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パン・チルトをリモート操作できるUSB型Webカメラ「aim cam PC-1000」


パーソルの「aim cam PC-1000」。実売価格は13,440円前後。本体はオフホワイトとブルーグレーのシンプルな配色。重心が低いせいか安定感がある
 パーソルの「aim cam PC-1000」はモーターを内蔵していて、左右方向に向きを変えるパンと、上下方向に向きを変えるチルト、それにピントをパソコンからリモートコントロールできるUSB接続型のWebカメラだ。しかも、MSN Messengerなどのメッセンジャーソフトを利用して、離れた場所から操作することもできる。「aim」は「狙いをつける」という意味。観光地や有名スポットには、ユーザーが自由に方向を変えられるWebカメラが設置されているが、あれに近いことが個人で、しかもお手軽にできてしまうアイテムなのである。

 ボディデザインは、伏せたマグカップのような円筒を台座に載せた形だ。カメラユニットは、この円筒の中にあるボール型のケースに組み込まれている。円筒が回転することで左右方向(パン)、ボールが回転することで上下方向(チルト)に向きを変えられるわけだ。角度の範囲は、パン100度、チルト55度。カメラ自体の画角を合わせると横方向に150度、縦方向に110度という、かなり広い視野が確保できるという。

 モーターの動作音が少々耳につくものの、カメラの角度を変える速度は相当に速い。メッセンジャーソフトを利用してリモートコントロールする場合はネットワーク環境によってタイムラグが生じることもあるが、感覚的にはほとんど瞬時に画面が切り替わるように思えるだろう。ピント調整はパン・チルトと同様に、パソコンからリモートコントロールする方式だ。こちらも小気味良いレスポンスで、ついあちこちに向きを変えてフォーカスを合わせてみたくなってしまう。まるでリコモンのオモチャで遊んでいるような気分である(笑)。


右上方いっぱいに振ってみる。モーターの動作音はちょっと大きめ 右から左までフルに動かしても1秒足らず。動作はかなり速い カメラの画角は52度。レンズをふさぐほどの近距離でもピントが合う

付属のコントロールソフト「Cockpit」。aim camというだけあってターゲットスコープ風のウィンドウ
 パン・チルトとピント操作には、付属の「Cockpit」というソフトを利用する。クロスゲージのような窓の中にあるグリーンの四角形を見たい方向にドラッグ&ドロップすると、連動してカメラが向きを変えるのだ。はじめはどの程度角度が変わるか予想しにくいので戸惑うこともあるが、少し慣れれば素早い方向転換が可能だ。この操作に馴染めない場合や、角度を微妙に調整したい場合には上下左右の4方向ボタンによる操作モードも用意されている。ピントはクロスゲージ下にあるスライドバーをドラッグすることでリアルタイムに調整する方式だ。

 この「Cockpit」がパソコンにインストールされていれば、メッセンジャーソフト経由で別の場所のパソコンに接続されたPC-1000をコントロールできるようになる。つまり、ビデオチャットをしながら相手の部屋にあるカメラを好きな方向に向けられるのだ。もちろん、チャットだけでなくオフィスから自室にいるペットを眺めて和んだり、家にいる家族の様子を確認するといった使い方も可能だ。あるいはもっと実用的に、室内の監視や防犯といった用途も考えられるだろう。

 PC-1000には、「Cockpit」のほかに「ProtoSnap」というソフトも付属している。こちらは「Cockpit」の機能に加えて、カメラのさまざまな設定や画像調整、それにビデオキャプチャ機能やサウンドキャプチャ機能などを備えたユーティリティソフトだ。


右下にあるボタンをクリックすると上下左右4方向のボタン式に切り替わる ユーティリティソフト「ProtoSnap」。ビデオキャプチャ機能やサウンドキャプチャ機能を備えている 「Cockpit」と同じく4方向ボタンに切り替えられる。画像は数cmの距離でビデオカードを撮ったもの

