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パソコンに挿すだけでドライバインストール可能なUSB無線LANアダプタ


(上から)プラネックスの「GW-US54GZ」(オープンプライスで同社参考価格は5,980円)と、バッファローの「WLI-U2-KG54-AI」(標準価格7,770円)。どちらもスティックタイプのUSB接続型無線LANアダプタだ
 かつては速度の遅さが目立ったUSBスティックタイプの無線LANアダプタだが、最近ようやくIEEE 802.11g対応のモデルが市場に出回りはじめた。ボトルネックだったインターフェイスもUSB 2.0となり、PCカードタイプの無線LANアダプタと肩を並べる性能を発揮するようになっている。

 さらに最近のトレンドとして挙げられるのは「ドライバの自動インストール機能」だ。これは、USBポートに製品を挿入するだけで、ドライバとユーティリティのインストールからセキュリティ設定までを自動的に行なってくれるという便利な機能である。今回試用したバッファローの「WLI-U2-KG54-AI」と、プラネックスコミュニケーションズの「GW-US54GZ」は、いずれも本機能に対応した製品で、Yahoo! BBの認定モデルにもなっている(関連記事)。注目の自動インストール機能から、無線LANアダプタとしての使い勝手までを見てみよう。


便利な自動インストール機能

 まず最初に、ドライバ自動インストール機能の仕組みを説明しておこう。これは、USBアダプタ内部に設けられた記憶領域に、あらかじめドライバソフト一式を書き込んでおくことで、初回挿入時にドライバが自動的にインストールされる機能だ。早い話、USBアダプタの中にUSBメモリが入っていて、そこにドライバCDの中身がまるごと入っていると考えると良いだろう。ちなみに同機能については、バッファローが「おまかせセットアップ機能」、プラネックスが「らくらくインストール機能」とそれぞれ名称がついている。

 製品をUSBポートに差し込むと、まず最初にUSBマスストレージデバイスとして認識が開始される。認識後はCD-ROMのオートランと同じようにインストーラが自動起動し、ドライバとユーティリティのインストールが実行される。この間、使用許諾契約の同意する/しないといった選択を除き、ユーザー側の操作はまったく必要ない。インストールが完了すると、無線LANの電波を探して接続するところまで自動で行なってくれる。

 インストール作業は、Windows XP環境下では両製品とも3~5分程度で終了する。先にUSBストレージとして認識させるぶん手動インストールより時間がかかるが、PCの前でウィザードにつきっきりになる必要がないので、インストール作業に手間をかけたくないユーザーや、ドライバのインストールそのものが苦手な初心者に便利だろう。


白くスマートな筐体を採用するバッファローの「WLI-U2-KG54-AI」。本体サイズは11×88.8×25mm(幅×奥行×高) プラネックスの「GW-US54GZ」は、全体的に丸みを帯びた印象。サイズは30×98×14mm(幅×奥行×高)と、バッファロー社製より若干大きい ストラップホールは、プラネックス製品では本体側に、バッファロー製品では本体とキャップ側双方に用意されている

 少々気がかりな点もある。インストール中に、CD-ROMデバイスやUSB 2.0ディスク、キーボードが見つかりました、と立て続けにメッセージが表示されることだ。自動インストールの仕組みを知っていれば「なるほど、一時的に仮想ドライブや仮想CD-ROMとしてパソコンに認識させているんだな」と理解できるのだが、知らないと少々ドキッとさせられる。表示を隠したほうが無用な不安をユーザーに与えなくて済むのではとも感じた。

 ちなみに自動インストールが何らかの理由で中断した場合は、添付のCD-ROMからインストールすることになる。なお、バッファローの製品では、パソコンを使わずに無線LAN機器間の接続設定やセキュリティ設定が可能な「AOSS(AirStation One-Touch Secure System)」にも対応している。


Win98での自動インストール時には注意が必要

Windows 98での自動インストールは少々特殊。MS-DOSプロンプト上で、コマンドを自動入力することによって認識を行なう
 OSにWindows 98を利用している場合の自動インストールについても説明しておこう。Windows 98はもともとUSBマスストレージという概念がないため、標準ドライバで認識できない。自動インストールしようにも、その土台となるストレージとしての認識が、手動でないとできないのだ。

