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オーディオ入出力端子やFMトランスミッタ内蔵の車載用MP3プレーヤー


ロジテックの「LAT-CARMP3」。標準価格は8,400円
 ロジテックのMP3プレーヤー「LAT-CARMP3」は、凹凸のあるボディが目を引く。縦横のサイズは初代iPodと同じくらいで、厚さは25mmほど。今どきの、いわゆるシリコンオーディオプレーヤーとしては相当に大きな部類に入るだろう。それも当然。LAT-CARMP3は、FMトランスミッタを搭載したクルマ専用のMP3プレーヤーなのだ。風変わりなデザインはクルマの中でセンターコンソールに固定したとき、運転の妨げになるような突起が少なくなるように工夫されたものなのだ。

 LAT-CARMP3は、USBフラッシュメモリに収めたMP3データを再生、内蔵のFMトランスミッタから電波に乗せて送り出し、カーステレオのFMラジオで受信するわけである。車載用MP3プレーヤーではお馴染みの方式だ。しかし、LAT-CARMP3にはオーディオ入出力端子を備えているという大きな特徴がある。付属のステレオミニプラグケーブルで普段持ち歩いているMP3プレーヤーやMDプレーヤーを接続し、その再生音をFMラジオへ送信できるのだ。つまりコレ1台あれば、ポータブルオーディオプレーヤー全般のサウンドがクルマの中で楽しめるのである。大柄なボディはダテではないのだ。

 フロントパネルには曲送り、曲戻し、再生/一時停止。それにシーソー式のボリュームボタンがある。ボタン操作は、ストロークは浅めながら意外に重い感触。クルマのセンターコンソールに固定し、手を伸ばして操作することを考えると、これくらい手応えがあったほうが扱いやすいようである。動作中はフラッシュメモリとのデータ通信を示す横長のインジケータが青く、また操作ボタンが赤く光る。

 横にはオーディオ入力端子とオーディオ出力端子、それに電源用のコネクタがある。オーディオ入力端子は、文字通りMP3プレーヤーやMDプレーヤーといったオーディオ機器からのオーディオ再生信号を受け取り、FM波に乗せて送信するためのもの。ここにプラグを差し込むとMP3プレーヤーとしての機能は停止し、単なるFMトランスミッタに変身するのである。


製品には本体のほか、シガーライターソケット用電源ケーブルやステレオミニプラグケーブル、固定用のベルクロ(マジックテープ)付き粘着テープ2組が付属 ボディーは明るいシルバーのプラスチック製。5つの操作ボタンは、どれもしっかりした手応えがあった 横側面にはオーディオ入力端子と出力端子。1番下はシガーライターソケットと専用ケーブルで接続する電源コネクタだ

 オーディオ出力端子は、LAT-CARMP3の再生音を他のオーディオ機器へ出力する。この場合、FMトランスミッタはキャンセルされ、シンプルなMP3プレーヤーとして機能するようになるわけだ。カーステレオに外部機器入力端子があれば、そこに接続できるし、アウトドアでは車外用のスピーカーシステムに接続しても良いだろう。

 入力端子、出力端子とも、一般的なステレオミニジャック。製品には長さ60cmほどの接続用ケーブルが付属しているが、汎用品でも問題はなさそうである。ちなみに電源はDC12V。専用ケーブルでクルマのシガーライターソケットから供給する方式だ。

 LAT-CARMP3で再生できるのはMP3形式の音声ファイル。容量8MBから512MBのUSBフラッシュメモリに記録しておく必要がある。USB 1.1、USB 2.0、どちらのタイプでも利用できるが、HDDなど、フラッシュメモリ以外のメディアには対応していない。

 USBポートはボディ横、切り欠き部分の底に上向きに取り付けられている。ちょっと変わった配置だが、これにはちゃんと意味があるのだ。クルマのセンターコンソールに固定した場合、水平に差し込むタイプではUSBフラッシュメモリが手前方向に出っ張る形になる。これではシフト操作のときなど、手に引っかけて差し込み部分を破損させてしまうおそれがある。その点、LAT-CARMP3は上方向から垂直に差し込んでボディの切り欠き部分を埋める形になるので、トラブルが起きる可能性は格段に低くなる。車内での利用を考えたデザインといえるだろう。

