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「MICRO GRAST Sシリーズ」の標準価格は6930円。手のひらサイズで、握ると完全に隠れてしまうコンパクトさだ
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エレコムの「MICRO GRAST」は、超小型サイズのレシーバーを採用した無線式のレーザーマウス。同社ロングセラーモデル「grastシリーズ」のデザインを継承する製品だ。
本体サイズの違いで「M」「S」の2種類をラインナップするが、今回はコンパクトタイプの「S」こと、M-BGDLシリーズを取り上げる。
■ デザインは従来モデルを継承。レーザーマウスとしては一般的な仕様
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製品本体。ちなみに同社のgrastマウスは、サイズ順に「fit grast」「pop grast」「bit grast」の3種類が存在していたが、今回はネーミングルールが変更になり、従来の「pop grast」相当がMサイズ、従来の「bit grast」相当がSサイズという名称になっている
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マウスとしての機能は、3ボタン、レーザー方式、800dpiと標準的な仕様。同時発売の「MICRO GRAST Mシリーズ(M-PGDL)」はチルトホイールを搭載しているが、本製品は一般的なホイールを採用する。スペックだけ見ると、限りなく“普通”の無線レーザーマウスと言える。
全長は73mmで、モバイル用コンパクトマウスの中でも、かなり小さな部類に入る。手のひらにすっぽり収まるどころか、握ると完全に隠れてしまうほどだ。従来モデルに相当する有線マウス「bit grast」の68.2mmに比べると微妙に大きくなっているが、見た目に違いはわからない。従来品から乗り換えたユーザーでも、サイズの違いに気づくことは少ないだろう。
左右非対称形のデザインを採用し、事実上は右手専用モデルとなる。デザインおよび使い勝手は従来製品を継承しており、サイズが小さい割には操作性が高く、取り回しも容易だ。bit grastシリーズは発売から10年近くが経過するロングセラーモデルだが、デザインは古さを少し感じさせず、使っていても飽きが来ない。余談だが、メーカーによると、従来モデルの欠点であったシルバー部の塗装における剥げ易さも改善したという。
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製品が宙に浮いたように見えるパッケージ。マウスを台座に固定するためだけに、マウス底面にネジ穴を開けられている
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従来モデル(左)との比較。同じブラックモデルだが、カラーリングは大きく異なる
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従来モデル(左)と比べ、サイズはひと回り大きい
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電源は単4形電池1本。連続作動時間は60時間、想定使用可能日数は27日と、昨今の無線マウスとしてはやや短い。とは言え、電池寿命は本体のコンパクトさとトレードオフになっており、単3形電池や単4形電池2本を使った製品と同列に比較するのは酷かもしれない。
重量は本体のみで33gと、非常に軽く、バッグの中に入れていても存在を忘れてしまいそうである。なお、製品には持ち運び用のポーチも付属しているので、必要に応じて活用すると良いだろう。
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単4形電池1本で駆動
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未使用時のオンオフスイッチは中央にレイアウト。センサ穴はやや後方
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■ 本体にも収納可能な1円玉サイズの超小型レシーバーを採用
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レシーバーはいわゆるnanoサイズ。本体は樹脂製
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次にUSBレシーバーまわりを見ていこう。同社が“1円玉サイズ”とうたうマイクロサイズのUSBレシーバーは、ロジクール製品で言う“nanoサイズ”のレシーバーだ。USBポートへの装着時には8mmしか露出せず、ノートPCに装着した状態でも問題なく持ち運べる。通信には2.4GHz帯を使用しており、ストレスを感じることなく利用できる。通信可能距離は10m、スチール机の上で3mだ。
エレコムからは、すでにnanoサイズのレシーバーを採用したマウス「M-D15UR」シリーズが発売されているが、本製品で採用する超小型レシーバーの形状は若干異なり、コネクタのガード部をなくすなどしてスリム化が図られている。このスリム化によって樹脂部が露出しているため、USBポートに差し込んだ状態で多少ぐらつく弊害があるが、実利用において問題はないと感じた。
また、レシーバーは、持ち運び時に本体後部のカバー内に収納が可能。前回取り上げたサンワサプライ製の同等マウスで、レシーバーが底面から出っ張っていたことに比べると、限られたスペースをうまく活かしていると感じる。
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ロジクールVX nanoのレシーバー(左)との比較。若干大きく見えるが、これはガード部が省略されているため
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ロジクールVX nano(左)、同時発売のMICRO GRAST Mシリーズ(M-PGDL、中央)と並べたところ。本製品のサイズの小ささがよくわかる
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超小型レシーバーもカバー内に収納可能
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■ LEDや注意書きなど、細かい仕様はもうひと工夫が望まれる
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上部のELECOMロゴ部分を押すと、後部カバーを取り外せる。同ロゴの手前には電池残量を示すLEDがある
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基本的な使い勝手では不満のない製品と言えるが、使い続けていると細かいところで気になる点も出てくる。筆者が実際に試用して気づいた点を書き留めておこう。
1つは、持ち運びの際に本体後部のカバー(電池蓋)が開きやすいこと。カバーを開けるためには、上面中央のELECOMロゴ部をプッシュするのだが、ここはマウスの形状的には“山頂”に相当するため、持ち運び時に不意に押されてしまいがちなのだ。ギミックに起因する点だと言え、もう少しスプリング部の反発力が強ければ対処できた問題なのかもしれない。
また、電池残量を表示するLEDは消耗時のみ赤色に点灯する仕様だが、できれば通常時は緑に点灯してくれたほうが、ユーザービリティ上は望ましいのではないかと感じた。
■ 豊富なカラーバリエーションで万人にお勧めできるモデル
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実際にノートPCと並べたところ。ガンメタリックの筐体とよくマッチする
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後半多少苦言を呈したが、洗練されたデザインや機能はさすがというほかはなく、このgrastシリーズが長年量販店の定番モデルとなっている理由も、使っていてじゅうぶん理解できる完成度だ。
標準価格は6930円だが、実売価格では4000円台にまで下がっており、新たに無線マウスを探しているユーザーはもちろん、従来品を利用するユーザーにとっても買い替えに値する製品であると言える。特に有線式の従来モデル「bit grast」のユーザにとっては、レーザー方式になることはもちろん、巨大なリール式のUSBケーブルがなくなるメリットも見逃せない。
最後に、8色という豊富なカラーバリエーションを持っている点も注目したい。本製品と組み合わせて使われるであろうノートPCやネットブックは、近年、BTOや限定モデルも含めて多種多様な天板色での展開が図られているようになっている。8色というカラーバリエーションを持つ本製品であれば、きっと愛機にぴったりのカラーが見つかることだろう。
■ URL
製品情報
http://www2.elecom.co.jp/peripheral/mouse/m-bgdl/
エレコム
http://www.elecom.co.jp/
(山口真弘)
2008/12/24 11:06
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