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手軽に使えるシンプルな赤外線ワイヤレスヘッドフォン


イーカイの「USBワイヤレスヘッドフォン&マイク」。同社直販価格は5,980円。製品には、単4型ニッケル水素バッテリー、1.5mのUSBケーブルと1mのヘッドセット充電用ケーブルが付属する
 イーカイの「USBワイヤレスヘッドフォン&マイク」は、手軽さが魅力の製品だ。Windowsなどが標準で対応しているドライバで動作するため、専用ソフトウェアのインストールは必要なく、USBバスパワーに対応しているので、ACアダプタを接続するわずらわしさもない。USBポートにケーブルを差し込みさえすれば動作してしまうのだ。機能的にはシンプルだが、パソコン内蔵スピーカーの代わりからプレゼンテーションなどのサウンドモニター、さらに送信ユニットのマイクを利用したチャットやP2P電話など、幅広くこなせるヘッドフォンシステムである。

 ヘッドセットはビハインドヘッドデザインを採用。ヘッドアーム型やネックバンド型とも呼ばれるスタイルだ。左右のスピーカーユニットをつなぐフレームが頭のうしろに来る、いってみれば後頭部にメガネをかけるようなカタチ。左右の耳の部分が湾曲していて、ちょうどこのあたりを支点に、前後で釣り合いを取っているようである。

 重さは約65g。バッテリーと合わせても80g前後だろう。耳かけ型やインナーイヤー型と比べると重量感はあるが、オーバーヘッド型のように頭の上を押さえつけられているような不快感がないし、つけたまま動き回っても簡単に外れてしまうようなことはない。


左側のスピーカーユニットにはスライド式電源スイッチ、電源ケーブル用コネクタがある。上の凹凸がある部分はバッテリー収納スペースのフタだ フタを開けて単4型ニッケル水素バッテリーを取り出す。説明書には付属品以外は使用しないようにとの記述がある。特殊な製品なのかもしれない

手前側のフレームが後頭部にかかるビハインド・ヘッド・デザイン。メガネを前後逆に掛けているような気分になってしまう(笑)
 左右のスピーカーユニットは小振りなタマゴほどのサイズ。左には、頭につけたとき親指で操作できる位置にスライド式電源スイッチ、また、充電用ケーブルのコネクタとバッテリー収納スペースがある。右ユニットにはボリューム調整用のダイヤルが配置されているだけだが、重さは右ユニットと大差なく、バランスは崩れていない。

 スピーカーユニットの耳に当たる部分はスポンジ製の柔らかいパッドに覆われている。耳に対する圧迫感が少なく、つけていてもある程度周囲の音が聞こえるオープン型だ。外側は黒いカバーのように見えるが、実は濃い赤のフィルターで、内部に赤外線センサーが組み込まれている。この部分は外側に張り出す形になるので、髪が長くても受信の妨げになることはないだろう。


右側のスピーカーユニットにあるボリューム調整ダイヤル。ボタン式に比べて素早く感覚的に操作できるのは魅力 充電用の電源ケーブルを差し込むとスイッチのポジションにかかわらず動作しなくなってしまう。ちょっと不便な仕様である

送信ユニット。上部の黒く見えるカバーが赤外線照射部だ。内部にLEDが4個並んでいて、動作中に淡く光るのが見える
 メタリックシルバーの送信ユニットはレンズ形から切り出したようなデザイン。てっぺんの黒く見える部分はヘッドセットの受信部と同じく、濃い赤のフィルターで覆われた赤外線照射部だ。ほかに、上下に並んだ2つのLED。上はヘッドセット充電時に赤く点灯、下はUSB接続時に緑に点灯する。

 2つのインジケータランプの下にマイクがある。感度は高いようで、1mほどの距離でもしっかりと音声を拾ってくれる。ただ、離れすぎると周囲の雑音や反響音が目立つので、チャットなどに使う場合は口元から数十cm程度の距離、キーボードの横にでも置くのが良いようである。なお、このマイクはヘッドセット側の電源が入っていなくても動作した。

