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パソコン不要! これ1台でCDをバックアップできるCD-R/RWレコーダ


エレコムの「PLC-1」。標準価格は25,200円。本体はほぼB5サイズで、厚さ約9cmの箱形。目立った凹凸がなく、とてもスッキリした外観だ
 エレコムから発売されている「PLC-1(PLEO-1)」は、パソコンを使うことなく簡単な操作で手軽にCDをコピーできるレコーダだ。2台のCDドライブを内蔵しており、普通のCDプレーヤーとしても利用できる。

 どちらかといえばオーディオ機器に近いように思えるが、筆者にとって意外だったのは、パソコンの周辺機器やアクセサリーなどで名高いメーカーのエレコム製品だったこと。もちろん音楽CDだけでなく、データを記録したCDのコピーも可能なので、パソコンと無関係というわけではないのだが。

 外見はランチボックスのような角が丸められた箱形。左右対称でデザインのまとまりが良いせいか、とてもコンパクトに見える。しかし、実機はB5サイズ(182mm×257mm)よりわずかに小さい程度で、高さ89mm、重さ2kg。デスクの上に置くとかなりの存在感がある。

 上面にトップローディングタイプのCDプレーヤー、前面にトレイローディングタイプのCD-R/RWライターという2ドライブのシステムだ。上面の端には口径30mm、出力500mWのモニタースピーカーが2つ。本格的なオーディオシステムには及ばないものの、録音中のサウンドチェックやBGMの再生には十分な音量と音質だった。

 操作系は上面手前側にまとめられている。左の大きな円形スイッチが電源、右はCDプレーヤーの再生と一時停止、曲送り、曲戻し、停止をまとめた4方向ボタンだ。中央にはバックライト付きのLCDディスプレイと、その左右にコピー速度選択用のボタンが用意されている。

 左側面にステレオヘッドフォン端子と光デジタル出力端子。右側面にボリューム調整用の小さなダイヤルがある。光デジタル出力端子にケーブルを接続すればPLC-1の再生音を外部のMDレコーダなどでデジタル録音できる。このほか、前面右下にトレイを開閉するイジェクトボタン、背面の中央付近にACアダプタを接続するコネクタがある。


左側面のボリュームダイヤル。ボタン操作のデジタル方式より直感的に手早く音量を調整できる カバーを引き上げてヘッドフォンプラグを差し込んだところ。左の光デジタル出力端子はMDなどと接続するためのもの。保護カバーは柔らかいゴム製だ

 PLC-1が対応しているのは「COMPACT DISC」のロゴマークが入ったCD-ROM、CD-R、CD-RWのみだ。見た目は似ていても、ロゴマークのないディスクには対応していないので注意していただきたい。

 PLC-1のレコーダ機能には2つのモードが用意されている。1つは音楽専用の等速モード。これはCDの再生に合わせてリアルタイムにコピーする。収録曲分の時間はかかるが、音楽を聴きながら同時にコピーが作れる便利なモードである。

 もう1つは倍速モード。こちらは音が聴けない代わりに作業時間を短縮できるというもの。曲再生の必要がないデータCDでは自動的にこのモードが選ばれる。ちなみに、倍速とはいってもドライブ自体は最大3倍速の読み出しと書き込みに対応しており、実際には半分以下の時間しかかからないようだ。筆者が収録時間70分の音楽CDをバックアップしてみたところ、25分ほどで終了してしまった。

 CDのコピー作業はあっけないほど簡単だ。例えば音楽CDをコピーするとしたら、上面のCDプレーヤーにコピー元のオリジナルCD、前面のCDレコーダにコピー先のブランクCDをセットする。両方のディスクが正しく認識されると、等速モード用の「Normal」ボタンが緑色、倍速モード用の「High」ボタンが赤く点灯するので、必要に応じてどちらかのボタンを押す。ユーザーがやることは、たったこれだけである。

