シチズン・システムズの「peb(ペブ) TW700」は、PCとの連携機能を備えた歩数計だ。USBケーブルを使ってPCと接続して、PC上で歩行データをグラフィカルに確認・管理できる。また、3D(三軸加速度)センサーの搭載によって、カバンや衣服のポケットの中など自由なスタイルで身につけられるなど、歩数計単体としての機能も充実している。
■ 凹凸の少ない小型ボディ。薄さも魅力
|
シチズン・システムズの「peb TW700」。店頭実売価格は5000円前後。カラーバリエーションは全6種類だ
|
商品名の「peb」とは、英語の小石を意味する「pebble」からイメージされたものという。そのネーミングのとおり、「TW700」は河原の小石を思わせるコンパクトな本体デザインが大きな魅力だ。
本体サイズは約73×10.5×31mm(幅×奥行×高)で、重量は25g(CR2032電池1個含む)。サイズ感としては板ガムを3~4枚重ねた程度で、10.5mmという薄さは印象的だ。
外装は鋭角部分がほぼなく、手に包んだ際の収まりも良い。歩数や日付が表示される液晶画面の横には4つの操作ボタンがあり、いずれも押下部分がフラットな構造になっていて、凹凸が目立たない。塗装もしっかりしており、質感はかなり高いと言えるだろう。
本体側面にはストラップ取付口がある。製品には脱着式ストラップが付属しているので、これをつけておくと良いだろう。このストラップは、ストラップ紐をワンタッチで取り外せるコネクタ、それに落下防止用のクリップがついており、使い勝手は非常に良い。
本製品はまた、小雨で濡れる程度なら問題なく利用できる防滴構造になっている(防滴I形)。ただし、水没までには対応しない。取扱説明書にも書かれているが、洗濯時には衣服のポケットに入れっぱなしにしていないか十分注意しよう。
|
|
|
脱着式ストラップが同梱
|
本体側面のUSB端子。フタの部分はゴムリングで防滴加工されている
|
裏面の電池収納部はネジ止め式。電池交換時は付属の簡易工具を使おう
|
■ 30日分の歩行履歴を自動保存~区間計測にも対応
|
歩数表示画面
|
初回起動時には、体重と歩幅、1日あたりの目標歩数、日時を入力する。この設定が終了すれば、あとは身につけるだけで自動的に歩数が計測される。歩数計測にあたって電源を入れたり、スタートボタンを押すといった操作は必要なく、電池が切れていない限り、ひたすら歩数計測が続く仕組みだ。カバンに入れて使用している場合などは、その存在すら忘れてしまうかもしれない。
歩数のカウント中、液晶画面には当日歩数、目標達成度のグラフ、現在時刻、エクササイズ量が表示されている。歩行やボタン操作が30秒間ない場合は画面表示が消える「省電力モード」になるが、歩き出したり、歩数計を動かせば、画面が再び表示される。
当日歩数表示画面で切替ボタンを押すごとに、消費カロリー、脂肪燃焼量、歩行距離、歩行時間、平均歩行速度へと表示が変わっていく。個人的には歩行距離、歩行時間を明確な数値として確認できることが新鮮だった。
歩行データ自体は、過去30日分が保存される。上矢印や下矢印ボタンを押すたびに1日ごとの履歴を確認できる。当該日を表示中に切替ボタンを押せば、消費カロリーや歩行時間といったデータも参照可能だ。この保存期間30日という仕様は、一般的な歩数計と比較してもかなり長い。加えて、「1日前」「7日前」といった日付表示ではなく、「○月○日」という絶対的な日付を表示してくれるのも嬉しいポイントだ。
|
|
歩数以外に、距離や時間なども参照できる
|
各種データは最大30日分保存されている。画面左下に表示されているのは日付(歩行した日)
|
通電中は常に歩数を計測する本製品だが、ある特定の区間、例えば自宅から最寄駅の間だけの歩数を測りたい場合には区間計測を利用しよう。標準画面から設定ボタンを数回押して「区間計測」の画面に変更したあと、上矢印キーを長押しして表示を「on」に変更する。すると、「off」にするまでの間、あるいは設定ボタンを長押しして歩数をゼロにリセットするまでの歩数を別枠として積算してくれる。
このほか、製品単体で確認できるのは「累計データ」。当日を含めた直近7日間の歩数や歩行距離などを累計値として表示できる。なお、日付・時刻だけを表示させる画面もあるので時計かわりにも利用できる。
