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自動実行機能や多彩なユーティリティを内蔵したUSBメモリ


バッファローのUSBメモリ「Clip Drive Plus」。実売価格は128MBタイプが3,480円前後、256MBタイプが4,980円前後。着脱式キャップは意外にしっかりしており、不用意に抜け落ちることはない
 近頃のUSBメモリは、アクセサリー的な凝ったデザインが多いようである。ショップへいけば、人気キャラクターをあしらったカワイイ系から食品サンプルなどをかたどったイロモノ系まで、それこそ多種多様の製品が並べられている。

 その一方で、機能にこだわった製品も見かけるようになった。例えば話題の「iPod Shuffle」も、その外見からしてUSBメモリの延長線上にあると考えても良いのではないだろうか。今回紹介するバッファローの「Clip Drive Plus(RUF2-PARシリーズ)」も、従来のデータ記録機能に加え、さまざまな機能を搭載した進化型のUSBメモリである。

 Clip Drive Plusの大きな特徴は、自動実行(Autorun)機能が搭載されているという点だ。パソコンのUSBポートにClip Drive Plusを差し込むと、あらかじめ設定しておいたアプリケーションやデータが自動的に起動するのである。ドライブにセットするだけでアプリケーションのインストーラなどが起動するCD-ROMと同じシカケだ。実は、Clip Drive Plusも記憶領域の一部にCD-ROMドライブのフリをさせて、この機能を実現させているようである。

 自動実行機能は、企業ユーザーならノベルティグッズとして配布し、自社ホームページを表示させたり、製品のプロモーションやサンプルソフトを起動させるといった用途を想定しているようだ。もちろん、個人ユーザーが自分で選んだスタートページを自動的に開くように設定しても良いし、タイトル画像などを表示させても良い。メッセージビデオを自動再生するように設定し、プレゼントとして贈るなんていうのもオシャレなのではないだろうか。使い方はアイディア次第だ。


本体はUSBポートへ差し込む部分より少し厚い程度。わずか7mmしかない。非常にコンパクトで携帯性に優れている パッケージ内容。付属CD-ROMにはドライバのほか、PDF形式のマニュアルも収録されている

USBポートに差し込むと自動起動する内蔵ソフトウェア「Smart Agent」。このウィンドウではファイル管理が行なえる
 Clip Drive Plusには自動実行機能のほか、内蔵の「Smart Agent」というアプリケーションを自動起動する機能もある。Smart Agentは、ファイル管理やブラウザ、Webメールログイン、PCロックなど多彩な機能を持った一種の統合ソフトだ。

 エクスプローラと名付けられたファイル管理は、ファイルの実行、消去、移動などが行なえる機能。操作はドラッグ&ドロップではなく、カット&ペーストを主体としているので、残念ながら扱いやすさではWindows付属の本家エクスプローラに及ばないようである。とはいえ、ファイルを確認したり、実行したりといった用途には必要にして十分と言えるだろう。

 ブラウザは、パソコンにインストールされているブラウザのブックマークとは別に、ホームページのURLをUSBメモリ内に保存しておくことができるというもの。いつでもどこでも、Clip Drive Plusをパソコンに差し込みさえすれば、お気に入りのページが即座に呼び出せるというわけだ。

 Webメールは、インターネット上のWebメールサービスを使いやすくする補助機能。IDとパスワードを記憶し、ボタンをクリックするだけで簡単にログインできるようにしてくれる。


「Smart Agent」のブラウザ表示。パソコン側のブラウザとは別にスタートページを設定したり、お気に入りを登録することができる Webメール機能でHotmailにログインしたところ。一度IDとパスワードを登録してしまえば、その後は左にあるログインボタンをクリックするだけだ

 Clip Drive Plusは、USBメモリキーとしても利用することができる。Smart AgentのPCロック機能を起動し、そのまま引き抜くとパソコンがロックされ、以降の操作を受け付けなくなる。解除したいときはClip Drive Plusを元のUSBポートに差し込みさえすれば良い。いちいちパスワードを打ち込む手間がかからないので、オフィスでちょっと席を立ちたいときなど、とても重宝する。

