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アーチデザインが美しい! 折りたたみ可能なマウス「Arc Mouse」


アーチ状の美しいフォルム採用した「Arc Mouse」。標準価格は6930円
 超小型レシーバーを採用した無線マウス市場で各社が激しい火花を散らす中、マイクロソフトから異なるアプローチの無線マウス「Arc Mouse」が登場した。

 すぐに目を引くアーチ状のフォルムは、実用性重視の従来のマウスとは一線を画す、高いデザイン性を誇っている。レシーバーサイズこそ他社より大きいが、ユーザーの所有欲を満たしてくれるデザイン性の高さは、それを補ってあまりある魅力を持っている。


デザイン重視のユニークな形状。2つに折りたたんで持ち運びが可能

サイドボタンを除いて左右対称の設計。デザイン段階のラフ画があれば、製品版とどのくらい一致しているか、ぜひ見てみたいものだ
 まずは外観から見ていこう。「Arc(円弧)」という名称が示すように、本製品は半円状になったアーチ型フォルムが最大の特徴だ。これほどデザイン性を重視した製品は、マウスはもちろん、PC周辺機器という括りで見ても、非常に特異な存在だと言える。

 一般的に、デザイン案をプロダクトに落とし込む際、どこか妥協せざるを得ないところが出てくるものだが、本製品は非常に高い次元でデザイン性を維持していると感じる。

 本体は左右対称形だが、左前方に拡張1ボタンが装備されており、このボタンだけは右手利用時に親指でクリックすることが前提になっている。左右対称であることをアピールするのであれば、この位置ではなく、本体上部、ホイールの手前にレイアウトしたほうが良かったのではないかと思う。


左側面。先端部にサイドボタンが見える。ちなみにホイールはチルトホイール非対応。同社製のマウスには珍しく、回転させる際に手応えのある仕様となっている 斜め後方より。アーチ状の上面は、後ろにいくほど幅が細くなっている 本体下部に空間があるため、左右から本体を挟む持ち方を若干変える必要がある

 本製品のもう1つの特徴として、弧を描いた本体を内側に折りたたみ、容易に持ち運べる点が挙げられる。折りたたんだ際のサイズは、利用状態の約3分の2ほどで、文字どおり手のひらサイズ。付属の専用ポーチに入れることで手軽に持ち運べるというわけである。

 ちなみに折りたたむ際のヒンジ部は、かなり力を入れないと曲がらないようになっている。このため、利用中に段差や突起に引っかかって、不意に本体が折れ曲がってしまうとことはないだろう。

 その反面、片手で折りたたむのが難しく、両手で折りたたむ必要がある点は、実際に使っていてやや面倒さ感じる。2つ折りの携帯電話を片手でオープン/クローズする癖がついてしまっている人にとっては、多少違和感を感じる点かもしれない。


折りたたんだところ 文字通り手のひらサイズ 持ち運び用のポーチが付属

レシーバーは大きめ。持ち運び時はマグネットで本体に合体

 続いて、レシーバーや電源周りをチェックしていく。レシーバーは、流行りの超小型レシーバーではなく、先端部が約15mmほど出っ張るサイズである。同社従来品のレシーバーと比べれば格段にコンパクトであるが、先端が約半分程度である他社製の超小型レシーバーと比べると大きく感じてしまう。このため、USBポートに装着した状態でノートPCを持ち運ぶのは少々難しく、その都度取り外す必要があるだろう。

 ただし、取り外したレシーバーは、マウス底面の凹部にマグネットで装着するという方式で、マウスと合体させることができる。持ち運びの際にPCから取り外す必要がる点はマイナスだが、こうした部分の使い勝手はよく工夫されていると感じる。

 無線方式は、一般的な2.4GHz帯を採用。電源は単4形乾電池×2本で、連続使用時間は最大6カ月。重量は約90gで、モバイルマウスとしては非常に軽量である点は、本製品を利用するメリットの1つと言えるだろう。


付属の小型レシーバー 持ち運び時には、レシーバーは本体後部の凹面にマグネット式で吸着させる仕組み レシーバーをUSBポートに装着したところ。ノートPCをバッグに入れる際には取り外しが必要なサイズだ

ロジクールVX Nano(右)との比較。本体サイズはモバイルマウスとしては大きめ 単4形乾電池×2本で駆動

握り方には多少の慣れが必要。マウスの利用シーンで評価が分かれる

実際の利用イメージ。布の上では操作しにくいため、平坦な面で操作することが求められる
 高いレベルでデザインと機能の両立を実現している本製品だが、デザインを重視することで使い勝手が犠牲になっている部分がないわけでもない。筆者がしばらく試用した限りでは、マウスを利用する日頃のスタイルによって評価が分かれる製品だと感じた。以下にその理由を述べていく。

 1つは、持ち方に関する点だ。本製品は本体中央部が空洞になっているため、親指と薬指、小指でマウス本体をホールドしようとしても、ホールドすべき部分が空洞になっているため、親指と薬指、小指が宙に浮いたような形になってしまう。すこし前方部に指をスライドさせればホールド自体は可能だが、マウスの中央部を左右からしっかりとホールドしている人は、握り方が変わるため、慣れるまで多少時間がかかるかもしれない。

 もう1つは、スーツのズボンやベッドといった布の上での使用が困難なことだ。本製品は面全体で接地する一般的なマウスと異なり、前方と後方、2つのポイントで接地していることから、布の上でひっかかりやすい。また、センサー部に関してもタオルケット地の素材で試した範囲では、カーソルが飛びやすかった。このため、ベッドの上でPCを使用するケースや、外出先などでズボンの上にマウスを置いて利用する機会が多い人は注意が必要だろう。

 もちろん、特徴的なデザインによって、優れた使い勝手を生み出していると感じる部分もある。特にセンサー部がマウス先端にレイアウトされている点は、自然な使い勝手を実現するのに大きく貢献している。

 親指と人差し指、それにセンサー部の位置関係が、筆記具を握った際の状態に近いため、自然な感覚でカーソルを動かせるのだ。センサー部が後方にレイアウトされているマウスと比べると、手首の少しの動きでもカーソルが反応してくれるため、非常に操作がしやすい。手首のつけ根を支点にしてマウスを動かす人にとっては、扱いやすい製品だと言えるだろう。

 以上、2週間ほど利用してみたが、前述の通り、普段どのようにマウスを使用しているかによって、評価がわかれる製品だと感じた。所有欲を満たしてくれるデザインである点は文句なしではあるものの、購入にあたっては店頭のデモ機などを使って、その使い勝手が自分のスタイルに合っているかどうかを確認することをおすすめめしたい。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.microsoft.com/japan/hardware/mouse/arc_mouse.mspx
  マイクロソフト ハードウェア製品情報ページ
  http://www.microsoft.com/japan/hardware/default.mspx


(山口真弘)
2008/11/19 10:56
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