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USBメモリにソフトを収録! ソースネクスト「Uメモシリーズ」


 PC用ソフトウェアの供給形態と言えば、CD-ROMやDVD-ROMが一般的だ。そうした中で、ソースネクストはUSBメモリでソフトウェアを販売する「Uメモシリーズ」を2008年8月に発表した。

 今回は、USBメモリ化によってパッケージの内容物やインストール作業がどのように変化したかを、Uメモシリーズの「筆王ZERO USBメモリ版」を使って検証した。


USBメモリでソフトを供給。「筆王ZERO」のパッケージは大きめ

 「Uメモシリーズ」の第1弾は、9月5日に販売を開始。セキュリティ対策やホームページ作成、PDF変換などをはじめ、実用系ソフトを中心にラインナップした布陣だ。いずれもUSBメモリ版以外に、従来と同じくCD/DVD-ROM版が用意されている。なお、販売価格はUSBメモリ版、CD/DVD-ROM版ともに基本的には同価格となっている。今回使用した「筆王ZERO」の価格は4980円だった。


「筆王ZERO USBメモリ版」。標準価格は4980円 Windows Vistaとパッケージサイズを比較してみたところ

 続いて、実際のパッケージを見ていこう。CD-ROMと比べて小型なUSBメモリで販売するだけに小さな梱包をイメージしていたが、「筆王ZERO」のパッケージに関しては大きめだ。メジャーで測定したところ、パッケージサイズは267×190×48mm(縦×横×厚)だった。

 ただし、筆王ZEROの場合、同梱する「超図解 筆王ZERO 公式ガイドブック」のサイズが影響していると言えるだろう。公式ガイドブックはB5版、全244ページで、本製品収録のイラスト一覧などが掲載されている。ちなみに、Uメモシリーズの「ウイルスセキュリティZERO」は、Windows Vistaやウイルス対策ソフトなどでお馴染みとなった小型のパッケージが採用されている。

  パッケージ同梱のUSBメモリは、ごくシンプルなもの。製品を示すラベルが添付されているだけで、市販されているUSBメモリと外見上の差はほとんどない。60.0×16.5×8.1mmで、重量は約7g。USB 2.0をサポートしており、容量は1GBで他のUメモシリーズ製品と共通化されているという。USBメモリの製造元はトランセンドジャパンで、同社によるUSBメモリの製品保証書も同梱している。


製品同梱のUSBメモリ。製品ラベルがある以外は、市販品と変わらない印象だ 3年ほど前に入手したUSBメモリとの比較 PC接続時にはうっすらと光る

USBメモリ自体の保証書も付属する パッケージ内の同梱物 公式ガイドブック。収録済みイラスト一覧や操作解説などを掲載

インストールは自動進行

筆王ZEROのUSBメモリをプロパティで確認したところ。使用領域は484MBだった
 OS上からUSBメモリのプロパティをチェックすると、約484MBのインストール用ファイルが保存されていた。それ以外の空き容量に関しては、ユーザーが自由にファイルを保存することも可能だ。

 実際のインストール作業は簡単だ。PCのUSBポートにUSBメモリを接続すれば、メモリ認識用のデバイスドライバが読み込まれ、筆王ZEROのインストーラーも自動的に起動する。記録メディア挿入時にファイルを自動実行させるための「autorun.inf」がUSBメモリのルートフォルダに保存されているので、インストール作業はCD/DVD-ROM版と大きく変わらないだろう。また、Windows Vista環境では自動実行前にユーザーアカウントを制御するためのポップアップも表示された。


USBメモリ認識後、約15秒間の無操作状態で自動インストールが開始する
 そして、ここからは他のソースネクスト製品と同様に自動化が徹底されている。まず、ファイルが起動すると、メッセージ表示から15秒程度で自動的にインストール作業が開始する。標準状態ではインストール先やフォルダの選択、各種オプション設定を行う必要もなく、初心者ユーザーにとっては便利な仕様と言えるだろう。

 一方、ある程度の知識を持つユーザーにとっては自動インストールを躊躇する場合があるかもしれない。この場合、カスタムインストールボタンを押せば、一般的なソフトウェアインストールの作業を行うことができる。


筆王ZEROのメイン画面
 また、気になるのはインストール時の時間だろう。今回、CPUがCore 2 Duo E6300、メモリが6GB、HDDが500GB(HDP725050GLA360)、OSがWindows Vista Ultimate 64ビット版、ウイルス対策ソフトにWindows Live Onecareを導入した環境で実測してみた。これは筆者が日常的に使用している環境で、OSのクリーンインストールから6カ月経過している状態だ。

