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360度の全方向視野を確保したネットワークカメラ「CG-NCPT」


コレガのネットワークカメラ「CG-NCPT」。標準価格は33,390円。今回試用した製品は、プロトタイプ機だが製品版にも大きな違いはないとのこと。シンプルで安定感があり、部屋やオフィスのインテリアに溶け込みそうなデザインだ

カメラの方向を変えて本体を背面から撮影。左右それぞれ170度方向を変えられる。カメラの画角とあわせると周囲360度が見渡せる全方向視野だ
 コレガの「CG-NCPT」は、水平方向に360度の視野を確保したネットワークカメラだ。パソコンからのリモートコントロールで水平方向へ340度(±170度)、垂直方向へは135度(-45度~90度)の範囲で撮影方向を変えることができる。

 カメラ自体の画角とあわせると設置面以外の死角がなく、どこに置いても周囲全体を見渡せるのだ。標準価格は33,390円と個人ユーザー向けの価格帯ではあるが、パソコン用アクセサリというより、無人カメラに近いアイテムといえそうだ。

 バリエーションは、ベーシックな有線LANタイプ「CG-NCPT」と、IEEE 802.11gに準拠した無線LAN対応タイプ「CG-WLNCPTG」の2タイプ。今回試用したのは無線LAN機能を搭載していない「CG-NCPT」だ。

 なお、レビューで試用した製品はプロトタイプ機ということで、製品版とはデザインなどが若干異なっていることをはじめにお断りしておきたい。

 本体はオフィスの壁などに取り付けても違和感のないホワイト。円盤状の台座の上に「U」字形の支柱を載せた形だ。見るからに低重心の安定が良さそうなデザインである。製品版には壁掛け用の金具も付属するようなので、設置場所に苦労することはないだろう。ボディには数多くのスリットが刻まれているが、筆者が試用してみた範囲では気になるような発熱はなかった。放熱用というよりはデザイン上のアクセントなのかもしれない。

 カメラユニットは球形のケースに収められ、U字支柱の間に取り付けられている。水平方向は支柱の基部が左右に、垂直方向はカメラユニットが支柱の間で上下に回転する方式だ。円盤状の台座部分、正面には2つのLEDが並ぶ。電源インジケータとLANとの接続状態を知らせるリンクインジケータだ。後面にはACアダプタを接続する電源コネクタとLANケーブルを接続するポートというシンプルな構成である。

 カメラユニットには、30万画素のCMOSイメージセンサを採用。画像サイズは160×120、320×240、640×480ピクセルの3段階。露出やホワイトバランスはオートだが、画像の圧縮率を5段階に切り替えられるほか、明るさ、コントラスト、色彩のマニュアル調整が可能だ。

 解像度は高いといって差し支えないだろう。最短撮影距離の20cm前後まで近付けると、かなり小さい文字でもクッキリと映し出してくれる。パンフォーカス式なので、ピント合わせなどは不要だ。画角はヒトが目で見る視野に近い。全方向視野を確保しているとはいっても広角レンズを採用しているわけではないので、遠近感が強調されすぎたり、画像周辺部が光量不足で暗く写ったりすることはない。

 パソコン側から撮影方向を変えようとすると、一瞬遅れてカメラが反応する。滑らかな動きではなく、小刻みに角度を変える、まるでステップを踏むような動きだ。気になるようなタイムラグはないが、ペットなど、動きの速い被写体を追いかけるというよりは、広い視野を活かした定点観測に向いているように思う。ただ、今回試用したカメラはあくまでも試作品段階なので、製品版ではもっとキビキビ動くようなチューニングが施される可能性もある。


ACアダプタとLANケーブルは背面のコネクタに差し込む。スリットが数多く刻まれているが、気になるような発熱はなかった 30万画素のCMOSセンサーを採用したカメラユニット。垂直方向へはこの球形ケースが上下に首を振る。最短撮影距離は20cmだ

