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ホテルの客室で無線LANが利用できる! 「無線LANトラベルセット」


ネットギアの「無線LANトラベルセット(JWGB111)」。実売価格は14,800円前後。無線LANアクセスポイントと、USB 2.0接続型の無線LANアダプタで構成される
 ネットギアから発売されている「無線LANトラベルセット(JWGB111)」は、ホテルの客室に引かれている有線のブロードバンド回線を、手軽にワイヤレス化できる製品だ。小型の無線LANアクセスポイント「WGR101」と、USB 2.0接続型の無線LANアダプタ「WG111」がセットになっており、ブロードバンド対応のホテルに本製品とノートパソコンを持参すれば、無線LANによるインターネット接続が楽しめる。

 無線LANアクセスポイントと無線LANアダプタをセットにした製品自体はごく一般的だが、持ち運ぶことを前提にしたセットというのは珍しい。今回は実際にブロードバンド対応のホテルに本製品を持参し、試用してみることにした。


ホテルでも無線LANを使いたい

 ここ数年、ブロードバンド常時接続を売り物にしたホテルが増えている。宿泊客はノートパソコンを持参することで、ホテルの客室からブロードバンドによるインターネット接続が行なえるのだ。従来からあったビジネスユースだけでなく、旅行中もインターネットに接続したいという一般ユーザーの需要増加が、こういったサービスの普及を後押ししているのだろう。

 しかし、ブロードバンド回線が用意されていると言っても、LANポートが部屋の隅にあったりすると、LANケーブルの長さが足りず、ベッドに寝転がってインターネットを楽しめない場合もある。リラックスしてネットを楽しみたいのに、机に向かい姿勢を正してノートパソコンに向かわなくてはならないのは酷である。特に、日頃から自宅で無線LANの快適さに慣れている場合だと、かなりのストレスを感じてしまう。


あっという間にワイヤレス化完了

 こんなときに便利なのが、「無線LANトラベルセット」だ。同セットは、前述の通り無線LANアクセスポイントとUSB 2.0接続型の無線LANアダプタで構成された製品。さらに、延長用ケーブルや持ち運び用のポーチが付属するなど、モバイルに特化した製品なのである。また、無線LANアクセスポイントの「WGR101」は、本体サイズが103×70×22mm(幅×奥行×高)と手のひらサイズの製品だ。


手のひらサイズの無線LANアクセスポイント「WGR101」 ポーチが付属しており、無線LANアクセスポイントと無線LANアダプタのほか、USB延長ケーブル、LANケーブル、ACアダプタをまとめて収納できる。ちなみに無線LANカードも収納できるなど、モバイルユースにも便利

 利用方法は簡単。まず、ホテル客室のLANポートに、無線LANアクセスポイント「WGR101」をLANケーブルで接続する。あとは、付属の無線LANアダプタ「WG111」をノートパソコンに接続するだけで、いとも簡単にワイヤレスLAN環境が構築できるのである。アクセスポイントは物理的に接続するだけで、ややこしい設定は一切必要ない。実際にホテルで試した際も、あまりの簡単さに拍子抜けしてしまったほどだ。

 ちなみに、子機側の無線LANアダプタはIEEE 802.11b/g対応であればよいので、必ずしも同梱の無線LANアダプタを使う必要はない。IEEE 802.11b/g準拠の無線LAN機能を搭載したノートパソコンであれば、すぐにアクセスポイントと接続できる。

 なお、同梱の無線LANアダプタを使用する場合には、事前にドライバとユーティリティをノートパソコン側にインストールしておく必要があるので、CD-ROMドライブが必須となる。モバイルタイプのCDやDVDドライブを内蔵しないマシンを利用しているのであれば、出かける前にCD-ROM搭載マシンを使い、インストール作業を済ませておこう。そうでなければ、いざ利用しようとした際にアダプタがインストールできず、接続できない事態に陥ってしまう。


今回製品を試用したビジネスホテルでは、Bフレッツ回線を全室でシェアすることでブロードバンドに対応している。IPアドレスはDHCPで配布され、壁面のLANコネクタにLANケーブルを接続すればすぐに利用できるようになっている。パスワードなどは特に必要なかった 無線LANアクセスポイントをACアダプタと接続し、LANケーブルをつなげば即設定完了。コンパクトなので場所もとらない