 数多い機能の中で、特に気になったのはWebメール機能だ。個人的な話で恐縮だが、筆者はWebメールを使う機会が多い。普通にメールをやりとりするほか、プロバイダーに届いたメールを転送したり、メールマガジンを受け取ったり、あるいは資料置き場代わりにしていたりもする。

 インターネットに接続したパソコンが使える環境なら、どこでも利用できるのが大きな魅力だ。ただ、Webメールには、ブラウザでログインページを開き、IDとパスワードを入力するという、ちょっと面倒な手続きを踏まなければならないという問題がある。IDとパスワードを忘れしまえばログインできないし、何度も入力を間違えるとアカウントがロックされてしまったりもするのである。

 ところが、Clip Drive PlusのWebメール機能は、この一連の手続きを自動的に行なってくれるのだ。リストからWebメールサービスを選択し、自分のIDとパスワードを入力すると、それがメモリ内に記憶される。その後は、左側フレーム内のボタンをワンクリックするだけでWebメールにログインできるようになるのである。Internet ExplorerなどのブラウザにもIDとパスワードを記憶して自動入力する機能はあるが、手軽さではこちらのほうが上。しかも、どこにでも持っていくことができるのだ。


PCロック機能の設定ウィンドウ。表示するメッセージとフォント、背景色や画像、自動解除までの時間を指定できる 自動実行機能の設定ウィンドウ。Clip Drive Plus内にあるアプリケーションやデータファイルを指定する

 個人的に残念だったのは、Webメールログイン補助が機能するのはHotmail、Yahoo! Mail、gooメール、infoseekメールに限られているという点だ。この4つは、どれも大手フリーWebメールサービスで、利用者は膨大な数に上る。これだけサポートしていれば十分だという意見もあるだろう。

 しかし、ほかにも魅力的なサービスは存在するし、通常のメールをWebメール形式で閲覧できるサービスを実施しているプロバイダーもある。できれば対応を増やすか、あるいはユーザーがカスタマイズできるような改良を期待したいところである。

 Clip Drive Plusに搭載されている機能は、実際に使ってみると非常に便利で、つい多用してしまいたくなる。しかし、見ず知らずの人にメールの内容やパソコン内部のデータを見られてしまう危険性もはらんでいるのだ。Smart Agentのウィンドウにも警告文が表示されているが、個人データを記録したClip Drive Plusの紛失や盗難には十分に注意していただきたい。

 ラインナップは容量128MBと256MBの2タイプ。最大480Mbpsの高速データ転送が可能なUSB 2.0に対応している。デザインはシルバーのインゴットを思わせるアクセサリー風。表面には「Clip Drive Plus」のロゴが刻まれたプレート。このプレートには小さなLEDが埋め込まれていて、データ転送中に赤く発光する。

 なお、自動実行機能やSmart AgentはWindows専用。Macintoshなど、ほかのOSでは通常のUSBメモリとして動作する。また、パソコンにInternet Explorer 5.5以上がインストールされていないと、ブラウザ機能やWebメール機能が正常に動作しないことがあるようだ。

 パッケージには本体とマニュアルのほか、ドライバなどを収めたCD-ROM、それにちょっと便利な付属品が同梱されている。1つは50cmのUSB延長ケーブル。必需品ではないが、USBポートが背面にあるパソコンでは、これを利用するとUSB機器の使い勝手が格段に良くなる。もう1つは本体端のリングに通して首から提げられる長さ80cmほどのネックストラップ。細い銀色の編み紐に透明で柔らかい樹脂がコーティングされた品である。紛失、盗難防止用として有効そうだが、光りモノの苦手な筆者としては、きらびやかすぎて身に付けるのに少々抵抗を感じてしまった(笑)。


付属のUSB延長ケーブルと併用。直接パソコンに差し込むより使い勝手は良くなるし、何かに引っかけて破損させる危険性も低くなるだろう ネックストラップを取り付けると、USBメモリというよりはペンダント風のアクセサリーに見えてくる

関連情報

URL
  製品情報
  http://buffalo.melcoinc.co.jp/products/catalog/item/r/ruf2-par/index.html
  バッファロー
  http://buffalo.jp/


(斉藤成樹)
2005/02/09 10:58
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