 そのためWindows 98環境では、ちょっとした裏技を使って自動インストールを実現させている。その裏技とは、最初にマシン側に仮想キーボードとして認識させたのち、MS-DOSプロンプトを起動、プログラムをコマンドで直接書き込んでいくというものだ。画面にMS-DOSプロンプトが立ち上がり、自動的にコマンドが打ち込まれていく様子を見ているとこんな方法があったのか、と感心してしまう。

 ただし、仮想キーボードを用いてコマンド入力やウィンドウのフォーカス移動を行なうため、インストール中にキーボードやマウスを操作すると、作業が途中停止してしまう場合もあった。また、Windows 98ユーザーが今日まで使い続けているOSがクリーンインストールに近い状態を維持しているとは少々考えにくく、環境によってはうまくいかない可能性もある。Windows 98環境においては、自動インストールはあくまで補助的な機能と解釈しておいたほうがよさそうだ。

 また、Windows 98環境での自動インストールは、かなり時間がかかることも要注意だ。筆者が試用した範囲では、Windows XP/2000などマスストレージに対応したOSでは完了まで3~5分程度だったが、Windows 98ではおよそ2倍の8~10分程度の時間を要した。その大半はコマンドラインを利用してUSBストレージとして認識させるための時間なので、CD-ROMからのインストールが可能な環境であるならば、素直にそちらを利用したほうが良いだろう。

 いくつか気になった点を述べてきたが、ドライバインストールをほとんど行なったことがない初心者にとっては、親切な機能であることに間違いはない。多少イレギュラーな方法とはいえ、Windows 98ユーザーも自動インストール機能の恩恵を受けられるべく、製品化にまでこぎつけた両メーカーの姿勢は高く評価したい。


手軽に無線環境を実現したいユーザー向け

 無線LANアダプタとしての使い勝手そのものは、両製品とも良好である。通信速度もカードタイプと同等で、Wi-Fi認証も取得済み、基本的な暗号化機能もきちんとサポートされている。自動インストール機能は決して万能ではないが、便利な機能であることに間違いはない。ちなみに両製品とも自動インストールを省いたモデルが併売されているので、同機能が不要であればそちらを選べば良い。

 むしろ本製品を選ぶ場合、ポイントとなるのは利用シーンかもしれない。一昔前の製品に比べてかなり小型化されたとはいえ、両製品とも全長は10cm弱あるため、ノートに装着したまま持ち歩くならカードタイプを選ぶほうが得策である。従って本製品のターゲットは、ノートを据え置きで利用するユーザー、またはデスクトップパソコンのユーザーで、何らかの事情でカードタイプの無線アダプタが使えない場合ということになる。

 さらに、IEEE 802.11gの性能をフルに発揮するのであれば、USB 2.0が使える環境が必須である。例えばWindows 98プリインストールのパソコンではUSBは1.1である可能性が高いため、USBの速度がボトルネックとなり、IEEE 802.11gの通信速度が制限されてしまうからである。また、USBハブ経由の通信はサポートされないため、パソコン本体のUSBポートに直接接続しなければならない点も注意が必要だ。

 余談だが、最近のUSBデバイスは、本体のROM領域からアプリケーションを実行する機能が1つのトレンドとなりつつある。今回紹介した製品のほか、アイ・オー・データ機器のUSBメモリ「EasyDisk」の一部製品では、挿入時にUSBメモリ内の実行ファイルを自動起動させる機能を搭載しているし、本連載でも紹介されているロジテックのUSBデータリンクケーブル「LUB-PTPU2」は、内部にデータ転送用のアプリケーションそのものを内蔵し、ユーティリティのインストールなしでの動作を実現している。いずれもUSBマスストレージの特性を活かした機能であり、今後もこういった製品は増えていきそうだ。


PCカードとの比較。USBタイプではパソコンから露出する長さが大きいため、パソコンに挿したまま持ち運ぶのならカードタイプの方が得策かもしれない バッファロー、プラネックス製品ともにUSB延長ケーブルが付属するため、用途に応じて活用すると良いだろう 自動インストール中にマイコンピュータを開いたところ。USBアダプタ内のストレージ領域がFドライブとして認識されていた

関連情報

URL
  バッファロー WLI-U2-KG54-AI
  http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/catalog/item/w/wli-u2-kg54-ai/index.html
  プラネックスコミュニケーションズ GW-US54GZ
  http://www.planex.co.jp/product/bwave/gwus54gz.shtml


(後藤重治)
2004/09/22 13:01
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