 送信ユニットの後面にはミニBタイプのUSBポート、それにヘッドセット充電ケーブルを接続するコネクタがある。電源はバスパワー方式なのでACアダプタなどは必要なく、ただUSBケーブルでパソコンと接続するだけである。

 ヘッドフォンは、中高音域が前面に出てくるような賑やかな音質。人が話す声やゲームなどの効果音は非常に聞きやすい。しかし、音楽用としてはちょっと不満が残ってしまうかもしれない。送信ユニットにマイクを内蔵していることからもわかるとおり、各種のメッセンジャーソフトやP2P電話ソフトなど、会話を中心とした用途を想定して設計されているからだろう、低音域が不足しているように思えるのだ。音楽を聴くときはパソコン側の音質調整で低音域を強調してやると良いのではないだろうか。

 赤外線の到達範囲は送信ユニット正面で約7m、上下左右±30度ほどの角度内では5m前後である。チャットやゲームはもちろん、パソコンで映画をみたり、あるいはプレゼンテーションなどで活用するにも十分な距離といえる。

 赤外線式は電気的なノイズの影響を受けにくいという特徴がある。また、無線LANやbluetooth機器などとの干渉も気にする必要はない。ただ、AV機器などの赤外線リモコンと同じく、送信ユニットとヘッドセットの間に何か遮蔽物があると動作しなくなってしまう。

 ワイヤレスヘッドフォンの場合、これはデメリットあると同時にメリットでもあると筆者は思っている。消音スイッチ代わりに使えるからだ。たとえばオフィスで隣席の人に声をかけられたりした場合、送信ユニットの赤外線照射部を手で覆うかヘッドセット側の受信部を耳をふさぐように覆いさえすればすぐに音が途切れる。電話が鳴ったり来客があった場合でも、ちょっと席を離れて赤外線の照射範囲外に出れば自動的に消音される。いちいちヘッドセットを外したり、耳元を探って音量を下げる必要はないのだ。映画や音楽に没頭したいときならともかく、モニタースピーカー代わりに使うのなら、赤外線方式は良い選択なのではないだろうか。


送信ユニット前面のインジケーター。赤は充電中、緑はUSB接続中を示している。その下にある小さな穴はマイクだ 送信ユニット後面にはコネクタが2つ。上はヘッドセット充電ケーブル接続用、下はUSBケーブル接続用だ

 ヘッドセットの電源は左側のスピーカーユニットに収納されている充電式単4型ニッケル水素電池。送信ユニットとケーブルで接続して充電する方式だ。1本で約10時間使用できるほか、普通の単4アルカリ乾電池で約20時間動作させることもできる。

 コスト面でいえば充電池の方が有利なのはいうまでもないが、ここに1つ問題がある。充電用ケーブルを接続するとヘッドセットの電源が強制的に切られてしまうのだ。また、送信ユニット側の電源はUSBから供給されているので、充電中はパソコンの電源を落とすわけにはいかない。つまり、充電するにはパソコンの電源を入れたままヘッドフォンを使わずに放置しておかなければならないのである。

 もちろん、乾電池を併用すれば不便はない。パソコンによってはスタンバイ状態でUSBに給電を続けられる場合があるし、筆者のように電源を入れっぱなしにしていれば、いつでもフル充電の状態にしておけるだろう。しかし、パソコンの使用頻度が低いライトユーザーにとって、これはちょっと面倒な仕様なのではないだろうか。専用ドライバや設定ソフトのインストール不要、ケーブルを1本差し込みさえすればOKという手軽さが魅力の製品だけに、この点については改良を期待したいところである。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.e-kai.co.jp/USB-wireless-headphone1.htm
  イーカイ
  http://www.e-kai.co.jp/


(斉藤成樹)
2005/04/13 10:55
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