Broadband Watch logo

柔らかくて配線が容易に! エレコム「やわらかLANケーブル」


柔らかく配線しやすいカテゴリ6対応のLANケーブル

製品パッケージ。本体色は6色、ケーブル長は1~15mまで7種類をラインナップする
 エレコムの「LD-GPYシリーズ」は、ギガビットに対応したカテゴリ6準拠のLANケーブルだ。本製品の特徴は、パッケージのキャッチコピーに「配線スッキリやわらかLANケーブル」と書かれている通り、従来の同等品のLANケーブルに比べて柔らかく、取り回しがしやすいという点だ。

 まずはLANケーブルとしての仕様から見ていこう。規格としてはカテゴリ6に準拠しており、ギガビット、つまり1000BASE-Tの通信にまで対応している。結線はヨリ線のストレートで、今回紹介するブルーのほか、ホワイトやライトグレー、ブラックなど合計6色がラインナップされている。

 ケーブル長も1~15mまで7種類が用意されるなど豊富で、同社のLANケーブルラインナップの中でも、主力として位置づけられていることがわかる。価格帯は、2mの製品で実売550円前後と、通常のLANケーブルとほとんど変わらない。ホームユースから業務用途まで、幅広く利用できると言えるだろう。


ケーブル径が細く、外皮が薄いのが柔らかさの秘訣

製品本体。外観は一般的なLANケーブルと変わりない
 次に外見について見ていこう。今回は比較対象として、同じエレコムから発売されている同等スペックの従来製品「LD-GPシリーズ」を使用した。

 まずコネクタに関してだが、これは従来製品とまったく変わらない。どうやら金型まで同一らしく、成型色が微妙に異なっている以外は、細部のディティールもそっくりだ。

 続いてケーブル径だが、これは本製品のほうが微妙に細い。実測した限りでは、従来品が5.5mmだったのに対し、本製品は4.5mmだった。ただし、製品パッケージに入った状態では、この径の細さはほとんど認識できない。両製品をパッケージから取り出してじっくり比較することで、ようやく認識できるといったレベルだ。せっかくのメリットでありながら、少々もったいない気がする。


コネクタ部も一般的なLANケーブルと同様。爪折れ防止のカバーも備える 従来製品(左)との比較。コネクタ形状は同一だが、ケーブル径はわずかながら細い

外皮が柔らかいこともあり、柔軟性という点では本製品(右)が圧倒的に勝る
 外皮については、素材こそ同一に見えるが、従来品に比べてわずかながら薄い。そのため、ケーブルの先端から15cmほどの位置をつまんで持ち上げると、従来品であれば形状が維持されたまま持ち上がるのに対し、本製品は真下に向いて垂れ下がる。外皮が薄く、ケーブル径が細いことが、この結果に繋がっていると言えそうだ。

 また、ケーブルをまっすぐに伸ばして床に置いた際も、従来製品であれば随所が浮き上がるのに対し、本製品は限りなくペタッと床についた状態で配線できる。強い型がついている場合など、まったくねじれが発生しないわけではないが、従来製品に比べると限りなくクセがなく、取り回しやすいと言える。


十字介材を採用。フラットさが必要な場合の配線には不向き

 次にケーブルを切断し、断面を見てみよう。断面を見ると、8芯のケーブルが2本ずつツイストされており、この点は一般的なUTPケーブルと変わらない。一方、8芯あるケーブルが従来背品に比べてそれぞれ細く、結果としてケーブル自体が曲げやすくなっていることがわかる。

 興味深いのは、本製品に十字介材が採用されている点だ。十字介材は、ケーブル自体の強度を高めたり、「STP(Shielded Twisted Pair)ケーブル」などでノイズの干渉を防止する目的で採用されるケースが多い。今回比較した同じカテゴリ6対応の従来製品には十字介材はなく、本製品において十字介材が採用されているのは、何か事情があることが伺える。


外皮をむいた状態。8芯が2芯ずつツイストされており、中央には十字介材が見える 従来製品(左)に比べると、内部の結線自体が細く作られている

 当然のことながら、十字介材を取り除けば、ケーブルはさらに柔らかくなる。敢えて、それをしなかったのは、カテゴリ6の規格に準拠させるために、どうしても介材が必要だったからではないだろうか。言い換えれば、将来的にはこの介材を取り除いた、さらに柔らかいLANケーブルが登場してくる可能性もあると言えそうだ。

 なお、内部に介材が使用されている点からもわかる通り、本製品の断面は円形であり、フラットな形状が要求される場所への配線は適さない。扉の下を通したり、家具の角に沿って折り曲げるといった加工は、本製品と同時に発売されているエンハンスドカテゴリ5対応のフラットLANケーブル「LD-CTYシリーズ」を用いるのが得策だろう。


普及には店頭での訴求がカギ

 LANケーブルというのは一般的に外皮が固く、接続する機器の本体重量が軽い場合は、反発力で機器自体の設置位置が動いてしまう場合もある。一部のルータやネットワーク機器に購入時に添付されている廉価なLANケーブルであればあるほど、その傾向は顕著と言える。そうした中、今回紹介した製品であれば、反発力が弱いため、こうした問題も起こることなく、スマートに配線が行えるだろう。

 個人的に気になるのが、こうした製品の特徴がパッケージではキャッチコピー程度でしか訴求できておらず、消費者になかなか伝わりにくい点だ。特にパッケージに封入されている状態ではケーブルは巻かれているため、パッケージの上から触っても、柔らかさが伝わってこないのだ。本製品が普及するには、こうした店頭での訴求が欠かせないと言えるだろう。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www2.elecom.co.jp/cable/lan/ld-gpy/
  エレコム
  http://www.elecom.co.jp/

関連記事
エレコム、取り回しが容易な「やわらかLANケーブル」


(山口真弘)
2008/09/03 11:06
BB Watch ホームページ
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.