 コピー中は選択したボタンが点滅し、ディスプレイに進行状況がパーセント単位でリアルタイム表示される。ボタンの点滅が止まり、ディスプレイの表示が「GOAL」に変わればコピー終了。あとは2枚のディスクを取り出せば良い。


今では入手困難な古いCDをバックアップ。再生用と録音用が独立しているので、とても扱いやすい 音楽CDをセットするとディスプレイの左右にあるボタンが光る。「Normal」が等速用、「High」が倍速用のスタートボタンだ

操作ボタンはどれも大きめ。画像では隠れているが、前面右下にトレイ用のイジェクトボタンがある
 PLC-1を使っていて感心するのは、とにかく扱いが楽でわかりやすいという点だ。ドライブが2台あるので、ディスク入れ替えの手間がかからない。つまり2枚のディスクをセットしてボタンを押したら、あとは放って置くだけ。自動的にコピー作業を行なってくれるのである。

 上面にあるトップローディングタイプのドライブは読み出し・再生専用、前面にあるトレイローディングタイプのドライブは書き込み・録音専用とハッキリ区別しているのも扱いやすさを考えてのことだろう。もし、録再兼用タイプのドライブだったら、もっと煩雑な操作が必要になったはずである。

 コピー作業中は選択した速度のボタンが点滅し、終了まで一切の操作を受け付けなくなる。トップローディングタイプのドライブには電気式のオープンボタンを採用しており、不用意にフタを開けてしまうといった心配はない。CDプレーヤーとしての機能も最小限に絞り込んである。シンプルではあるが、ユーザーに操作ミスのスキを与えない設計は好感が持てる。

 CDのコピーというと、なんだか高度な知識が要りそうで敬遠していたというユーザーもいるようである。しかしPLC-1なら、誰にでも確実にコピーが作れるだろう。実際、ケータイ以外のハイテク機器には触れたくないというメカ恐怖症の知人が、マニュアルを見ずに操作できたほどである(笑)。

 PLC-1は著作権保護システムとしてSCMSを搭載している。MDなどにも採用されているので、おなじみの方も多いだろう。オリジナルCDからコピーを作ることはできるが、そのコピーしたCDからさらにコピーを作ることはできないというものだ。

 また、音楽CDは音楽用のCD-R/RWへしかコピーできないという制限がある。データCDを音楽用CD-Rにコピーすることは可能だが、データ用CD-Rに音楽CDをコピーしようとしても、ディスプレイに「dtcd」と表示され、自動的にイジェクトされてしまう。

 音楽用CD-R/RWはデータ用に比べると少々高価だが、音楽著作権関係の問題をクリアしている。音質を重視した製品もあるようなので、やはり音楽の録音には音楽用のメディアを使うべきだろう。ちなみに音楽用CD-R/RWは分単位、データ用CD-R/RWはMB単位で容量を表示しているので、購入するときに見分けるのは簡単だ。

 筆者はCD-Rに焼かれた資料が送られてくると、真っ先にバックアップを取っておく習慣がある。万一のトラブルに備えるためでもあり、早急に返送したり、あるいは別の人に回送しなければならなくなることもあるからだ。そんなわけでパソコンでのコピー作業には慣れてしまっているが、それでも作業中は書き込みエラーを避けるため、影響が出そうなアプリケーションの使用を控えるなど、気を遣う必要がある。やっぱりパソコン1台を半ば占有されてしまうのは痛い。

 その点、PCL-1はパソコンとは完全に独立してCDのコピーが可能。しかもディスクを入れて放って置きさえすれば良いのだら、別の作業に没頭していられる。少々スペースは取られるが、白とグレーを基調としたシンプルなデザインは、どんなインテリアにもマッチしそうである。デスクの上に1台、BGM用CDプレーヤー兼CDデュプリケータとして常備したくなってしまった。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www2.elecom.co.jp/avd/cd-recorder/plc-1/index.asp
  エレコム
  http://www.elecom.co.jp/


(斉藤成樹)
2005/01/19 11:12
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