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お風呂で使えてラジオも聴ける。ポータブルMP3プレーヤー「AZ-BS32」


アイワの「pavit DIGITAL AUDIO PLAYER AZ-BS32」。実売価格は2万円前後。発売日が当初の4月から6月に延期されていた
 お風呂に入りながらMP3プレーヤーに保存した音楽を聴きたいとき、どうしているだろうか。筆者の場合、プレーヤーを脱衣所に置き、FMトランスミッタで浴室の防水ラジオへ電波を飛ばしている。FMステレオ放送対応のラジオなら音質はなかなかのものだし、何よりお手軽なのが有り難い。

 しかし、この方法には欠点がある。いったん浴室から出てプレーヤーを操作しないと好みの曲を選んだり、繰り返し再生することができないのである。そのときの気分で聴きたい曲がコロコロ変わるわがままな筆者にとって、これは大きな問題だったのだ。ところが、そんな不便を一気に解決してくれる製品が登場した。水に強い、お風呂で使えるFMラジオ付きMP3プレーヤーだ。これなら湯船に浸かったまま好みの曲を好みのローテーションで聴くことができる。

 AZ-BS32の見た目はとてもスッキリとしている。丸くて平らなフロントパネルは白いプラスチック製。裏側は浴室にもマッチする清潔感のあるブルーだ。ハンドル部分を除いた本体サイズは直径115mm、厚さ39.3mm。製品写真を見たときは、もっと大きなものを想像したのだが、実物はとてもコンパクトだ。このサイズなら、デスクの上やベッドサイドに置いておいてもジャマにならないし、アウトドアに持ち出しても良い。FMラジオ用のアンテナを内蔵したハンドルは自由に角度を変えることができ、スタンドにして立てかけたり、取っ手にしてフックにぶら下げたりと、さまざまなスタイルに対応できる。

 再生モードはノーマル、リピート、シャッフルの3種類から選べる。ラジオはデジタルチューナー方式のFM専用。テレビ放送の1から3チャンネルを含め、20局分の周波数をプリセットすることが可能だ。前面にあるバックライト付きディスプレイには時間、曲名やファイル名、ラジオのチャンネルなど、各種の情報が表示される。多機能とは言えないが、必要な機能をわかりやすくまとめてあるという印象を受けた。

 再生モードの選択以外は、すべて上の側面に並んだ8つのボタンで操作する。水分が入り込まないように設計されているためか、ボタンが押しにくく感じることもあったが、よく使う再生モードの切り替えをロータリースイッチとして独立させるなど、使い勝手を考えたデザインには好感が持てる。


 フロントパネルの内部には、左右チャンネルそれぞれのスピーカーが2つ並んでいる。ボディの幅がCDよりも小さく、十分な距離をとれないため、ステレオとしての効果は今ひとつだが、160mW+160mWと室内で聴くには十分なパワーを確保している。サウンドは中音域が目立つ、どちらかといえばラジオ向けの音質だ。しかし、反響が多い浴室では逆にバランスが良く、聴きやすくなるように思えた。アンテナ内蔵のハンドルをたたんでしまうとFMラジオの感度は落ちるが、ネジ込み式のワイヤーアンテナが付属しており、必要に応じて本体の裏側に取り付けられるようになっている。

 電源は単3乾電池2本。充電式バッテリーに比べればランニングコストはかさむが、カタログスペックによると、アルカリ乾電池の場合で約10時間の連続再生が可能。左右2個のスピーカーを鳴らしているという点を考えれば納得できるレベルだ。海水浴場やキャンプ場に持って行く場合、出先で電池が切れてもコンビニなどで簡単に手に入れられるというメリットもある。


ハンドルをスタンドにして浴槽の脇に。ただしハンドルにアンテナが内蔵されているため、この置き方だとラジオの感度は悪くなってしまう 電池を含めた重量は約255g。ハンドルを起こして壁にかけても良いが、写真のような吸盤式フックは、たまに剥がれて落ちることがあるので要注意 裏側。右にあるロータリースイッチで再生モードを切り替える。その上にある小さなくぼみはワイヤーアンテナをつなげるネジ穴

