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カセットデッキでも再生できる! 録再デジタルオーディオプレーヤー


シーグランドの「RAVEMETAL RM600」。今回試用した256MBモデルの直販サイト価格は19,800円。製品の見た目はカセットテープそのものだ
 シーグランドの「RAVEMETAL RM600」は、カセットテープのカタチをしている。とはいっても、デザインの面白さでウケを狙っているわけではない。普段はヘッドフォンなどで音楽を聴くポータブルオーディオ機器だが、そのままカセットプレーヤーに入れれば、MP3やWindows Media Audio(WMA)形式のデジタルサウンドが大音量で楽しめるという一石二鳥のアイテムなのだ。

 RM600は、MP3プレーヤーなどの音をカーステレオのカセットプレーヤーで再生できるようにするアダプタとは違い、本体だけで動作する。隙間から外部機器接続用のケーブルを引き出す必要はないし、差し込む方向を気にしなくても良い。据え置き型カセットデッキのような、スロットが密閉されるタイプのプレーヤーで利用できるのだ。しかも、再生ボタンを押すだけで自動的に曲の再生が始まる連動機能を備えており、巻き戻しや早送りといった操作も可能。ホンモノのカセットテープと同じ感覚で使えてしまうのである。

 カセットテープ型のデザインというと、チープなガジェット系アイテムを思い浮かべてしまう。しかし、RM600のボディはアルミニウムなどの軽金属素材を採用しているようで、手触りにも高級感がある。少々力を加えた程度では変形せず、強度も高そうだ。重量は55g。古い話だが、筆者はカセット全盛時代にかなりの高額で販売されていたセラミック製のハイエンドテープを思い出してしまった。

 RM600のボディカラーはゴールド、プラチナ、チタンブルーの3色、内蔵メモリ容量は128MB、256MB、512MBの3タイプが用意されており、計9種類のラインナップとなっている。価格はオープンプライスだが、同社直販サイトでは128MBモデルが14,800円、256MBモデルが19,800円、512MBモデルが29,800円でそれぞれ販売されている。


筆者が使っている古いカセットプレーヤーに入れてみる。こうして見るとテープそのものだ 右側面にはヘッドフォンやダイレクトレコーディングケーブルを接続する端子。左のネジの側に小さなマイクがある 本体下側面にある通信用ヘッド。むき出しのままだとキズをつけてしまいそうで、ちょっと不安

 再生できるサウンドデータはビットレートが320kbpsまでのMP3、もしくは192kbpsまでのWMA。この範囲内でならVBR(可変ビットレート)データも再生可能だ。録音はMP3形式のみだが、2つのモードを使い分けられる。内蔵マイクを利用するボイスレコーディングモードは32kbps。ICレコーダがわりに会話を記録したり音声メモを取るといった用途なら十分な音質だ。

 一方、付属の専用ケーブルを利用したダイレクトレコーディングモードは128kbps。ほかのオーディオ機器やマイクなどを接続して高い音質のデータを記録できる。今回試用した256MBモデルは最大16時間のボイスレコーディング、または最大4時間のダイレクトレコーディングが可能。ちなみに128MBモデルはこの半分、512MBモデルは倍の時間まで記録することができる。

 インナーヘッドフォンでの再生音は一般的なMP3プレーヤーと同クラス。ジャズやロックなど、数種類のサウンドにマッチするプリセットイコライザも搭載している。カセットプレーヤーでの利用時には、同じ楽曲を録音したカセットテープと比較してみたが、こちらも大きな違いはないように思われた。音質の善し悪しというよりは、好き嫌いで判断するレベルだろう。

 パソコンとの接続時には、付属のUSBケーブルを利用する。マスストレージクラスに対応しているので、サウンドデータの転送や消去は普通のフラッシュメモリと同じ感覚。エクスプローラなどでファイルをコピー、または削除すれば良い。

 内蔵メモリだけでは物足りない場合には、外部記録メディアとしてminiSDカードが利用できる。本体上側面に小さなスロットが用意されているのだ。RM600は、メモリカードリーダー/ライターとしても機能するので、たとえばケータイで撮影した画像をパソコンに取り込みたいときなどに役立ってくれそうである。


パソコンとの接続には付属のUSBケーブルを利用する。RM600側のコネクタはミニタイプ miniSDカードスロット。押し込むとカード全体がボディ内部に収納される

 主な操作部は正面からみて、右上にまとめられている。4つのボタンに、インジケータが1つというシンプルな構成だ。ヘッドフォンやダイレクトレコーディングケーブルを接続する入出力端子は右側面、上側面にスライド式のボタンロックスイッチ、裏面に通信ヘッドの位置を調整する3段階のスライドスイッチがある。下側面にはUSBケーブルを接続するポート、それにホンモノのカセットならテープが剥き出しになっている場所にカセットプレーヤーとの通信用ヘッドがある。この通信用ヘッドが、磁気テープのフリをするわけだ。

 電源はガム型のニッケル水素バッテリ。専用充電器が付属しており、3時間前後の充電で録音再生なら8時間、カセットプレーヤーでの再生なら4時間の連続使用が可能だ。ガム型バッテリーは2個付属しており、1個を使いながらもう1個を充電しておける。しかし、ACアダプタや乾電池など、ほかの電源には対応していないので、外出先やカーステレオで使う機会が多い場合には、もう1つくらい予備を用意しておきたくなるだろう。


バッテリーは左上のスロットに入れる。残念ながらほかの電源には対応していない 充電器はコンセントに直接差し込むタイプだ。ガム型ニッケル水素バッテリーは2個付属している ベルトクリップ付きソフトキャリーケースが同梱。中にはminiSDカードが2枚入るポケットもある

 筆者の個人的意見では、RM600の操作性は残念ながら良い方ではなかった。理由は単純。ボタンやスイッチの類が、ボディに埋め込まれるような形で配置されているからである。もちろん、これらはカセットテープの規格にあわせた設計によるものなので欠点とは言えないが、ポケットに入れたまま指先だけで操作するには少し慣れが必要かもしれない。
 もう1つ残念なのはディスプレイがないこと。リピート再生やランダム再生といったモードはそなえているが、再生中の曲データを知る手段がないのだ。しかし朗報がある。これらの不満点を一気に解消する液晶リモコンユニットの発売が予定されているのだ。原稿執筆時には間にあわなかったが、ディスプレイだけでなく、好みの音質を作り出せるユーザー設定イコライザーを内蔵しているという。RM600を使いこなすのなら、ぜひ揃えたいオプションである。

 余談になるが、先日、あるミーティングの席でRM600をテーブルの上に何気なく置いてみた。すると、相手からさっそく「コレ、なんですか?」という反応が返ってきて、その後はカセット絡みの話で盛り上がってしまったのである。今どきICレコーダやMP3レコーダくらいでは話題にもならないが、懐かしいカセットテープのカタチをするRM600は堅苦しい雰囲気を和ませる効果があるようだ(笑)。もちろん、会話はシッカリと録音し、移動のクルマの中でチェックしたのは言うまでもない。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.seagrand.co.jp/products/rm600/index.shtml
  シーグランド
  http://www.seagrand.co.jp/


(斉藤成樹)
2004/10/27 10:45
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