今回ご紹介するタカラトミーの「Hi-kara(ハイカラ)」は子供向けのカラオケ機器。小型サイズの本体にヘッドセットを差し込み、“ひとりカラオケ”を楽しめる製品だ。楽曲はカートリッジで交換できる本格仕様。さらにPCと組み合わせた楽曲のダウンロード購入にも対応しているのが特徴だ。
■ テンポやキーを変更可能な本格カラオケ機
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「Hi-kara」の標準価格は1万500円。本体色はホワイトとピンクの2色を用意する
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Hi-kara本体は非常に小型で、まさに手のひらサイズという表現がぴったり。1辺あたり約70mmの立方体となっており、正面に液晶画面、上面には各種ボタン類、背面にヘッドセット端子などが配置されている。
動作には単3形乾電池4本が必要。電池蓋はしっかりとネジで固定されており、小児による部品誤飲などを極力防ごうという配慮が感じられる。本体デザイン的に極端にとがった部分がないことも含め、玩具メーカーであるタカラトミーの製品ならではと言えるだろう。
本体正面にある2.4型のTFT液晶ディスプレイの解像度は480×234ドット。最近の携帯電話などのディスプレイと比較した場合、色味や解像感は劣ってしまう印象だが、カラオケ時の字幕はフリガナを含めてしっかりと認識できるレベルだ。
各種の操作は、本体上面にあるボタンで行う。ボタンは人間の顔を模した配置がなされており、ユニークだ。カラオケでは、必須であるテンポやキー(音程)、エコーの調整には専用ボタンも割り当てられている。
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2.4型のTFT液晶を搭載。解像度は480×234ドット
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本体正面のボタン。配置によって笑った顔を模しているのがわかる
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電源スイッチ、ヘッドセット端子、カートリッジイジェクトレバーなどがある背面
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アルカリ乾電池で約5時間の使用が可能。またACアダプタも別売で用意されている
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■ 楽曲はカートリッジ提供。同梱ヘッドセットは子ども向きサイズ
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楽曲収録済みのカートリッジ「ベストヒットコレクション」(6種類 10曲入り各2100円)。本体側面に挿入して利用する
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Hi-kara本体自体には楽曲は収録されておらず、実際にカラオケを楽しむためには交換式カートリッジを用意する必要がある。後述するダウンロード機能のほか、店頭には人気曲を10曲収録した「ベストヒットコレクション」も発売されている。
Hi-karaの利用法は非常にシンプルで、基本的には曲を選び、歌って、採点をするだけだ。エコーの種類を変えたり、エフェクト機能で自分の声を高音・低音にして遊ぶといったこともできるが、採点をセーブする機能などもなく、テレビゲームと比較した場合かなり割り切った仕様だと言える。一方、採点システムはかなり本格的で、歌唱中でもリアルタイムに得点状況が変化し、繰り返し歌うモチベーションにもなるだろう。もちろん、採点しない設定も選択できる。
実際に数曲歌ってみたが、画面の閲覧性や曲の再現度なども良好で、とても楽しめた。歌唱中の背景画像が曲あたり1種類だけで変化がないなど、現在の通信カラオケと比較した場合は寂しい部分もあるかもしれないが、“心地よく歌う”ための要素はきっちりと抑えられている。楽曲データの提供を第一興商が行っている点も、熱心なカラオケファンには安心できる部分のはずだ。
なお、電源投入時には「XaviX」のロゴ表示、本体パッケージや基板などの各所に「SSD CO.,LTD.」の表記があり、同名の健康機器などを発売する新世代株式会社がHi-Karaの開発に関係していると思われる。
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選曲メニューで採点の有無やエコーのかけ方などを指定できる
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歌い終わった後は採点結果が表示される
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ただ、同梱ヘッドセットのサイズだけは難儀してしまった。筆者の頭が大きいのも一因にあるが、ヘッドセットがネックバンド型となるため、サイズ調整が事実上行えず、スムーズに装着できなかった。もちろん、無理矢理かけることはできるのだが、締め付けが気になってしまい、眼鏡もずれてしまう。
この点はやはり、主な対象を子どもとしている玩具ならではの限界と言えるかもしれない。大人も巻き込んでHi-Karaを楽しむときは、別売マイクや専用スピーカーの購入を検討した方が良いだろう。
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本体同梱のヘッドセット。大人が使うにはやや小さめだ
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接続端子はPC向けヘッドセットと同等。ただし、純正品以外の仕様は保証の対象外になる
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■ とっても手軽なダウンロード。ユーザー登録も不要
続いては、Hi-kara最大の特徴とも言える、楽曲ダウンロードを見ていこう。ダウンロード機能を利用するためには、別売の「ダウンローダ」と楽曲保存用の「プリペイドカートリッジ(10曲/20曲)」に加え、Windows Vista/XP搭載のPCやインターネット環境が必要になる。
