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トラックボール搭載電卓で作業効率をアップ! キヤノン「KS-1200TKM」


 「KS-1200TKM」は、12桁表示の本格的な電卓。左にトラックボール、右にカーソルキー。ディスプレイの右下には「PC/計算」切り替えボタンがある。購入価格は5,229円
 一目見てわかる通り、今回取り上げる「KS-1200TKM」はトラックボールとカーソルキーを搭載した電卓だ。この手のアイテムというと、テンキー付きマウスや電卓付きマウスパッドといったアクセサリー類を連想してしまいがちだが、KS-1200TKMにはガジェット的な要素は一切ない。電卓としての機能とポインティングデバイスとしての機能、どちらも実用品として高いレベルにある。キヤノン電卓ラインナップの上位に位置するプロフェッショナル指向の製品だ。

 トラックボールは、ボール式マウスをひっくり返したような構造をしたポインティングデバイスの一種だ。平らな面を転がすかわりに、ボールを指先や手のひらでクルクル回して操作する。以前はノートパソコンに広く採用されていたが、薄型化が難しいためか、今ではタッチパッドが主流となり、どちらかといえばマイナーな存在になってしまった。しかし、慣れると使いやすく、根強い愛用者が少なくない。外付けのポインティングデバイスとして、まだまだ現役で活躍している。

 KS-1200TKMのトラックボールは、小型ながら本格的な作り。右手で扱う場合、人さし指か中指で操作できる位置にある。ボタンはボールの左右に配置されており、クリックはマウスと同じ感覚。トラックボール時代のノートパソコンを使っていた筆者は、まったく違和感なく扱うことができた。

 トラックボール付き電卓は、表計算ソフトでセル間を移動するときなどに力を発揮する。普通なら、ほんの少しポインタを移動させるために、キーからポインティングデバイスへと大きく腕全体を動かさなければならない。しかし、KS-1200TKMなら斜め上に指を動かすだけで良いのだ。作業のリズムを崩すことなく、効率がアップするのは間違いない。

 ノートパソコンと組み合わせれば外付けのマウスがわりになるし、テンキーパッドとしても利用できる。こういった複合デバイスは意外に中度半端で、今ひとつ用途が限られてしまう場合が多いが、KS-1200TKMがカバーできる範囲は幅広い。電卓とパソコンを駆使するビジネスマンなら、1台用意しておいても損はないだろう。

 ちなみに、キヤノンによればトラックボール付き電卓は業界初だそうだ。KS-1200TKMもユーザーからの要望に応える形で開発されたという。なぜこんな便利なモノが今までなかったのか不思議なくらいである。


「計算」と「PC」。2つの動作モードが利用可能

 KS-1200TKMには2つの動作モードがある。1つは普通の電卓として動作する「計算」モード。パソコンに接続されていれば、左上にあるグリーンの「送信」キーを押すことで、ディスプレイに表示されている数字が転送される。計算結果だけをパソコンに送りたい場合に便利なモードだ。

 もう1つは「PC」モード。キーを押しても計算はせず、数字がそのままパソコンに送られる。外付けのテンキーパッドとして機能するようになるのだ。このモードに設定されているときはディスプレイ上部に「PC入力モード」と表示される。

 2つのモードは、本体左上にある「PC/計算」ボタンで切り替える。トラックボールとカーソルキーはモードに関わらず、パソコンに接続されていればポインティングデバイスとして使用可能だ。ほかにも、エンターやバックスペース、タブの各キーを搭載しており、数字を扱う作業ならパソコンのキーボードに触れなくても、一通りこなせるはずだ。

 パソコンとの接続はUSBを利用する。キーボードやマウスと同じHID(Human Interface Device)として扱われるので、ドライバのインストールといった手間はかからない。ケーブルは家電製品などの電源コードのように、本体内のロールに巻き取って収納する方式。また、プラグ部分は裏側のくぼみにはめこんで固定、収納可能。普段は独立した電卓として利用していても、必要になったらケーブルを引き出し、そのままパソコンに接続できる。なかなか優れたデザインと言えるだろう。


裏側。内部の巻き取りロールに90cmのUSBケーブルを収納。上下に滑り止めのゴムがある USBケーブルを引き出したところ。ストッパー機構がついているので、必要な長さに調整可能

 KS-1200TKMはパンタグラフ式と呼ばれるX字型の部品でキーを支える方式を採用している。中心から外れた場所を押してしまっても、確実に入力できるのが特徴だ。タッチは驚くほど良い。キーを押し、放して戻るという一連の感覚がしっかり伝わってくるのである。筆者が普段使っているゴムの反発を利用するタイプとは比べものにならないほど扱いやすく感じた。

 また、早打ちに対応するためにインプットバッファという機能も備えている。入力を何桁分かまとめて受け付けるのだ。キーを打つ速度が電卓の処理速度を超えると数字の取りこぼしが出てしまうため、こういったシカケが必要になるという。

 筆者の入力速度では効果を実感することはできなかったが、試しに縦に並んだ「7」「4」「1」「0」のキーを、手首のスナップを利かせてザッとひとなでしてみる。こんな乱暴な操作でも、ディスプレイにはしっかりと「7410」が表示された。参考までに、筆者所有の電卓でも同じことをやってみたが、最初の「7」だけしか受け付けない。プロフェッショナル向け製品と安価な一般向け製品の違いはこんなところにあるようだ。

 ディスプレイは12桁。表示は大きく読み取りやすい。税率を設定できる税計算機能を搭載。小数点以下3桁目を切り捨て、切り上げ、四捨五入して算出できるほか、表示桁数を制限することが可能だ。

 電源はソーラーセルと電池を併用しており、光量が足りない場所での使用にも支障はない。表面は質感の高いアルミパネル、裏面には大きなゴム製の滑り止めがついている。重量が275g、本体サイズが114.5×183.7×345mm(幅×奥行×厚さ)と大柄ではあるが、デスクの上に常備しておきたくなるアイテムではないだろうか。


ディスプレイに「PC入力モード」と表示されている。この設定では、電卓としてではなくテンキーパッドとして機能する

関連情報

URL
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/Product/calc/pc/ks1200tkm.html
  キヤノン
  http://canon.jp/


(斉藤成樹)
2004/04/14 11:19
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