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パソコンに近づくだけでロック解除! 操作不要のPCロックシステム


サンコーのワイヤレスPCロック タイマーコントロールモデル。標準価格は3,780円。レシーバーユニットは全長70mmほどのガム型。トランスミッタユニットは直径35mm、厚さ12mmのレンズ形だ。Windows XP/Me/2000/98SEに対応する
 サンコーのワイヤレスPCロックは、USBポートに差し込むレシーバーとユーザーが身に付けるトランスミッタの2ユニットで構成されたユニークなPCロックシステムだ。

 ワイヤレスのロックシステムといえば、身近なものとしてクルマのキーレスエントリーを思い浮かべる。キーホルダーに付いた小さなリモコンのボタンを押すだけで簡単にクルマのドアロックを開閉できるアレだ。ところがワイヤレスPCロックは手軽さでさらに上をいっている。なにしろフルオートなのだ。席を立ってパソコンから離れれば自動的にロックされ、パソコンの前に戻れば自動的に解除される。リモコンどころかキーボードやマウスに触れる必要さえないのである。

 ワイヤレスPCロックは、パソコンのUSBポートに差し込むレシーバーとユーザーが持ち歩くトランスミッタの2ユニットで構成されている。トランスミッタが微弱なシグナルを出していて、これをレシーバーが受信できなくなるとパソコンがロックされるというシカケだ。いわゆるデッドマンスイッチと同じような働きである。通信方式には電波を採用しているので、トランスミッタを身に付けてさえいればポケットに入れたままでも問題ない。製品にはストラップリングとクリップが付属し、携帯電話やキーホルダーに取り付けられるようになっている。


レシーバーユニットのキャップを取り外して裏返してみる。水晶発振子のような長楕円形のモジュールやアンテナのような螺旋状に巻かれたワイヤが透けて見える トランスミッタは直径35mmほどのレンズ形。真ん中の目覚まし時計が描かれた部分はタイマー設定用プッシュボタン。画像ではわかりにくいが、右側面に小さな電源スイッチがある

 レシーバーは濃いスモークがかかった半透明のプラスチック製。わずかに内部が透けて見える。平たいガム型で、外観は一般的なUSBフラッシュメモリのようだ。トランスミッタは直径35mmほどの小さなレンズ型。こちらもレシーバーと同じく半透明の素材だ。横に小さなスライド式電源スイッチ、中央の厚くなった部分に目覚まし時計のイラストが入ったプッシュボタンがある。電源は手に入りやすいCR2032コイン型リチウム電池。1個で約2,000時間、つまり3カ月近く動作するというからランニングコスト面での心配はないだろう。設定時にレシーバー側が識別コードを認識する方式なので、1台のトランスミッタで複数のレシーバーを制御することもできる。


トランスミッタの電源はCR2032コイン型電池。トレイにセットして本体内に差し込む方式だ。コンビニなどでも売られている一般的な品なので電源の確保に困ることはないだろう トランスミッタは小型軽量なのでポケットに入れても気にならないし、オフィスなら首から提げるIDカードのストラップなどに通しても良いだろう。筆者はケータイに取り付けてみた 製品にはドライバ等を収めたCD-ROMと日本語マニュアルのほか、USB延長ケーブル、ストラップリング、クリップが付属する

ロック機能が働き出すと、癒し系ののどかな壁紙とパスワード入力のダイアログボックスが表示される。この状態なら通常のパスワード入力でロック解除可能だ
 ロック中のパソコンは、ほかのUSBフラッシュメモリなどに搭載されているPCロック機能を使っているときと同じように通常のキー入力を受け付けなくなる。もちろんレシーバーを引き抜いてもパソコンはロックされたままだ。さらに他方式にありがちなロックのし忘れがない。これは相当に大きなメリットだ。筆者としてはビジネスシーンはもちろん、一般の家庭でも利用価値が高いように思える。ちょっと目を離したスキに小さな子どもやペットにキーボードをイタズラされ、作成中のデータを台無しにされてしまったという話をよく聞くからだ。

 マニュアルでは電波が届く範囲は約2mとなっている。実際にトランスミッタを離れた場所に置いてパソコンの前に駆け戻ってみたり、壁の後に隠れて覗き見してみたりと、まるで隠れん坊でもしているような気分(笑)で試してみた結果、遮るものがない見通しの良い場所では、その倍以上の距離でも問題ないように感じられた。ただ、電波はごく弱いようで、近距離でもレシーバーとトランスミッタの間に金属製の障害物が入るとすぐにロックがかかってしまう。デスクの下に置いたタワー型パソコンなどで使う場合は付属のUSB延長ケーブルを使い、レシーバーを目立つ場所に引き出した方が良いようである。

