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シガーライターソケットに差し込んで使えるクルマ専用MP3プレーヤー


MIBの「シガーソングライター? FMP3」(直販価格12,800円)。シガーライターより少し大きいもののコンパクトなボディだ
 クルマ用のオーディオ機器といえば、普通はセンターコンソールにマウントするDINラックサイズのユニットを思い浮かべる。ところが、今回紹介する「シガーソングライター? FMP3」の大きさは38×22×90mm(幅×高×奥行)。重さはわずか32gしかない。なんと本体がプラグの形をしており、そのままシガーライターソケットに差し込んで使えるMP3プレーヤーなのである。再生音は内蔵のFMトランスミッタを通して電波に乗せ、カーステレオのFMラジオで受信する方式だ。

 再生するMP3データはUSBフラッシュメモリに保存したものを利用する。シガーライターソケット用プラグ部の反対側にUSBコネクタが用意されており、ここに差し込むのだ。USBフラッシュメモリの機種は特に決められていない。最近のUSB 2.0対応品のほか、少々古い製品も試してみたが、すべて正常に動作した。一般的なUSBマスストレージクラスに対応したものなら使えるだろう。言うまでもないが、製品名にある「ライター」はwriterではなく、lighterなのだろう。何かデータが書き込めるわけではないので、念のため(笑)。

 使い方は、MP3データを保存したUSBフラッシュメモリを取り付け、クルマのシガーライターソケットに差し込むだけだ。FMラジオのチャンネルを、FMトランスミッタの周波数にあわせれば再生音が聞こえてくる。固定用のホルダーなどを取り付ける必要はないし、ケーブルを接続するといった手間も一切かからない。最近の車載用プレーヤーにはMP3データを収めたCDやDVDを再生できるものもあるが、「シガーソングライター? FMP3」なら、はるかに簡単にMP3のサウンドを楽しむことができるのだ。欠点を挙げるとすれば、再生音を電波に乗せるため、プレーヤーで直接再生するときよりも音質がやや落ちる点と、外部のノイズに影響を受けやすいという点だ。もっとも、普段はこれと同じ条件でFMラジオ放送を聴いているわけだから、問題といえるほどではないだろう。

 「シガーソングライター? FMP3」は、シガーライターソケット以外の電源には対応していない。出力は内蔵FMトランスミッタの電波のみで、ラインアウト端子やヘッドフォン端子もない。つまり、MP3データの再生音をカーラジオで聴くための専用機器なのである。考えてみれば、このボディにバッテリー収納スペースやACアダプタ用のコネクタ、あるいはさまざまな出力端子を組み込んだら、倍近い大きさになってしまいそうだ。普通なら欲張ってしまいそうな部分をバッサリ切り捨て、あくまでシンプル、コンパクトに徹しているところに、このアイテムの存在価値があるように思える。


USBフラッシュメモリを差し込むと全長はかなり長くなる。何かに引っかけて破損させないよう注意が必要 操作は3つのボタンだけ。歯車のようなグレーのダイヤルが周波数切り替え用のロータリースイッチだ

 プレーヤーとしての機能は必要最小限だ。ソケットに差し込んだとき、手前になる本体端の丸みを帯びた部分を取り囲むように「曲送り」、「曲戻し」、「再生・一時停止」と3つの操作ボタンが並んでいる。ほかには、ゆっくり点滅するパワーインジケーターと内蔵FMトランスミッタの周波数を切り替える7ポジションの小さなロータリースイッチがあるだけ。ディスプレイなどはなく、曲名表示や再生モード設定といった機能は用意されていない。ひたすら、フラッシュメモリ内のMP3データを再生していくのみである。

 低機能と言ってしまえばそれまでだが、実際に使ってみるとほとんど不満を感じなかった。運転中に曲名を確認することはないし、複雑な操作を行なうこともない。せいぜい信号で止まっている間に、フラッシュメモリを差し替える程度なのではないだろうか。クルマの中という条件なら、必要にして十分な機能と言える。

 「曲送り」「曲戻し」ボタンを押すと、再生中の曲が素早くフェードアウトして前後の曲にジャンプする。この2つのボタンは出力レベル調整を兼ねており、押し続けることで音量を変えること可能だ。音に歪みが出ないレベルに設定し、実際に聴く音量はラジオ側で調整すると良いだろう。

 シガーライターソケットは差し込みが深く、シッカリと固定されるので、ボタン操作には安心感がある。しかし、USBコネクタ部分は手を引っかけると簡単に折れてしまいそうに思えた。筆者が本製品を試用したクルマの場合、シガーライターソケットの位置が悪く、長さのあるUSBフラッシュメモリを取り付けると、ステアリングを握る手に当たってしまいそうだった。

 音質は普通のFMラジオ放送を聴いているのと変わらない。単体で販売されているFMトランスミッタと同程度だ。リーフレットなどには明記されていなかったが、デジタルチューナーを採用しているらしく、走行中にチューニングがズレて雑音が混じるといったトラブルとは無縁だった。周波数は87.7MHzから88.9MHzまで、0.2MHz刻みで7チャンネル。FM放送局の電波と重ならないように小さなロータリースイッチで切り替える方式だ。電波は3m前後まで届くので、車外に置いたポータブルラジオでも再生音を受信することができる。一般的なFMトランスミッタと比べると距離が短いように思えるが、「シガーソングライター? FMP3」は用途を限っているため、あえて出力を抑えているのかもしれない。

 電源は乗用車で標準的なDC12V専用。プラグ部の先端を回すと0.5Aのヒューズが入っている。消費電力はアイドル時で150mAだが、電源スイッチはなく、ソケットに差し込まれている限り通電状態になる。キーを抜いても電源供給を続けるタイプのクルマではバッテリー上がりに注意が必要だ。


プラグ部分の先端をねじって取り外すと、中から0.5Aのガラス管ヒューズが出てくる 今回は7種類のカードが扱えるマルチスロットタイプのカードリーダー/ライターと組み合わせてみた

 製品付属のリーフレットなどには書かれていないのだが、発売元であるMIBのWebサイトを見ると、「シガーソングライター? FMP3」にはUSBフラッシュメモリだけでなく、カードリーダー/ライターも接続することができるという。確かにUSBマスストレージクラスに対応している製品なら、正常に動作するハズである。試しに手持ちのカードリーダー/ライターを接続してみたところ、問題なくコンパクトフラッシュに保存したMP3データが再生された。

 ケーブルを接続する手間はかかるものの、さまざまなタイプのメモリーカードが利用できるというメリットは大きい。実を言えば、試用期間中はUSBフラッシュメモリよりカードリーダー/ライターを使う機会のほうが多かった。すべてのカードリーダー/ライターでの動作が保証されているわけではないが、手元にカードリーダー/ライターがあれば一度試してみることをお勧めしたい。ただ、ステアリングやシフトレバーの周りにUSBケーブルが垂れ下がっているのは安全上問題がある。コンソール沿いにガムテープで貼り付けるなど、何かしら固定する手段を考えておくと良いだろう。


シガーライターソケットに差し込んだところ。まるでクルマ用のUSBメモリキーのように見える カードリーダー/ライターを取り付ける。USBケーブルが少々ジャマになるが、使い勝手は良い

関連情報

URL
  製品情報
  http://www.mib.co.jp/products/mp-308/mp-308.html
  MIB
  http://www.mib.co.jp/


(斉藤成樹)
2004/08/18 13:11
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