 ただ、USBポート周辺には長辺方向に9mm、短辺方向に4mmのスペースしか確保されていない。一般的なスティック型なら問題ないが、ノベルティグッズやキャラクターグッズなど、ユニークなデザインのUSBフラッシュメモリは差し込めないこともあり得る。片手で抜き差ししにくいという点も少し気になったが、大容量タイプなら頻繁に交換するわけではないし、不便を感じるほどではないだろう。必要ならUSB延長ケーブルを使うか、カードリーダー接続してメモリーカードを使うという手もある。


凹みの内側にあるUSBポート。データ通信状態は手前に見えるL字型のインジケータで確認できる USBポートの周りには横9mm、縦4mmのスペースが確保されている。普通のスティック型USBフラッシュメモリなら問題なさそうだ USBフラッシュメモリを差し込んでもフロントパネル側には出っ張らない。安全面でも優れたデザインだ

 なお、LAT-CARMP3には曲データなどを表示するディスプレイはなく、プログラム機能やプレイリスト機能などもない。再生はUSBフラッシュメモリ内の並び順そのまま。サブフォルダにも対応しているが、希望通りの曲順で再生するには、MP3データをルートフォルダに保存するよう推奨されている。

 送信の安定性を重視した設計というだけあって、チューニングのズレと思われる雑音はほとんど聴き取れなかった。電波の到達距離は3mから5mほど。リアウィンドウにアンテナが組み込まれたワンボックス車ではギリギリになる可能性もあるが、固定する場所を工夫することで対処できるだろう。筆者の場合、アンテナの近くに本体を設置したせいもあってか、混信による雑音は気にならなかった。クルマの中で気軽にMP3のサウンドを楽しむには十分すぎるほどの音質だ。

 FMトランスミッタの周波数切り替えは、上側面にあるディップスイッチで行なう。パソコンの周辺機器ではお馴染みの伝統的な設定方式だ。4つのごく小さなツマミが隙間なく並んでおり、それぞれのオン/オフの組み合わせで6種類の周波数を選ぶことができる。爪の先で切り替えられないこともないが、ボールペンの先などを使った方が操作しやすいだろう。ちなみに、本体横には設定一覧をプリントしたステッカーが貼り付けてある。


上側面の周波数設定用ディップスイッチ。周波数は合計6チャンネルから選べる 裏側にガムテープを貼ってクルマのセンターコンソールに仮固定した オーディオ入力端子を利用すればポータブルMP3プレーヤーやMDプレーヤーの再生音がFMトランスミッタから送信できる

 車内ではベルクロ(マジックテープ)付きの粘着テープを貼り付け、センターコンソールやダッシュボードなどに固定する。ソフトなベルクロ(マジックテープ)は、走行中の振動を和らげるクッションになるし、ジャマなときはベリッっと引きはがせば良い。手軽だがメリットの大きい方式だ。今回はメーカーからお借りした試用品なので実際に貼り付けるところまではやらなかったが、大柄なわりには約75gと軽量なため、不用意に剥がれ落ちるような心配はないだろう。

 LAT-CARMP3にはオーディオ入出力端子もあることだし、電源さえ確保できればクルマ以外の場所で使えるんじゃないかなんてことを、筆者はついつい考えてしまう。確かに、電圧や極性、プラグ形状などの条件があっていれば、市販のACアダプタなどでも動作する可能性はあるだろう。しかし、付属電源ケーブル以外での使用はあくまで自己責任。破損や発火など、トラブルの原因となることもあり得るのでご注意いただきたい。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.logitec.co.jp/products/audio_dps/latcarmp3.html
  ロジテック
  http://www.logitec.co.jp/


(斉藤成樹)
2004/12/15 10:55
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