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USBバスパワーに対応するカードサイズのポータブルスイッチングハブ


アイ・オーの「ETX-SH5SPW」。標準価格は2,940円。サイズは80×68×13.6mm(幅×奥行×高)で、見た目は名刺用カードケースに近い

本体色はワインレッド以外にも、メタルブラック(写真左)とパールホワイト(同右)が用意される
 ハブとは、パソコンから伸びたLANケーブルを1カ所に集め、相互に接続する機器のこと。日本語では文字通り「集線装置」というそうである。LAN構築になくてはならない重要なアイテムであるにも関わらず、どちらかといえば目立たない裏方的な存在という印象だ。今回紹介するアイ・オー・データ機器の「ETX-SH5S」も、5本のLANケーブルを接続するための、ごく普通のスイッチングハブである。ところが、電源をUSB経由で取ってしまうという、なんとも意表を突いた機能を搭載しているのだ。

 ETX-SH5Sの外装はプラスチックを採用しているようだが、金属素材を思わせるメタリックな仕上がりで、パールホワイト、メタルブラック、ワインレッドの3色がラインナップされている。

 本体はとてもコンパクトで、名刺などを入れるカードケースほどの大きさである。しかし、手に取ってみて驚かされるのは、その小ささよりも13.6mmという薄さだ。本体を横から見ればわかるが、LAN用コネクタの幅ギリギリなのである。特殊なパーツを使わない限り、これ以上薄くするのは不可能だろう。

 ETX-SH5Sがこれほど大きさにこだわってデザインされているのは、やはりノートパソコンなどと組み合わせ、モバイル環境で活用することを考えているからだろう。スイッチングハブは、データ転送速度やセキュリティといった点で優れているが、電源を必要とするという弱点がある。本体がいくら軽量コンパクトだとしても、ACアダプタを接続しなければならないとなると、気軽に持ち歩くわけにはいかない。しかし、ETX-SH5SはパソコンなどのUSBポートから電源を取るという暴挙(笑)に出ることで、この弱点を克服してしまったのである。

 USBには本来のデータ通信機能に加えて、バスパワーと呼ばれる電源供給機能が盛り込まれている。一部の光学ドライブやイメージスキャナがAC電源を必要とせず、ただUSBケーブルをパソコンに差し込むだけで動作するのは、この機能を利用しているためだ。


左側面にはLANポートが3つ並ぶ。本体の厚さがコネクタ幅ギリギリまで切りつめられているのがわかる 右側面にはLANポートが2つ。左にはACアダプタやUSBポート用の電源ケーブルを差すコネクタがある

筆者が試した範囲では、PS2のUSBポートからも電源を取ることができた
 ETX-SH5SにはコンパクトタイプのACアダプタのほか、USBポートに接続する専用の電源ケーブルが付属している。コンセントが見あたらない場所でも、ケーブルを差し替えるだけで、なんの問題もなく動作させることができるのである。電源を供給する側はUSBの標準規格に沿ったハードウェアであれば種類は選ばないし、ドライバなどソフトウェアのインストールも必要ない。筆者が試した限りでは、WindowsやMacintoshだけでなく、プレイステーション 2(PS2)のUSBポートから電源を取ることも可能だった。

 ETX-SH5Sは非常にコンパクトながら、今のハブに必要と思われる機能はすべて備えているといって良い。データ転送速度10Mbpsの10BASE-Tと100Mbpsの100BASE-TXに対応。もちろん両方を混在させることができる。LAN接続の種類を自動的に識別するオートネゴシエーション機能を搭載しているので手動による切り替え操作などは不要。さらに普及しつつあるギガビットイーサ(1000BASE-T)ネットワークにカスケード接続することも可能だ。

 フロントパネルを横切るように埋め込まれた透明なバーの奥には、6個のLEDが並んでいる。いちばん左が電源ランプ、残りは5つのLANポートそれぞれに対応したステータスインジケータだ。10BASE-T接続時はオレンジ、100BASE-TX接続時はグリーンに点灯、データ通信時には点滅して状況を知らせてくれる。


透明なバーの奥に配置されたLED。10Mbps接続時はオレンジ、100Mbps接続時はグリーンに点灯し、通信時は点滅する 製品にはコンパクトなACアダプターと、長さ50cmほどのUSBポート用電源ケーブルが同梱する。このほか、滑り止め用のゴム足も付属

 少し前まで、スイッチングハブといえば大柄なボディで消費電力が大きく、発熱もかなりのものだった。ところが、ETX-SH5Sはカードサイズ。しかも480mAのUSBバスパワーで動作してしまう。発熱は気になるほどではない。見事なまでの省スペース化と省電力化である。小さくて軽すぎるとケーブルの抜き差しがしにくいという意見もあるようだが、AC電源が必要ないとなれば話は違ってくるだろう。

 個人的には、趣味でノートパソコンを使っているユーザーがスイッチングハブを携帯する意味があるかというと、正直微妙なのではないかと思っている。筆者自身も数日の間、ETX-SH5Sをバッグのポケットに入れて持ち歩いてみたが、残念ながら外出先で使う機会には恵まれなかった。とはいえ、ビジネスシーンまで含めれば活躍するシチュエーションはいくつも考えられる。特にLANが広く普及し、ノートパソコンのバッテリー駆動時間が飛躍的に伸びている昨今、モバイルに対応したスイッチングハブは決して無意味ではない。

 例えば、ミーティングの席で何人かの出席者がパソコンを持ち寄り、相互にLANで接続したい場合。パソコンそのものはバッテリーで動くのに、ハブのために空いた電源コンセントを探さなければならないなんて、ちょっと情けないのではないだろうか。出先のオフィスでLANを間借りしたいときでも、恐縮しながらすでに接続されている機器を切り離す必要はなくなる。ケーブルを1本引き抜き、そこに自前のハブを接続して2台のマシンをカスケードさせてしまえば良いのだ。無線LANが利用できないときのバックアップにもなることだし、ノートパソコンを使い倒すビジネスマンなら、イザというときに備えてバッグの片隅に忍ばせておいて損はないはずである。

 スイッチングハブはルータ機能付きのADSLモデムなどと組み合わせれば、それだけでブロードバンド接続を共有できるネットワークができあがってしまう。パソコン同士をつなぐだけでなく、Webカメラやストレージデバイスを接続するといった用途だって考えられるのだ。今はモデムとパソコンを直結しているビギナーでも、いずれはハブが必需品となるだろう。そんなときは、このETX-SH5Sのようなプラスワン機能を備えた製品を選ぶのも良いのではないだろうか。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.iodata.jp/prod/network/lanadapter/2004/etx-sh5s/index.htm
  アイ・オー・データ機器
  http://www.iodata.jp/

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(斉藤成樹)
2005/02/02 11:11
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