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USB接続でネットブックをリモート操作! コレガ「CG-UMPC2RUL」


 コレガの「CG-UMPC2RUL」は、2台のPCをUSBで接続してファイル転送やリモート操作できる製品だ。コレガでは、「USBパソコン自動切替器」と呼称するが、切替器と言うより「リンクケーブル」に近い体裁を持つ製品である。


ネットブックをリモートで操作。ファイル転送も可能

「CG-UMPC2RUL」製品パッケージ。標準価格は6615円
 昨今のネットブックブームによって、2台目のサブPCを持つユーザーが増加しつつある。今回取り上げるコレガの「CG-UMPC2RUL」は、こうしたサブPCをメイン用途のPCと接続し、USB経由で手軽にファイル転送を可能にするための製品だ。

 本製品で想定される利用シーンは、以下のような流れになるだろう。

  • 外出先から帰宅し、バッグの中からネットブックを取り出す
  • ネットブックの電源を入れ、本製品をUSBポートに接続
  • ローカル側PCから必要なファイルの送受信を行う
  • 操作が終わったらローカル側PCからネットブックをシャットダウンして終了


 もっとも、家庭内でLAN環境が構築されているのであれば、共有フォルダやNASを用いたファイル共有が容易だし、Windows標準のリモートデスクトップを使えば、一方のPCからもう一方のPCの操作が行えてしまうのも事実だ。本製品を利用する場合、これらの方法と比べてどのようなメリット、デメリットがあるのかを中心に見ていこう。


ドライバは自動インストール

本体外観。USBケーブルの全長は2.7mと長め
 本製品は両端にUSBコネクタを備え、それぞれのコネクタをPCに接続してファイル転送が行えるというものだ。両端部はそれぞれローカル側とリモート側という名称がつけられており、例えばデスクトップPCからネットブックをリモート操作したければ、デスクトップPCにローカル側、ネットブックにリモート側を接続すれば良い。

 本体部分はUSBハブ程度の大きさで、LEDの点滅によってステータスが確認できる。本体部にはUSBポートが1基備えられており、USBハブとしても利用できる。ただし、このUSBポートを分岐させて、もう1台のPCをリモート操作することはできない。

 ケーブル長はローカル側が0.9m、リモート側が1.8m。利用シーンにもよるが、デスク脇において利用する場合にはかさばってしまう場合もあるかもしれない。個人的には、合計2m程度の長さで、オプションとして延長ケーブルを添付する方が使い勝手が良いのではないかと感じた。

 本体メモリにはROM領域が設けられており、そこにドライバが内蔵されている。PCにUSBケーブルを差し込むと、ROM領域からドライバのインストールが開始され、自動的にリモートコントロールソフトが起動する仕組みだ。CD-ROMなどを使って手動インストールを必要がない点は高く評価すべきだろう。


コネクタにはそれぞれ「LOCAL」「REMOTE」と刻印されている 本体側面にはUSBポートを備え、ハブとしても利用できる

動作は遅めながらも、多ボタンマウスの正常動作を確認

 インストール完了後にリモートコントロールソフトが起動すると、デスクトップの上にもう1つのデスクトップが表示されるようになる。リモート側の画面上では、フォーカスがリモート側に行っていることを示す「□(四角)」マークがマウスポインタの先端につき、見た目で区別できるようになっている。


ローカル側PCでリモート側PCの画面を表示したところ。リモート側PCの解像度が低い場合、ローカル側に合わせて調整する機能も用意している。もちろん、全画面表示も可能だ

FTPクライアントソフトによく似たファイル交換画面。「送信」「受信」ボタンのほか、ドラッグ&ドロップでもファイルの転送が可能
 リモートコントロールソフトは、「VNC(Virtual Network Computing)」がベースになっているようだ。肝心の動作速度だが、Windows標準のリモートデスクトップ機能と比較すると、ワンテンポ遅れがちになる。このため、動画再生のほか、ローカル側PCのキーボードを利用して、リモート側のPC上で文章をスムーズに入力したい、といった用途は厳しいだろう。

 その一方で、多ボタンマウスが動作しないケースが多いリモートデスクトップと違い、マウスのユーティリティ(SetPoint)など、多くの特殊キーやファンクションキーの操作が可能だった。また、リモートデスクトップでは接続先のPCを終了させるために特殊キー(Ctrl+Alt+End)の組み合わせが必要になるが、本製品では通常の操作でスタンバイや終了指示が行えるのもメリットだろう。

 本製品では加えて、ファイル交換機能も用意されている。画面自体はFTPクライアントと良く似た構成で、左右に分割された画面の左側にローカル、右側にリモートが表示されている。ここで任意のファイルを選択して、「送信」「受信」ボタンを押せばファイル転送が行えるわけだ。

 この際、特定フォルダを共有するのではなく、リモート側のドライブがすべて見える状態で操作が行えるのは、ネットワークを介したファイル共有と大きく異なるポイントだろう。

 なお、本製品の対応OSはWidows Vista/XP/2000とWindows系OSに限られている。ネットブックとの連携用途以外にも、例えばMacintoshなど他のプラットフォームとの通信が可能なバージョンの登場にも期待したいところだ。


ステータス表示画面 リモートコントロールソフトは「UltraVNC」がベースと思われる

ネットワークが存在しない環境向けの製品

 筆者は日頃からLAN上でリモートデスクトップを多用しているが、本製品の場合、ネットワークが構築されていない環境やネットワークが利用できない環境で、PC同士の連携が必要なケースを想定した製品だと言える。

 こうした環境では、ドライバインストールに別途CD-ROMなどを必要とせず、直接ファイル転送が行える本製品の手軽さは魅力だろう。また、接続にあたってファイアウォールソフトに邪魔されない点は、セキュリティ面は別として初心者にとってもハードルは低いと言える。

 ただ、詳細なマニュアルはWebサイトからダウンロードする必要がある点は、初心者にとって少し敷居が高いかもしれない。もちろん、製品にも簡易マニュアルは添付しているが、いったん接続を終了したPC同士を再接続する方法やファイル交換機能などの言及がなかった点は気になった。

 評価としてはまだまだ発展途上の製品ということになるが、複数台のPCを所持するユーザーに対して、簡単なファイル転送環境を用意しようというコンセプトは時代のニーズに合致したものだと言える。今後の進化にも期待したい製品だ。


関連情報

URL
  製品情報
  http://corega.jp/prod/umpc2rul/
  コレガ
  http://corega.jp/


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(山口真弘)
2009/02/25 11:10
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