 この環境で、Windows Vistaのユーザーアカウント制御ボタンの押下から、筆王ZEROのインストール画面が消えるまでの時間は3分15秒ほど。自動インストールのため、この間にマウスクリックをする必要はまったくない。

 約500MBのファイルをインストールしたわけだが、筆者としては“並の速度”であるというのが率直な印象だ。USBメモリだからといって絶対的なスピード感を期待するのは、やや筋違いなのかもしれない。その一方、光学ドライブでのインストール時に発生するスピンアップ音を聞かずに、ソフトウェアをインストールするという行為は新鮮だった。


一部コンテンツは別途ダウンロードで対応

 筆王ZEROの特徴である干支イラストの追加配信や、長期的な製品アップデートサービスを受けるには、製品同梱のシリアルコードを入力してインターネット上で認証する「エントリー」と呼ばれる作業を完了させなければならない。この際、シリアルコードに加えて、名前やメールアドレス、パスワードを登録する必要がある。


最新版を利用し続けるには「エントリー」の作業が必要 更新プログラムの配信も開始している

筆王素材パレットの画面。「インターネット」タブの素材はオフライン状態でサムネイル確認できるが、実際に利用する前にはダウンロードする必要がある
 この手続きさえ完了すれば、あとは通常のソフトと同様に筆王ZEROが利用できるようになる。今回はUSBメモリ化によるインストール作業の変更点などを検証するのが目的となるため、筆王ZERO自体の利用感などは割愛したが、他社製ソフトからの住所録インポート機能や収録デザインの充実ぶりなど、基本的な要件はキッチリと抑えられている印象だ。また、音声ガイダンスを充実させている点も特徴と言えるだろう。

 なお、USBメモリ版の筆王ZEROでは、一部イラスト素材はダウンロード対応という点に注意したい。CD/DVD-ROM版では約17万6000点のイラスト・文字・写真・フレームを標準で収録しているが、USBメモリ版では容量面で1340点と少なくなっている。ただし、すべての素材はインターネット経由でダウンロードが可能で、メディアによる差異はないので安心して欲しい。

 コンテンツのダウンロード作業自体も非常にシンプル。デザイン選択などに利用する添付ソフト「筆王素材パレット」では、ダウンロード状況の有無にかかわらず、ほとんどの素材をサムネイルとして確認できる。このうち、「インターネット」タブに収録されている素材を選択すると、実データのダウンロードが行われる仕組みだ。

 ダウンロード速度も高速なので、ブロードバンド環境であれば不用意にHDD容量を圧迫しないで済むメリットがある。一方、ナローバンド環境のユーザーは、インターネットに接続できない環境の場合には運用が難しくなる点は注意したい。


万一の場合は再ダウンロード可能

ユーザー登録をしておけば、誤消去したインストール用ファイルを再ダウンロードできる
 ところで、USBメモリ上から筆王ZEROのインストール用データを誤消去してしまった場合にはどうなるのだろうか。この場合はサポートを利用しよう。前述の「エントリー」手続きとは別にある、「ユーザー登録」でシリアルコードなどを別途登録しておけば、電話やメールによるサポートなどに加えて、インストール用データの再ダウンロードサービスが受けられる。

 ユーザー認証を兼ねた専用ソフト「ダウンストーラー」をインストールする必要があるものの、万一の場合は救済手段がある点は大きなポイントだろう。

 以上、実際の「筆王ZERO USBメモリ版」のインストール作業などを中心に見てみたが、これまで当たり前だったCD/DVD-ROM版と比較して、ほとんど遜色はないと言って良い。現時点では価格面での差もないので、個人の好みでUSBメモリかCD-ROM/DVD-ROM版を選択すれば良いだろう。例えば、光学ドライブ非搭載のネットブックで初めてPCに触れる場合などはUSBメモリ版、ソフト使用中にインターネット接続環境に不安がある場合はCD/DVD-ROM版といった具合だ。

 筆者としては、ソフトウェアの自動インストールが徹底されすぎている感も受けるが、「自動インストール」機能を推進するソースネクストの信念でもあるのだろう。また、ユーザー登録者を対象に再ダウンロードサービスを提供するなど、ネットをフル活用したサポート体制は評価したい。

 なお、筆王ZEROではUSBメモリ版、CD/DVD-ROM版に加え、ダウンロード版も用意されている。入手効率を考えるとダウンロード版が便利ではあるが、いわば「1GBメモリーというオマケ」がついたUSBメモリ版も、じゅうぶんな魅力的な選択肢になるのではないだろうか。


関連情報

URL
  筆王ドットコム
  http://www.fudeoh.com/
  Uメモシリーズ 製品情報
  http://www.sourcenext.com/titles/usb/
  ソースネクスト
  http://www.sourcenext.com/


(森田秀一)
2008/10/01 11:26
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