 トランスミッタからのシグナルが受信ができなくなってからパソコンがロックされるまでの時間は3段階に調整できるし、必要ならトランスミッタのスイッチを切ることで強制的なロックも可能だ。また、指定した時間が経過した後にロックされるというタイマーコントロール機能も搭載されている。設定は30分刻みで3時間まで、その後は1時間刻みで最大8時間まで。少々おおざっぱにも思えるが、トランスミッタのボタン1つで手早く操作できるためか、むしろ扱いやすいという印象が強い。


 ワイヤレスPCロックには、トランスミッタの電池切れや紛失といったトラブルにそなえて、通常のパスワード入力でロックを解除する機能も搭載されている。しかし、フルオートのロックに慣れ切ってしまうとパスワードを忘れてしまうようなこともあるだろう。そんなときのために、とてもユニークな緊急用ロック解除機能が用意されている。

 この機能を選ぶと、ウィンドウに特定のキーを押すよう指示が現われる。ユーザーは指示に従ってキーボードをタイプしていく。これをあらかじめ設定した時間だけ繰り返すのだ。「そんな簡単にロックが解除できちゃっていいのか?」と思われるかもしれない。ところが実際にやってみると、これがタダゴトではないのだ。

 作業自体は指定されたキーをタイプするという、ごく単純なものだが、これを最低でも30分間、しかもキー1つにつき10秒以内という制限つきで延々と繰り返さなければならないのである。もちろん1度でも間違えたり制限時間をオーバーしたりしたら振り出しに戻ってしまう。一応は筆者もテストのつもりでトライしてみたが、単純なだけに集中が続かず、5分ともたなかった。

 キー入力を続ける時間は30分から180分まで6段階の時間を設定できる。最短の30分でもクリアするには相当のモチベーションが必要なので、セキュリティ面の不安はないといって良さそうである。この機能自体を無効にすることも可能だが、たとえパスワードを忘れても復旧させる手段が用意されているというのは心強い。


パスワードを忘れたときのための緊急用ロック解除。ウィンドウに表示される指示に従ってキー入力を延々と繰り返す。できれば使いたくないが(笑)、心強い機能だ 画面中央に大きく設定時間が表示されるタイマーコントロール。トランスミッタのプッシュボタン1つで素早く操作できるので便利だ。設定後、数秒放置するとカウントダウンが始まる

 ロック機能が働くと、ディスプレイには農村風景の壁紙とパスワード入力ダイアログボックスが現われる。その後、10秒ほど放置すると自動的にダイアログボックスが消え、画面右下に小さなドアのアイコンが表示される。パスワードでロックを解除するときは、このドアアイコンをクリックすれば再びダイアログボックスが現われる。

 個人的に残念だったのは、ロック中の壁紙を選べないという点だ。ドライバのインストールフォルダ内に収められたビットマップデータを差し替えるというウラワザ的な手法で強引に変更することはできたが、もちろんマニュアルでは触れられていないし、動作保証はない。考えてみると、ロック中のパソコンに近づきさえすれば普通の画面表示に戻ってしまうわけだから、ユーザー自身が壁紙を目にする機会は少ないわけである。リスクを負うほどの価値があるかどうか微妙なところだ。


ロック機能が働いたあと、数秒経つとパスワード入力ダイアログボックスが消え、画面右下にドアのアイコンがあらわれる。このドアをクリックすれば再びダイアログボックスが表示される トランスミッタが内蔵しているユニークなコードをパソコンが認識する。この作業を繰り返せば1台のトランスミッタで複数のパソコンのロック機能をコントロールすることも可能だ

 ちなみにインストールフォルダ内にはサウンドデータも収められていた。サウンドが再生できるならクルマのロック・アンロック音をサンプリングして使ってみたり、壁紙とあわせて映画やアニメのセリフをしゃべらせたりもできる。いろいろ遊べるぞ、なんて意気込んでみたが、よく調べるとサウンドデータのサイズは0。単なるダミーとして置かれているだけなのかもしれない。あまりムチャをするとロックが解除できなくなるといったトラブルに見舞われる可能性もないとはいえないので、これ以上の追求は諦めることにした。

 なお、今回試用したワイヤレスPCロックは発売されたばかりの新型。ほかにもタイマーコントロール機能を省いたモデル(直販価格3,480円)や、USB 2.0対応の4ポートハブにワイヤレスPCロックシステムを組み込んだハイブリッドモデル(同4,980円)などがラインナップされている。用途に合わせて選べる、ちょっと便利なアイテムだ。


関連情報

URL
  製品情報
  http://www.thanko.jp/pclock_time.html
  サンコー レアモノショップ
  http://www.thanko.jp/index.html


(斉藤成樹)
2005/05/18 10:52
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