1台のみ接続可能なシングル・ユーザー・モードで使う

 無線LANアクセスポイント「WGR101」は、「シングル・ユーザー」と「マルチ・ユーザー」の2つのモードを持っている。前者は1台のパソコンだけを接続するときのモードで、最初に接続した1台のみを許可し、2台目以降は接続できないという、いわば「早い者勝ち」のモードである。

 後者は複数台のパソコンを接続するときのモードで、一般的な無線LANアクセスポイントと同じ挙動をする。ホテル客室のブロードバンド回線をワイヤレス化するという目的であれば、前者のシングル・ユーザー・モードを用いるのが良いだろう。ちなみに、モードの切り替えは側面にあるスイッチで行なう。

 無線LANはIEEE 802.11gに準拠し、筆者がテストしたビジネスホテルでは、客室内のみならず、廊下に出てもアクセスが可能であった。ホテルの構造や間取りによっては、さらにアクセス範囲が広くなるかもしれない。


シングル/マルチユーザーモードの切り替えは側面スイッチで行なう。LANケーブルでパソコンと直結して暗号化の設定を行なう場合にも、このスイッチで設定モードに切り替える 客室内のどこからでもワイヤレスでインターネット接続が可能。無線LAN内蔵ノートパソコンであれば、付属の無線LANアダプタを使わなくともそのまま接続できる

 実は本製品はNATルータとしての機能も持っているが、PPPoE接続に対応していないため、ルータとしてフレッツ・ADSLやBフレッツに接続することはできない。そのため、日本国内で使用する場合はアクセスポイントとして利用するケースがほとんどだと思われる。なお、無線LAN製品としてのその他の機能については、Webブラウザ設定など、一般的な機能が一通り揃っている。


初期状態のセキュリティ設定には少々不安も

Web設定画面はごく一般的な仕様。マルチ・ユーザーモードおよび設定モードから表示できる
 もっとも、本製品を使ったワイヤレス化に問題がないわけではない。本製品は初期状態では暗号化がまったくなされておらず、ESS-IDはユーティリティから丸見え、WEPも無効の状態である。せっかく無線LANアダプタとセットになっているのだから、デフォルトで両製品を関連づけるなど何らかの暗号化設定をしておく配慮が欲しかった。

 現在国内で販売されている無線LAN製品は、初期設定の時点でセキュリティ設定を促すタイプが多くを占めるが、本製品はそれとは逆に「簡単につながる」ことに主眼が置かれており、その分セキュリティの初期設定は甘めになっている。シングル・ユーザーモードにしておけば1台しか接続できず、部外者のアクセスは事実上不可能となるが、その場合でもESS-IDは可視状態のままで、ユーティリティから見るとアクセス可能なアクセスポイントとして表示されてしまう。

 ESS-IDのブロードキャストを無効にし、さらにWEPキーも設定するなど利用者の側に配慮が求められるのはもちろんだが、製品側の仕様にもプラスアルファが求められていると言えそうだ。また、USB 2.0無線LANアダプタがWPA対応でありながら、本稿執筆時点ではアクセスポイント側がWPA非対応であるなど、仕様が異なる部分についても改善を望みたいところだ。

 なお、ホテルによっては指定されたMACアドレスのみインターネット接続を許可する方式を採用していたり、WEPキー入りのコンバータを貸し出すホテルもあるので、本製品を使用する際には事前にホテル側に確認した方が良いだろう。このほか、オフィスなどで使う場合でも、事前にネットワーク管理者の許可を得ておくなど、後々トラブルにならないよう配慮する必要があるかもしれない。


モバイルはもちろん、有線ルータのワイヤレス化にも最適

 今回試用したセットに含まれる無線LANアクセスポイント「WGR101」と、USB 2.0接続型の無線LANアダプタ「WG111」は単体販売されておらず、国内ではセットでのみ入手可能である。現時点で持ち運び可能なアクセスポイントと言えば、アップルの「AirMac Express」くらいしか選択肢がないため、個人的には無線LANアクセスポイントの単体販売も強く望みたいところだ。

 とはいえ、セット品でも実売価格は14,800円前後とこなれており、比較的リーズナブルである。モバイルユースだけでなく、自宅内の有線ルータに接続して手軽にIEEE 802.11gの無線LAN環境を構築する、という用途にも使えそうだ。セキュリティの設定には若干配慮する必要はあるものの、出張の多いビジネスマンはもちろん、ホームユースにも便利な製品である。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.netgearinc.co.jp/product/products/jwgb111.asp
  ネットギア
  http://www.netgearinc.co.jp/

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(後藤重治)
2004/10/20 11:13
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