 カメラのイメージセンサは30万画素相当の1/4インチCMOSイメージセンサー。最大30fpsの動画のほか、640×480ドットのVGA画像をキャプチャリングできる。露出やホワイトバランスは自動調整で、蛍光灯や白熱灯の光でも不自然な色にならない。光量が足りないと少々ザラついた画質になるようだが、解像度は落ちないように思える。パーソナルユースのWebカメラとしては十分以上の性能といえるだろう。これを備え付けたら部屋を散らかしておくわけにはいかなくなりそうだ(笑)。

 機能的にはシンプルだが、PC-1000のカメラにはいくつか特徴がある。1つは視野が人が目で直接見る視野に近いという点だ。PC-1000の画角は52度で、一般的な一眼レフカメラ用の標準レンズとほぼ同じ画角なのである。画角の広いレンズだと遠近感が強調されて画像に妙な歪みが出ることがあるが、標準レンズなら自然な距離感の映像を撮影することができる。しかも、パン・チルト機能を備えているので、広角レンズに負けない範囲をカバーできるというわけだ。ちなみに腕を伸ばして届く程度の距離で顔を写すと、かなりのアップになってしまう。ビデオチャットなどでバストショットを撮るには1mほど離すと良いだろう。

 近距離でのピント合わせがシビアなのが気になるが、これはレンズの特性上避けられない現象。少し離れた場所なら問題ないし、逆に背景がキレイにボケるといった効果もある。女性ならポートレート風の映像を撮っても良いし、筆者のようなモノグサには足の踏み場がない室内を見られずに済むというメリットがある(笑)。

 接写機能もPC-1000の特徴だ。Webカメラに接写は必要ないと思われるかもしれないが、チャット相手に手描きのイラストや写真、あるいはメモなどを見せたくなることもあるだろう。そんなときに役に立つ機能である。マニュアルには15mm前後の距離まで近付けると非常にクリアな映像が撮影できるとあるが、そこまで寄らなくても十分に高い解像度の画像を得ることができる。近付けすぎると光量が不足するので、少し離してレンズの前にかざすだけで十分だろう。それでも文庫本の文字程度なら簡単に判読できるはずだ。

 PC-1000にはマイクが内蔵されていて、映像と同時に音声も扱うことができる。しかし、これは相手の顔を見ながら会話するためというよりは、バックグラウンドの音を拾って臨場感を高めるためのものだろう。ビデオチャットで使えなくはないが、ちょうど良い映像を撮るには口元から相当に離さなければならないのだ。別にマイク付きのヘッドセットなどを用意したほうがハッキリした音声を拾えるようである。


左肩の位置にあるスリットは内蔵マイクだ 後面には映像、音声、コントロールデータの送受信と電源供給を兼ねたUSBポートが1つ 裏にある三脚用のネジ穴。筆者はミニ三脚に固定して使っていた

 大きさは90×103×99mm(幅×高×奥行)で、重さは225g。コンパクトにまとめられたボディは安定感がある。裏にカメラ用三脚に固定するネジ穴も用意されているので、設置場所の自由度は高そうだ。パソコンとの接続はUSBケーブル1本。電源もUSBポートから供給するバスパワー方式なので、ACアダプタの余計なケーブルを引き回す必要がない。ちなみに、マニュアルには1.5mのUSBケーブル同梱とあったが、試用品に付属していたケーブルは2m近くあった。

 パン・チルトやリモートコントロールできるカメラというと高価なイメージがあるが、PC-1000は1万円台前半の価格。オートフォーカスこそ搭載していないが、個人のホビーユースという用途ならコストパフォーマンスは非常に高いといえそうだ。なお、メッセンジャーソフトに関しては、MSN Messengerのほか、Windows MessengerやYahoo! Messenger などで動作確認が取られている。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.persol-jp.com/seihin/seihin/pc-1000.html
  パーソル
  http://www.persol-jp.com/

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(斉藤成樹)
2004/11/24 10:58
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