文化放送は24日、押井守氏が原作・脚本・監督を務めるラジオドラマ「ケルベロス 鋼鉄の猟犬」を5月31日深夜から放送すると発表した。これに合わせて、押井監督のスペシャルインタビューや作品オリジナルトレーラーなどが6月15日よりインターネット配信される。
■ 「ケルベロス 鋼鉄の猟犬」関連映像をネット配信。本編配信の可能性も
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(左から)音楽を担当した川井憲次氏と押井守監督
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本作の舞台となるのは第2次世界大戦下のヨーロッパ東部戦線
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「ケルベロス 鋼鉄の猟犬」は、5月31日より毎月最終水曜日の26時35分から27時にかけて放送されるラジオドラマ。1987年に劇場公開された実写映画「赤い眼鏡」からはじまる、プロテクトギアと呼ばれる特殊強化服に身を包んだ特殊部隊「特機隊」の隊員たちにまつわる運命を描いてきた「ケルベロス・サーガ」の20年目の新章として制作される。
舞台は第2次世界大戦下のヨーロッパ。ドイツ軍第808宣伝中隊所属の女性士官マキ・シュタウフェンヴェルクはソ連軍との泥沼の戦いが続く、東部戦線へと赴く。そこで彼女は激戦区スターリングラードで戦う“呪われた装甲兵”と呼ばれる甲冑を身にまとった謎の部隊第101装甲猟兵大隊の姿をフィルムに収めていく。マキ・シュタウフェンヴェルク役の声優は榊原良子で、他に池水通洋や内田夕夜らが出演する。
本作は日本を舞台にしたこれまでの作品とは異なり、押井監督によれば「鉄甲冑のルーツを巡ったストーリーを描いていく」という。5月から9月にかけては毎月1回の放送となるが、10月以降は毎週1話ずつ全31話のレギュラー放送も予定している。
ラジオ放送に合わせて、6月からは押井監督のスペシャルインタビューやケルベロス関連の秘蔵画像、本作のオリジナルトレーラーのインターネット配信も実施される。配信は文化放送とアベイル・ブレインが出資する「株式会社雷電」のクロスメディア・プラットフォーム「雷電」を通じて配信される。コンテンツの利用は無料で、雷電以外にも提携するISP各社のサイトでも提供を行なうという。配信期間は6月15日から9月30日まで。
雷電の指輪英明代表取締役は「まずは5月から放送されるラジオドラマを理解できるようなコンテンツを押井監督と話し合いながら制作して、インターネット上に提供していきたい」という。また、10月からレギュラー放送を予定するラジオドラマに関しては「有料・無料を含めてインターネットでの本編配信も検討していきたい」と語った。
文化放送の三木明博常務取締役は「現場スタッフを中心に以前から押井監督にラブコールを送っていた」とコメント。「ラジオドラマをきっかけに雷電プロジェクトを通じた多面的展開ができるのは光栄で、映像のみならず音声分野の表現でも新しい可能性が出てくるのではないか」と作品に対する期待を寄せた。
■ 押井監督「言葉という力で存分に聴いている人たちを泣かしてみたい」
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本作品は雷電キネマ第1弾「押井守シアター」と銘打たれ、ラジオ放送を5月31日に、ネットコンテンツを6月15日に公開していく
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末弥純氏によってデザインされたプロテクトギア
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発表会には、押井守監督や音楽を担当した川井憲次氏も出席。「ケルベロス 鋼鉄の猟犬」のコンセプトや制作にあたっての思いが語られた。
押井監督は「僕の中では唯一と言っていいオリジナルシリーズ。その中で本作ではその原点に関わる、いかに戦い、いかに滅んでいくのかという世界観を描いていきたい」と語る。「作品は史実に限りなく近いが、ケルベロスが登場するところから史実とは異なる世界になっていく。また、ドイツ軍=ナチスではないというのが最大のポイントで、この点に関しても作品を聴いて貰えればただちにわかる仕組みになっている」と述べた。
ラジオドラマの脚本は、「独ソ戦や軍事知識諸々が必要」なことから押井監督自身が全話の執筆を行なう。脚本執筆にあたってはプロテクトギアのデザインを末弥純氏の手によって新たに書き起こしたといい、「独特の魅力と同時に漆黒、呪いというものも語っていきたい」とした。
音楽は、これまでも多くの押井作品の作曲を手がけてきた川井憲次氏が担当。押井監督は「今までのサーガ作品と異なり、所々で泣けるようなメロディを依頼した」という。「ラジオドラマは元々制限された情報量の中で、いかに最大限の力を出していくかが重要」と語る押井監督は、「チャネルを増やすという考え方もあるが、川井くんが用意してくれた音楽が示す、ある種の方向性を忠実に再現していきたい」と述べた。
また、声優に関しては「榊原さんは僕の中で考えている絶対的な声優さんの1人。彼女が持つ、しっとりとした大人の声で、戦争を語ってもらうことで立体的に作品が伝えられる」とした。その上で、「アニメや実写とは違う、言葉という力で存分に聴いている人たちを泣かしてみたい」と抱負を語った。
ラジオドラマやインターネット配信以外にも、将来的には小説やフィギュア、映画化も視野に入れる。押井監督は「両手で大風呂敷を広げていって、何年か先に両手がついたところで映画作品を制作したい」考えだという。その際は、ラジオドラマで構築されたイメージをもとに「100分なら100分の映画を制作するのが1番良いのではないか」と語った。
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押井守監督は「暗い部屋で布団に入ってじっくりと聴いて欲しい」とコメント。さらに「ヘッドフォンで聴いて貰えれば、なお良し」とも
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音楽を担当する川井憲次氏。「今作のような楽曲は作ったことはなかったが、新しい挑戦と思い作曲した」と述べた
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■ URL
ケルベロス・サーガ 公式サイト
http://www.kerberos-saga.jp/
雷電
http://www.raiden.cc/
文化放送
http://www.joqr.co.jp/
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(村松健至)
2006/05/24 17:25
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