財団法人デジタルコンテンツ協会(DCAj)は、デジタルコンテンツを中心にメディアコンテンツの市場規模や動向などを解説・紹介する「デジタルコンテンツ白書2005」(定価4,500円)を8月11日に発刊する。これに先だってDCAjでは、同白書に関する説明会を8月10日に開催した。
■ 市場規模は過去最高に。iTMSや新型ゲーム機の登場でさらなる伸びも期待
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DCAjの福島氏
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デジタルコンテンツ白書2005によれば、2004年のデジタルコンテンツ市場規模は2003年の2兆2,215億円から2兆4,685億円へと111.1%の伸びを見せ、過去最高に達したという。分野別ではパッケージが前年比111.7%の1兆6,197億円、インターネットが同111.0%の4,636億円、携帯電話が同113.3%の2,330億円で、デジタル放送は同103.1%の1,522億円。なお、デジタルコンテンツ市場規模の調査期間は2004年12月初旬から2005年3月下旬。
DCAj 企画・推進本部 企画調査部の福島寿恵氏は、成長分野としてパッケージ流通の映像系コンテンツや、インターネット流通コンテンツ、インターネット対応の携帯電話向けコンテンツを挙げた。特に音楽系コンテンツに関しては、パッケージ流通が5,078億円と前年比98.2%に止まる一方で、インターネットの音楽配信サービスが同211.8%の36億円、「着うた」「着うたフル」といった携帯電話向けサービスが同122.5%の1,099億円と、パッケージ流通を補う成長を示したという。
福島氏は「2005年もインターネットおよび携帯電話向けの音楽配信は成長の見通しである」とコメント。2005年の市場規模としてインターネット向け音楽配信サービスが前年比236.1%の85億円、携帯電話向けが同127.3%の1,399億円と予測値を示した。ただし、インターネット向けサービスでは8月にサービスを開始したアップルコンピュータの「iTunes Music Store(iTMS)」の売り上げ予測は含まれていない。
また、インターネット分野のゲーム系コンテンツに関しても「ブロードバンド利用者の増加に伴って、市場規模が拡大した(福島氏)」ことから、2004年の市場規模は前年比149.6%の193億円に成長した。2005年の規模は前年比125.9%の243億円(新型ゲーム機の予測値含まず)と推測している。
福島氏はこれらを踏まえて、「音楽配信サービスではiTMS、ゲーム系コンテンツでは新型ゲーム機の動向もあり、さらに市場の伸びが期待できる」と予測。デジタルコンテンツ全体の市場規模では前年比104.9%の2兆5,900億円を見込み、市場が引き続き拡大していくとしている。
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デジタルコンテンツの市場規模
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品目別の推計および予測値
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■ 今後は知的財産などのコンテンツ保護強化が重要に
同白書では加えて、各産業団体が発表した数値を元に推計した2004年におけるメディアコンテンツ産業の市場規模も紹介されている。それによれば、2004年の市場規模は前年比101.8%の13兆3,362億円で、デジタルコンテンツ市場の拡大分野に加えて、インターネットおよび携帯電話での広告収入などが拡大の要因だとしている。
また、米国PRICE WATERHOUSE COOPERSによる調査結果のうちメディアコンテンツ産業を比較した場合には、米国の市場規模は約3,250億ドル。これを日本円に換算(1ドル=約105円の場合)すると約34兆1,250億円で、日本の約2.5倍(13兆3,362億円)の市場規模となっている。
福島氏は現在のデジタルコンテンツ産業について「転換期を迎えている」とコメント。「今後はワンソースマルチユース、メディアミックス展開だけではなく、国境やメディアをクロスオーバーさせることが重要になる」と指摘するとともに、「知的財産といったコンテンツの保護強化も高まっていくのではないか」と語った。
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メディアコンテンツ産業の市場規模。なお、インターネットおよび携帯電話の広告収入は「図書・新聞、画像・テキスト」分野に含まれる
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米国市場との規模比較
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■ URL
財団法人デジタルコンテンツ協会
http://www.dcaj.org/
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(村松健至)
2005/08/10 13:57
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