してしまえば良いだろう。直販サイト価格1890円。ロジテック製のUSBワンセグチューナーと共用できるので、1つ用意しておくと便利な品である。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logitec.co.jp/products/fmam/lrtfmam100u.html
  ロジテック
  http://www.logitec.co.jp/


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(斉藤成樹)
2008/07/23 11:07
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