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録画番組の転送や遠隔予約ができる! BDレコーダー「BDZ-A70」


「BDZ-A70」。実売価格は12万円前後から14万円前後
 今回取り上げるのは、ソニーが4月に発売したBlu-ray Discレコーダー「BDZ-A70」。最大の特徴であるポータブル機器への録画番組転送機能やネットワーク機能、7月から運用が開始されたダビング10への対応で変わったポイントなどを中心にご紹介する。


ワンタッチ転送できる「A」シリーズ

PSPやウォークマンなどへの番組転送が行える
 ソニーのBlu-ray Discレコーダーは現在4シリーズが展開されており、今回紹介するBDZ-A70はAシリーズに属する製品。“映像を持ち出す”ための機能が盛り込まれている。具体的には、USBケーブルで接続したウォークマンやプレイステーション・ポータブル(PSP)、一部の携帯電話端末に対して、本製品で録画した番組をワンタッチ転送できる。

 本体前面には、動作状態を示すインジケーター類が配置されているほか、右側には丸型の大きなボタンがあり、これをワンタッチ転送ボタンとして利用する。また、携帯機器との接続に利用するUSB端子は、映像・音声入力端子とともに本体右下のカバー内にある。

 もちろん、基本機能も充実しており、地上デジタルやBS/110度CSチューナーを2基ずつ搭載し、2番組の同時録画が可能。ただし、搭載するHDD容量は320GBと少なめ。なお、地上デジタル放送を最高画質「DR」で録画する場合、最大37時間(高速転送機能オン時)まで録画が可能で、最も低ビットレートの「LSRモード」では91時間まで録画できる。


録画中にはインジケーター類が点灯 本体前面右側にあるUSBコネクターとワンタッチ転送用ボタン

ダビング10対応で転送機能が大幅パワーアップ

 携帯機器への番組転送機能は「おでかけ・おかえり転送」と呼ばれている。デジタル放送の転送に対応する機器は、ウォークマン「NW-A820」シリーズやPSPなど。NW-A820シリーズ以外の動画再生に対応したウォークマンやNTTドコモの一部携帯電話(904i以降のモデルなど)、ソニーのコミュニケーション端末「mylo」に関しては、アナログ放送のみ転送できる。従って、録画したデジタル放送の番組を活用するには、NW-A820シリーズかPSPが必須となる。

 今回は、PSPへの転送を試してみた。まず大前提となるのが、PSPで利用するメモリースティックとUSBケーブルの準備。いずれも市販品が利用できる。USBケーブルに関しては、PCとPSPを接続する際に利用するタイプと同じで、「USB(A)-USB(Mini-B)タイプ」になる。

 番組転送にあたっての準備は非常に簡単。本体で録画予約設定時に「ワンタッチ転送」の設定項目を「入」にするだけで良い。あとは番組録画と同時に、転送用のファイルを自動で生成してくれる。

 番組を転送する際には、PSPの電源を投入して設定メニューから「USBモード」を実行。続いて、USBケーブルを介して製品同士を接続し、BDZ-A70の本体前面にあるワンタッチ転送ボタンを押すことで、転送が自動で開始される。電源オフ作業は手動で行う必要はあるが、転送機能自体はボタン1つ行えるわけだ。


録画予約時にするのは「ワンタッチ転送」を「入」にするだけ 本体前面のボタンを押すだけで転送スタート。テレビの電源を入れたり、メニューから転送開始を選択するといった手間がない

 転送時の所要時間は、設定ビットレートや環境にもよるが、1時間番組で2分から3分ほど。複数番組を録画した場合には10分近くかかる場合もある。ただ、転送の進捗状況は本体前面の表示窓や、ワンタッチ転送ボタンの外周リングの明滅に加え、テレビ画面上での進捗状況を確認できる。転送中は特にすることはないので、着替えや食事など、忙しい朝でも気軽に行える作業と言える。

 ワンタッチ転送の対象番組は、BDZ-A70本体の設定で「最新3日間分」「最新1週間分」「最新2週間分」の3種類から指定できる。手間はかかるが、ワンタッチボタンを使わずにメニューから手動で指定・転送するこも可能だ。

 ところで、録画予約時にワンタッチ転送を選択しなかった番組を、転送したくなった場合はどうなるだろうか。BDZ-A70の場合、本体設定で「高速転送録画」をオンにした状態であれば、「録画1」系統で録画を行った番組は転送用ファイルを自動で生成してくれる。このため、メニュー画面から手動で選択すれば、いずれも高速転送が可能なので、心配はないだろう。

 一方、「高速転送録画」をオフにした状態や、「録画2」系統で録画した番組に関しては、転送用ファイル生成のため、番組の実時間程度の時間が発生するので注意しよう。


番組タイトル右横にある数字アイコンがコピー可能な回数。写真では「9」となっており、1度コピーしたことがわかる
 また、ダビング10対応が実施されたことで、BDZ-A70ではおかえり転送の手間が軽減された点も見逃せない。ダビング10開始以前は、PSPなどへ“おでかけ”した状態の番組は、コピーワンス制限によって本体上では視聴できず、“おかえり転送”を行うことで再度視聴できるようになっていた。