 MP3ファイルの保存には「Pavit(パビ)」という独自のストレージメディアを採用している。USBコネクタに直接差し込める形式のコンパクトなメモリモジュールだ。製品に付属している32MBのほか、別売オプションとして128MBと256MBの2種類が用意されている。

 数十GBクラスのHDDを内蔵したプレーヤーが登場している今では容量の面で不満を感じるかもしれない。しかし、pavitには扱いやすさという点で大いに利用価値がある。なにしろパソコンのUSBコネクタに差し込み、データを流し込んだら引き抜いて、そのままプレーヤーに差し込みさえすれば良いのだ。可動部がないため信頼性は高く、必要なら買い足すこともできるのである。

 ちなみにAZ-BS32の裏側には「ソニー株式会社」と刻字されている。とはいっても、メモリースティックに対応しているわけではなく、音声データ圧縮方式にATRAC3を採用しているわけでもない。ソニーの傘下ではあるが、アイワブランドならではの独自色を打ち出しているようだ。pavit対応機器は円をモチーフにしたデザインを採用した製品が多く、AZ-BS32のほか、ポータブルプレーヤーやヘッドフォン型プレーヤー、またデジタルカメラもラインナップされている。

 pavitへのファイル転送は付属の専用ソフト「Music Transfer pavit Edition」を利用する。使い方はごく簡単だ。エクスプローラと同じ感覚でMP3ファイルがあるフォルダを開き、転送したい曲を選択。あとはウィンドウ中央付近にあるボタンをクリックするだけ。USB 2.0に対応しているので、10MB程度のデータならほとんど瞬時に転送されてしまう。ウィンドウ下部はpavitに記録された曲のリストや再生時間、空き容量などがグラフ表示されるほか、不要な曲を消去したり、曲順を並べ替えるといった作業が行なえる。


上側のpavit収納部。銀色に見えるのがpavitだ。フタには水が入り込まないようにパッキンが取り付けられている 付属のUSBストレージメディア「pavit」。容量32MB。ボディーは半透明でパソコンのUSBコネクタに差し込むと光る 専用のファイル転送ソフト「Music Transfer pavit Edition」。動作OSはWindows 98SE以上

 「Music Transfer pavit Edition」で転送したMP3ファイルは、「aop3」という拡張子が付いたファイルに変換される。これはpavit対応機器専用の独自形式らしく、パソコンやほかのMP3プレーヤーなどでは再生できない。転送したファイルをパソコンに書き戻すことも不可能だ。プレーヤー側も「Music Transfer pavit Edition」以外の方法でpavitに書き込まれたMP3データを再生することはできない。少々不便に思えるが、著作権関係の問題をクリアするために設けられた制限らしい。なお、サンプル品にはMP3データを作成できる「MP3 Jukebox 7.5 Basic版」が付属していた。

 AZ-BS32のpavit用スロットや電池収納部のフタには、水が入り込まないようにロック機構とパッキンが取り付けられている。ヘッドフォン端子のカバーも柔らかいゴム製だ。防水性能は保護等級4の防まつ型。JISの規定では「いかなる方向から水の飛まつを受けても有害な影響がないもの」とされている。つまり、浴室のような場所で水しぶきがかかったり、屋外で雨にさらされても問題はないということだ。しかし直接水を浴びせたり、水中に沈めたりといったハードな使い方には対応していないので注意していただきたい。

 なおAZ-BS32には音楽再生のバックグラウンドで動作するストップウォッチとカウントダウンタイマー機能も搭載されている。いろいろな使い道がありそうだが、筆者は小さい頃、湯船に肩まで浸かって「い~ち、に~い、さ~ん」なんて数えていたのを思い出してしまった。これからの子供はこういうデジタルなデバイスでカウントするようになるんだろうか。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.jp.aiwa.com/USB/data/audio_players/AZBS32/
  アイワ
  http://www.jp.aiwa.com/


(斉藤成樹)
2004/07/21 11:04
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