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モバイルノートで重低音を響かせろ ノートPC用サブウーファー「小坊主」


ノートブックPC用サブウーファー「小坊主」。直販サイトの価格は4,980円(送料込)。まるで巨大ヨーヨーのような外見で、筆者のまわりでは「USBにつなぐ蚊取り器?」なんて意見もあった(笑)
 ちょっと見ただけでは、何に使うのかわからないUFO型のナゾのアイテム。直径12cm、厚さ4cmほどの大きさで、上面は半透明のカラーパネルで覆われている。さらに横には、フォンプラグとUSBらしき平たいコネクタがある。巨大なヨーヨーにも見えるこの製品、実はパソコンに接続して低音を補強するスピーカーユニットなのである。

 ノートパソコンを使っているとサウンドに不満を感じることがあることはないだろうか。特に小型のモバイルノートは、ペラペラの薄っぺらい音しか聞けないことが多い。理由はカンタン。内蔵スピーカーが小さくて十分な低音が出せないからだ。

 低音が不足するのは人間の耳の性質にも原因がある。音量が小さいと中音域、高音域ばかりが耳について低音が聞き取りにくくなってしまうのだ。大きなスピーカーを備えたオーディオセットでもラウドネスやイコライザーで低音不足を補えるようにしているし、5.1chサラウンドのような本格的なシステムは低音専用のスピーカーユニットを用意しているほどなのである。ボリュームを上げずに使うことが多いノートパソコンの音が薄っぺらく聞こえるのは、当然といえば当然の話なのだ。

 もちろん低音が不足しているからといって、問題があるわけではない。人が話す声やちょっとした効果音を鳴らすだけなら気にならないだろう。しかし、音楽を聴いたりDVDを見たり、あるいはゲームを楽しもうとすると情けない思いをすることになってしまう。

 低音を出したければスピーカーセットをつなげれば良いが、それは大ゲサすぎる。かといって、いちいちヘッドフォンをつけるのはうっとうしい。だいたい内蔵スピーカーでも中音域から高音域は十分に出せるのである。それなら、低音だけを鳴らすスピーカーを取り付ければ良いじゃないか。そんな発想を形にしてしまったのが、この「小坊主」なのだ。


中に口径5cmほどのスピーカーが透けて見える。カラーバリエーションはグリーンのほかに4色 左がボリューム調整ダイヤル。右のスライドスイッチで低音モードと通常モードを切り替えられる

 小坊主は普通の外部スピーカーのようにヘッドフォン端子に接続するのだが、ここにユニークなシカケがある。ノートパソコンに限らず、たいていのオーディオ機器は端子にプラグを差し込むと自動的、というより強制的にスピーカー出力がキャンセルされてヘッドフォンだけから音が出るようになる。ところが小坊主では、つなげてもスピーカーは止まらない。つまり、パソコンから出る音を活かしたまま低音だけを補強するのである。

 音質については、中音域と高音域を担当するパソコン側のスピーカーの影響が大きいので評価しづらい面がある。しかし、低音の迫力という点でいえば小坊主の効果は驚くほど。内蔵スピーカーだけでは「ビョンビョン」「ポコッポコッ」としか聞こえなかったベースやバスドラムが、「ボンボン」「ドスッドスッ」と響いてくるのだ。パワーもかなりのもので、ボリュームを上げるとテーブルに振動が伝わってくるほど。にもかかわらず、ワザとらしさを感じることはなかった。変に音を加工して低音を強調しているわけではないので、ムリのない自然なサウンドになっているようだ。

 標準的なノートパソコンに小坊主を取り付けると、内蔵の左右スピーカーとあわせて3スピーカーのシステムになる。ステレオなら左右のチャンネルに1台ずつ、計2台用意する必要があるように思えるが、実は1台で十分なのだ。低音には指向性というものがない。つまり、どこから聞こえてくるのかわかりづらく、スピーカーを左右に振り分けてもステレオの効果が薄いのである。

 指向性がないということは置き場所を選ばないということだが、筆者は少しこだわってみた。ノートパソコンの後方、起こしたディスプレイの真裏に隠すように置くことにしたのだ。こうすると音量バランスが良く、内蔵スピーカーとの間に微妙な距離の差ができるためか、音に広がりが出るように感じられたのである。これは意外な効果だった。

 本体の横にあるスイッチを切り替えると、低音だけでなく中高音を出すことができる。普通の外部スピーカーとして使えるわけだが、パソコンと組み合わせる場合、この機能はオマケ的に考えたほうが良い。中高音が強調されすぎて、やたらにぎやかな、ハッキリいえば耳障りな音になってしまうのだ。しかし、人の声などは聞き取りやすいので、例えば何人かで会議の録音を聞きたいときなど、役に立つこともあるだろう。

 本体はメタリックシルバーのプラスチック製。上面は半透明のカラーパネルで、中にある直径5cmほどのスピーカーが透けて見える。カラーバリエーションはブラック、レッド、オレンジ、グリーン、ブルーの5色だ。横には音量調整ダイヤルとモード切替スイッチがある。電源はUSBインターフェイスから取る方式だが、USBデバイスではないのでドライバなどのソフトは不要。PC/AT互換機ならば、OSの種類は問わない。接続ケーブルは50cmほど。家電の電源ケーブルのように2本1組になっており、それぞれの先にフォンプラグとUSBプラグがついている。本体の中に巻き取るようにして収納できるので、持ち歩くときもジャマにならない。


本体の上部を回すとケーブルがこの穴の中に巻き取られていく 左は中間に切れ込みがある特殊なフォンプラグ。右が電源を取るためのUSBプラグだ

 パッケージには「ノートブックPC用サブウーファー」とある。ウーファーとは、オーディオの用語で低音域を鳴らすスピーカーユニットのことをいう。ちなみに、中音域用はスコーカー、高音域用はツィターと呼んでいる。サブウーファーはウーファーよりもさらに低い、音というよりは振動として感じるほどの超重低音を出す大きなスピーカーのことだ。

 小坊主はこれに引っかけて、補助的といった意味合いで「サブウーファー」を名乗っているのかもしれない。製品名の「小坊主」にしてもハイテクスピーカーシステムで有名な某メーカー名が元ネタという気がしてならない。筆者の想像が当たっているとしたら、なかなかシャレの利いたネーミングではないだろうか(笑)。

 参考までに記しておくと、筆者が使っているノートパソコンの中で1台だけ、プラグを差し込んだときにパソコン側のスピーカーがキャンセルされてしまうものがあった。かなり古いマシンなのでヘッドフォン端子が壊れかけていた可能性があるし、完全に奥まで差し込まず、途中で止めるようにすれば音は出たので実用上問題はなかったが、機種によっては小坊主のシカケが通用しないこともあり得るのかもしれない。なお、ヘッドフォン端子がモノラルのタイプでは、小坊主は使用できないので注意していただきたい。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.mib.co.jp/products/kobose/kobose.html
  MIB
  http://www.mib.co.jp/


(斉藤成樹)
2004/06/02 11:20
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