 しかし、ダビング10対応によって9回までは、ディスクへの書き込みやPSPなどへの転送が可能になった。おでかけ転送もコピー1回とカウントされるため、BDZ-A70上でも番組を楽しめる。このため、PSPなどへ気軽に転送し、仮に見なかったとしてもPSP本体から削除すれば良い。また、転送が失敗して録画番組が見られなくなるリスクも軽減され、番組の視聴スタイルが大幅に広がったと言えるだろう。

 なお、転送に際して注意したいのが、ダビング10に対応した番組を本体に書き戻してもコピー回数は回復しない点。9回目まではコピーとしてカウントされ、最後の10回目で「おでかけ転送」として処理される。この場合は、コピーワンス番組と同様に、おかえり転送するまで本体上で録画番組の視聴ができなくなる。


PSPには著作権保護した状態で転送される チャプター情報も反映されており、LRボタン操作で前後のシーンへジャンプできる

携帯電話予約などネットワーク機能も充実

 続いて、ネットワーク機能を見ていこう。ネットワーク機能で特に利便性が高いのが、携帯電話を利用したリモート録画予約機能だ。同機能は「Gガイドモバイル」と連携したもので、パケット通信料を除けば基本的に無料で利用できる。対応機種や利用可能な機能は、キャリアや端末によって異なるので、詳細はサービスサイトで確認して欲しい(URL)。

 事前設定自体は非常に簡単で、携帯電話の設定時に表示されたパスワードをBDZ-A70上で入力するだけで完了する。録画予約はレコーダーに即座に反映され、携帯電話の画面上で予約の成功可否を確認できるのは非常に嬉しい仕様と言える。なお、当然のことならが、本体はルータなどに接続して、インターネットにアクセスできる状態である必要がある。

 実際に使用してみたところ、筆者の環境では大きな問題もなく快適に使用できた。予約指示もほぼリアルタイムに行えるため、外出先で急に録画したい番組を思い出した際などに大変重宝している。ただ、1点残念なのがリモート録画予約が「録画1」系統のみにしか適用されない点だ。せっかくのダブルチューナー搭載機だけに、次期モデルなどではぜひ改善してほしいポイントだ。


携帯電話上で発行されたパスワードを、ネットワーク接続したレコーダー本体に入力することでリモート録画予約の設定が完了する auの携帯電話「W52SA」ではWebサイト「au oneテレビ」から番組表予約が可能。モデルによっては専用アプリが用意されている場合も

 ネットワーク機能では、もう1つの大きなポイントがある。それは、録画番組を家庭内のLANで共有できるホームサーバー機能だ。「ソニールームリンク」として、録画した番組を、DLNAに対応したソニー製のテレビやPCなどで視聴が可能になる。

 今回は、プレイステーション 3(PS3)からの視聴に挑戦した。設定にあたっては、PS3が同一LANにある状態であれば、本体の「未登録機器一覧」に表示されるので、それを選択するだけで良い。なお、PS3上で閲覧できるのはコピー制限のないMPEG-4 AVC形式の映像などに限られる。著作権保護が施されたデジタル放送の番組などは「未対応のデータ」と表示され、再生できなかった。


ホームサーバー機能の設定画面 こちらはPS3の画面。地上デジタルの番組は「未対応のデータ」と表示されてしまう

おでかけ転送で生活リズムが変わった?

背面にファンを2つ搭載。設置場所には気を遣った方が良さそうだ
 今回は筆者が実際に購入したBDZ-A70を使ってレビューをお届けしたが、ワンタッチ転送を中心に使い勝手の良い機能が揃っており、満足している。筆者自身は、最近までVHSデッキをメインの録画手段として使用していたこともあり、毎週放送の番組を1回の録画予約だけで自動的に録画してくれる機能などには、人生観が変わった思いすらある。

 その一方、長い年月をかけて成熟した“枯れた”製品であるVHSビデオデッキに対し、放熱用ファンを背面に装備してほとんど“PC化”しているBD・HDDレコーダーの現状には驚くばかり。ワンタッチ転送やホームサーバー機能をフル活用するには本体設定でスタンバイモードを「高速起動」にしなければならないが、同モードの際には非使用時でもファンが回転する場合もある。また実際に使ってみると、本体録画中は転送作業ができないなど、細かな不満も見受けられた。

 とは言え、PSPをはじめとした携帯機器への高速転送機能は、これまでの“録画ライフ”を大きく変えてくれる機能だ。実際の転送手段も比較的すっきりしており、日常の生活サイクルに組み込みやすいと感じた。ただ、PSP側の電源投入作業やUSBモードへの切替など、本製品との連携時にもう少し簡略化して欲しい部分もあり、こうした点は将来の改善にも期待したいところだ。

 ちなみに直近の悩みとしては、転送先であるメモリースティックの容量が不足しがちな点。ダビング10対応によってコピーが緩和されたことで、なんとなく番組を貯め続けてしまったからだ。もし、お出かけ先で番組を積極的に楽しみたいのであれば、4GBや8GBの大容量メモリースティックが必要になってくるかもしれない。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/BD/product/bdz_a70/
  ソニー
  http://www.sony.jp/


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(森田秀一)
2008/08/20 11:17
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