■ PC用管理ソフト「pebNote」の使い勝手は
|
PC用管理ソフト「pebNote」のメイン画面
|
続いては、本製品の特徴であるPC連携機能を見てみよう。PCにインストールする専用ソフト「pebNote(ペブノート)」は、CD-ROMなどの形でパッケージに同梱されていない。事前にシチズン・システムズのWebサイト(ダウンロードページ)からダウンロードしておこう。対応OSはWindows Vista SP1/XP SP2以降。
pebNoteをインストールすると、Windowsタスクバーの通知領域にpebNoteのアイコンが常駐する。OSへのログオンと同時に起動し、ユーザー側で起動タイミングをコントロールできない。幅広い年代層のユーザーが利用するカテゴリの製品であるため、「PCを起動すれば使える」というわかりやすさを重視した結果と思われるが、PC上級者にとってはやや残念な仕様だ。常駐を終了させる場合には、タスクマネージャの「プロセス」タブから「PEBCOM.exe」を停止させる必要がある。
このアイコンが常駐している状態であれば、あとは製品同梱のUSBケーブルを使って、本製品とPCを接続するだけで歩行データの転送が行われる。初回起動時は性別、身長、体重、腹囲などのデータを入力する必要があるが、2回目以降は非常にスムーズに転送できる。インストールや初回起動時の設定だけPC熟練者に任せれば、PCに不慣れな人でも十分可能な操作だろう。
|
“タマゴ”が当日の様子を聞いてくる
|
データ転送時には、画面上に表示されたタマゴのキャラクターが当日の天気や食事量、何をして過ごしたか聞いてくる。メイン画面にも表示されるのでできれば答えておきたいが、回答自体をスキップしてもデータ集計には問題ない。余裕のあるときだけ回答すれば良いだろう。また、メモの形で短いコメントを登録できる。散歩や旅行の思い出、日記などにも利用できそうだ。
より統計的に歩行データを参照したい場合はメイン画面からグラフ表示へ切り替えてみよう。歩数・目標歩数・距離・消費カロリーなどの変遷がわかりやすく確認できる。また、体重と腹囲については、pebNote上で手入力した履歴がわかる。項目にもよるが週間・月間・年間単位で表示できるので、歩行データが貯まれば貯まるほど閲覧が楽しくなるはずだ。
グラフデータの中で、注目したいのは「歩数」と「距離」。この2項目については「日間」でのデータとして、当日の1時間ごとの数値が確認できる。製品単体では確認できない、pebNoteならではの項目だ。
|
|
|
グラフ画面
|
歩数と距離は1日の時間帯別に参照できる。pebNoteでしか確認できない項目だ
|
歩行距離をベースに、日本1周をバーチャル体験できるモードも
|
pebNoteを使っていて気になった点は、使用には常にTW700をPCに接続している必要があることだ。過去のデータを確認したい場合もあるため、可能であればpebNote単体でも起動できるようになって欲しい。また、歩数を除いた体重や目標歩数の一部データが、pebNoteと連動していない点も残念だ。
■ 基本機能は十分、あとはpebNoteのバージョンアップに期待
TW700は30日分のデータ保存が可能など、歩数計単体としての基本機能は十分。身につけていることを忘れるほどの小型・軽量ボディの効果は大きい。日々の歩行データを意識せずにドンドン蓄積でき、歩行距離など普段なら知り得ない数値を可視化してくれる、非常に面白いツールと言えるだろう。
一方、PC用管理ソフトpebNoteの機能性・データ連動性については、PC熟練ユーザーから見た場合物足りなさを感じるのも事実。ただ、PC連携機能のない下位モデル「peb TW600」との実売価格差が1000円程度であることを考えると、PC連携機能の内容はある程度妥協すべきかもしれない。とはいえ、TW700本体のファームウェアアップデートが実施されていることもあり、ぜひソフトウェア側であるpebNoteのバージョンアップにも期待したいところだ。
■ URL
製品情報
http://www.citizen-systems.co.jp/electronic/health/tw700.html
シチズン・システムズ
http://www.citizen-systems.co.jp/
(森田秀一)
2009/04/22 10:57
|