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ソフトバンク株主総会、携帯電話事業や光ファイバへの質問相次ぐ
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ソフトバンクは22日、第25回定時株主総会を開催した。参加した株主は1,055名。株価や業績だけでなく、新規参入を表明している携帯電話事業や総会後に退任する北尾吉孝取締役についても質疑が交わされた。
冒頭に行なわれた業績の報告では、5月末でYahoo! BBの契約回線が480万、BBフォンが450万、無線LANパックが100万を超えたことが報告された。また、日本テレコムやケーブル・アンド・ワイヤレスIDC(日本テレコムIDC)の買収により、回線契約総数は1,100万回線を超え、連結売上高も1兆円規模に達する見込みで「総合通信事業者のステージに上った」(孫正義代表取締役社長)とアピール。総合通信事業者として「Yahoo! BB 光」「おとくライン」「1.7GHz帯の携帯電話事業」の3本柱に力を注ぐとコメントした。
セグメントごとの分析では、ブロードバンド・インフラ事業、イー・コマース事業、インターネット・カルチャー事業など各事業で業績が順調に推移。「2004年はおとくラインの初期投資で赤字に終わってしまったが、2005年は黒字化できるめどがたった」と強調した。
株主からは「事業の見通しの説明で今後も有望だと思ったが、株価が正当な評価を受けていない。事業が複雑多様になっており、もっと情報を開示すべきではないか」との指摘もあった。これに対して孫社長は「グループ事業が多岐に渡り、複雑になっている」と認めた上で、「インターネットに関わる事業に集中している。セグメントごとの情報開示はこれまでも行なっていたが、これからも工夫をしていきたい」とコメントした。
「ソフトバンク本体は純粋持株会社。上場したグループ企業の情報を細かくお伝えしているつもりだが、これからも強化する。例えば、ガンホーが上場したが、上場したおかげでソフトバンクグループもオンラインゲームに携わっていることが理解していただけるようになった。グループ内ではまだまだ未上場の企業が多いので、情報開示の観点からも上場を目指していく。」
■ 携帯電話事業への資金調達は
「携帯電話を使えば、いつでもどこでも誰とでもという総合的なデジタル革命が行なえる」と孫社長。「ただし、これは許認可が必要だ。実験免許はいただいているので、粛々と準備を進めている。いったん許認可をいただければ、事業はやっていける」という。
一方、株主側は携帯電話事業の将来性は認めるものの、先行投資についてはこれ以上の資金調達に懸念を示す。ある株主は「携帯電話に参入するのであれば、全地球的なローミングを実現するなどスケールの大きいことをしてほしいと思うが、株主としては黒字化を望む」と複雑な気持ちを吐露。また、株価が下落することを懸念し、「ストックオプションや第三者割当増資など、株式をやたらに新規発行する方法で携帯電話事業への資金を調達することは控えてほしい」と訴える株主もいた。
これに対して孫社長は「携帯電話のインフラ投資については、ベンダーと協力しながらソフトバンク側に過度な負担にならないよう進めるつもりだ」と、リースなどを通じて機器を導入する“ベンダーファイナンス”の手法を取ることを示唆。「Yahoo! BBの頃は実績がなかったが、いまやソフトバンクには通信事業者としての実績があり、ベンダーとの協力体制が取れるようになった。私自身もソフトバンクの株主ということもあり、少なくとも今の株価で安易に増資するのはもったいない」と述べた。
さらに「携帯電話でも顧客獲得コストが必要になるが、新規資金がかからないようにする」という。詳細は不明だが、「すでに、Yahoo BBや日本テレコムの1,100万ユーザーが基盤としてある。この基盤をもとに携帯電話事業に臨む」とした。
■ 「Yahoo! BB 光」への熱意は
「Yahoo! BB 光」についての質問もあった。株主の1人は「大きな流れでは、ADSLから光ファイバに移るのは間違いないと思われるが、ソフトバンクの光に対する熱意を感じない」と発言。孫社長は「光は、やみくもに広げると利益が薄くなる構造だ。一定の地域に密度高く設置工事ができれば利益も高くなるが、現状はそうも行かないので慎重にやらざるを得ない。まとめて工事できるというようなことになれば、経営とのバランスを見ながら進めていきたい」と回答した。
また、日本テレコムの買収に関して「日本テレコムはJRなどが大株主だったため、線路脇のダークファイバが使えた。ソフトバンクもダークファイバが利用できる契約になっているのか」という突っ込んだ質問もあった。
これに対しては「線路脇にあるダークファイバの使用権も継続している」と回答。「ただ光については、幹線部分よりも末端の部分が費用がかかる。諸制度のルールにも不利な面があり、現在関係各所と協議中だ」と、光ファイバが普及段階に至るまでにはしばらく時間が必要だという考えを改めて示した。
■ 今期の黒字は死守
今回の株主総会では取締役の選任も行なわれた。これまでソフトバンクの取締役を務めてきた北尾吉孝氏が今株主総会を最後に退任することになっており、「ソフトバンク発展の功労者である北尾氏との今後の関係は」と質問する株主もいた。
孫社長は「多大な貢献があり、私自身も感謝申し上げている」とコメントした上で「さまざまな事業を行なっているソフトバンクファイナンスの総責任者は北尾。この事業に専念すると本人から申し出があった。十分理解できる申し出だったので了承した」と経緯を説明。「ソフトバンク・ファイナンスグループは、依然としてソフトバンクグループの有力なグループ企業。これからも側面から支えてほしい。個人的にも定期的に会っており、これからも志を分かち合う同志として支えあう関係だ」と述べた。
また、北尾氏も「ソフトバンクと孫さんという偉大な経営者に感謝している。死ぬまで同志のつもりだ。株主の皆様には引き続きソフトバンクをサポートしていただきたい」とコメントした。
北尾氏はこのほか、「ソフトバンクの現状を率直に言うと、今期黒字にならなかったらマーケットから受け入れられないのではないかと思っている」と分析。「孫さんには、ブロードバンド事業を成し遂げるまで辞めてはならないと申し上げてきたが、今期は先行投資を多少止めても黒字を出さねばならないと申し伝えた」という。「マーケットはいつまでもついてきてくれない。今まで一貫して増えてきていた株主数だが、今回は1万名が株主ではなくなってしまった。役員を去るに当たって、全役員に今期の黒字を死守してほしいと申し上げたい」と心境を述べた。
孫社長は最後に「10年前はインターネットの企業はほとんどが赤字。今はほとんどが黒字だ」とコメント。「インターネット事業を10年前に始めて以来、ユーザーは減っていない。使う時間、読むページ数も増え続けている。取り組んでいる事業は一貫して拡大し続けている。その一方で株価は上下し、先行投資で一時的に赤字が出ることもある。深く掘ることによって、山も高くなる。事業を立派に展開し、キャッシュフローを出していくことが市場に評価されることになるのではないか」と信念を語った。
総会ではこの後、取締役や監査役の選任、ストックオプションの発行などについての決議を行ない、全ての決議が過半数以上の賛同を得て可決されている。なお、北尾氏の退任に伴って、日本テレコムの取締役代表執行役社長を務める倉重英樹氏がソフトバンクの取締役に就任した。
■ URL
ソフトバンク
http://www.softbank.co.jp/
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・ ソフトバンク株主総会が開催。「携帯電話事業は必ず参入する」と孫社長
(鷹木 創)
2005/06/22 17:33
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