付属のコントロールソフト「NCView A」。ゲームコントローラ風の外観。同時に最大4台のネットワークカメラを扱うことができる
 CG-NCPTで撮影した映像は、そのままパソコンを介することなく、指定したメールアドレスに添付ファイルとして送信したり、あるいはネットワーク上のFTPサーバーに自動アップロードすることができる。どちらの場合もスケジュールや送信間隔を細かく設定することが可能だ。

 付属のCD-ROMにはユーティリティーソフトの「NCView A」と「NCView S」、またIPアドレスなどを設定する「NCSetup」が収録されている。メインとなるNCView Aは、最大で4台のネットワークカメラを扱うことができるコントロールソフトだ。

 外見はゲーム用のコントローラーを思わせるデザイン。中央のステータスウィンドウを取り囲むように各種の設定ボタン、右側へ張り出すような形でカメラの方向をコントロールする4方向ボタンが配置されている。単純に撮影方向を変えるだけでなく、ワンタッチで正面を向く機能や自動的に周囲を見回してくれる機能を備えており、使い勝手はなかなか良い。カメラの映像は独立した別ウィンドウに表示される。こちらは上部のツールバーにキャプチャー、ズームといった機能アイコンが並ぶベーシックなデザインだ。


Internet Explorerでの操作画面。左側にズームや上下左右への移動ボタンが並ぶ。録画などを行なわないのであれば機能不足は感じない 本体設定画面。解像度、圧縮率、フレーム転送速度を指定できるほか、明るさ、コントラスト、色彩が調整できる

 NCView Aには、ビデオの番組予約のように、あらかじめ日時を指定して映像を記録するスケジュール録画など、さまざまな機能が用意されている。中でも筆者がよく使ったのはモーション録画。撮影している映像に動きがあった場合にだけ画像を送信するという機能だ。例えば、留守中の室内を監視させておけば、侵入者など、何らかの動きがあったとき、即座に外出先のパソコンや携帯で知ることができるのである。

 もちろん、防犯目的だけでなく、オフィスに人がいるかどうかをチェックしたり、居間に置いて家族の帰宅を確認するといった用途に利用することもできる。一定時間ごとに送信を繰り返したり、動画データを垂れ流しておくよりはるかに効率的で、通信コストの節約になるはずである。

 なお、NCView Sは所有者以外のユーザーがCG-NCPTで撮影している映像を見るためのビューアーソフトだ。NCView Aと共通したウィンドウデザインだが、いくつかの機能が省かれたサブセット版となっている。また、付属の専用ソフトウェアがなくても、Webブラウザで映像を見たり、撮影方向を変えることが可能。カメラ本体に内蔵された機能だけなら設定を変更することもできる。


プロバイダーなどのSMTPサーバーを利用して撮影した映像をメール送信できる。曜日や時刻を指定することが可能だ FTPサーバーへの自動アップロード設定。メール送信と同じく、曜日、時刻等を指定できる

 CG-NCPTにはちょっと便利なオプション品が用意されている。たとえばPoE(PowerOverEthernet)ユニットの「CG-POEADP」。LANケーブルで電源を供給するシステムだ。8,190円と少々高価だが、ACアダプタが不要になる上、最大100mの距離まで給電可能。設置場所の自由度や取り回しがぐっと楽になる、お勧めのアイテムである。

 また、お手軽な広角レンズと接写レンズ。こちらは粘着パッド式で、他のネットワークカメラや携帯電話のカメラでも利用できる。価格はどちらも1,050円と安いので揃えてみてはいかがだろうか。参考までに付け加えると、ワイヤレスLAN搭載のCG-WLNCPTGはCG-NCPTと共通デザイン、同一仕様のネットワークカメラだ。IEEE 802.11gに対応しており、設置場所を選ばないという点ではCG-NCPT以上。こちらも興味をそそられる製品である。


関連情報

URL
  CG-NCPT 製品情報
  http://www.corega.co.jp/product/list/others/ncpt.htm
  CG-WLNCPTG 製品情報
  http://www.corega.co.jp/product/list/others/wlncptg.htm
  コレガ
  http://www.corega.co.jp/

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(斉藤成樹)
2005/03/09 10:58
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