実際に使ってみて驚いたのは、セットアップが非常に簡単な点だ。ドライバCDなどは同梱しておらず、基本的にはUSBポートに接続するだけで標準ドライバが自動インストールされ、セットアップが完了するのだ。なお、Windows上では「USB大容量記憶デバイス」と認識されていた。
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別売の「ダウンローダー」は3150円。Hi-kara本体とのセットモデルも1万2600円で用意される
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ダウンローダ裏面には、Webサイトログイン用のシリアル番号が記載。同一番号が書かれた予備シールも付属する
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楽曲のダウンロードもWebサイトから行えるため、専用ダウンロードソフトなどを前もってインストールする必要はない。Internet Explorer 6以降のWebブラウザを利用して、曲の検索からダウンロード手続きまで行える。
Webサイトではログインをする際は、ダウンローダー裏面に記載されたシリアル番号を入力するだけと簡単だ。メールアドレスなどの個人情報を入力する必要はない。楽曲使用料はプリペイドカートリッジに含まれているため、課金手続きもなし。この一連のスムーズさは特筆すべき点だろう。「子どもにせがまれてHi-karaを買ったものの、PCに不慣れでダウンロードをしてあげられないのでは」という保護者の心配をかなり払拭できるはずだ。
シリアル番号入力後は、カートリッジごとのダウンロード可能楽曲数まで自由にダウンロードできる。楽曲はフリーワードで検索できるし、サイト上に表示されたソフトウェアキーボードで文字入力・検索することも可能なので、小学校低学年であれば保護者と一緒に操作可能だろう。
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プリペイドカートリッジは10曲版が2100円。保管用プラスチックケースやラベルシールも同梱
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Windows上でダウンローダーを認識させた状態。OS標準ドライバで動作する
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配信曲のジャンルはJ-POP、演歌、海外曲、アニメソングなど幅広い。また検索はジャンル、発売年代、曲名、アーティスト名などを組み合わせられる。キーワード検索も柔軟で、例えば「マクロス」と入力すると、マクロスがタイトルに含まれていない劇場版「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」の主題歌「愛・おぼえていますか」も表示してくれる。検索機能だけは未ログインでも試せるので、Hi-Kara購入前に楽曲の有無を確かめられる。
検索結果画面では、曲名などともに、ログイン状態であればダウンロード用のボタンが表示される。曲によっては採点未対応であるケースもあるが、それを了承の上クリックすれば、いくつかのActiveXコントロール導入後、数十秒で楽曲のダウンロードは終了する。また、カートリッジの使用状況は、ページ内で曲名とともに随時表示される。
操作性への心配りが感じられるダウンロードサービスだが、気になるのはプリペイドカートリッジに1度書き込んだ楽曲は削除できない、追加楽曲が欲しい場合は別途カートリッジを購入しなければならない仕様だろうか。しかし、メモリの有効活用よりも課金処理のスムーズさを優先したと考えれば納得できる範囲のように思う。また、玩具としてのわかりやすさを重視した結果とも言えよう。
楽曲数に関しては、サービス開始から間もないせいか、曲の絶対数が少ないのも事実だ。ただし、毎週ペースで新規楽曲の追加が行われているほか、曲のリクエストも受け付けらているので積極的にリクエストしてみるのも良いだろう。
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ダウンロード楽曲の一覧をHi-Kara本体で表示したところ
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もちろん字幕を見ながら歌える。右上の数字は採点状況。リアルタイムに変動する
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■ オプション品も充実。ダウンロード対応で家族全員で楽しめる
Hi-karaは本体以外にも、ダウンローダーや専用マイク、カートリッジにACアダプタなど数々のオプション品が用意されている。ベストヒットコレクションの選曲の方向性から見れば、女児向けであることは間違いないが、これらオプション品でより多くの層にアプローチしたいという狙いも見え隠れする。
前述したが、楽曲ダウンロードのスムーズさには非常に驚かされた。Hi-Kara本体とは別に、ダウンロード専用の機械を用意して極力シンプルにしたことは大正解だと個人的には思う。おもちゃを買い与える保護者の側から見ても、普段はHi-Kara本体だけを子どもに使わせ、必要に応じて親がダウンロードしてあげるようにすれば、子どもが勝手にダウンロードしすぎてしまうという心配もないはずだ。
プリペイドカートリッジとベストヒットコレクションの価格を単純比較しても値段差はないので、ダウンロードの障壁は非常に低いと言える。カラオケボックスに限らず家でもカラオケを楽しみたいユーザーであればチェックしておきたい製品だ。
■ URL
製品情報
http://www.takaratomy.co.jp/products/hi-kara/
Hi-kara web
http://www.hi-kara.jp/
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(森田秀一)
2008/11/12 11:05
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