Skype Technologiesの日本オフィスは24日、Skypeの新機能に関する説明会を開催した。説明会ではジェネラル・マネージャーを務める岩田真一氏が、有料サービス「Skype Pro」や最新バージョン「3.5」について紹介したほか、8月に発生したログイン障害についても説明を行なった。
■ Skype Proでは日本での通話定額プランも導入を予定
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Skype日本オフィスでジェネラル・マネージャーを務める岩田真一氏
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Skype Proは2007年2月に欧州で開始した有料のオプションサービスで、日本でも6月11日より導入されている。国によってサービスの内容が一部異なるが、Skypeボイスメールの無料提供、着信サービス「SkypeIn」の料金割引、着信転送の転送先をSkype以外の電話番号に設定できるといった機能や特典が共通機能として用意されている。
国ごと対応が異なるのは、国内固定電話への通話料金が接続料のみで利用できる料金プランと、Skypeを利用した国際電話を携帯電話や固定電話から利用できる「Skype To Go」機能の有無。日本の場合、固定電話の定額プランは用意されていないが、Skype To Goには対応している。
Skype To Goは、Windows向けクライアント「3.5」で実装されたSkype Pro向けの新機能。国外の電話番号を登録すると、その番号に関連付けた050番号が割り当てられる。この050番号に携帯電話や固定電話から発信することで、Skypeのクライアントソフトを使わずにSkype経由での国際電話が利用可能になる。
Skype To Goの通話料金はSkypeOutのアカウントが適用されるため、固定電話や携帯電話からの国際電話より安価に利用できるほか、海外出張時に日本のオフィスや自宅の電話番号を登録しておくという使い方も可能。Skype To Goで利用できる050番号は1つに限定されるため、発信できる電話番号も1カ所だが、1週間に1度の頻度で電話番号は変更可能。変更すると新たに050番号が割り当てられ、以前の番号は利用できなくなる。
Skype Proの料金は月額300円で、初めてSkypeの有料サービスを利用する場合は5カ月1,500円もしくは12カ月3,600円のどちらかを選択する必要がある。以前にSkypeの有料サービスを利用したことがあるユーザーであれば、初回利用時から月課金で利用できる。
Skype向けのサードーパーティ製プラグインをSkype Pro上で紹介する機能も搭載。Skypeを介してデスクトップ画面を共有できる「Skype Unyte」、動くアバター「Crazy Talk」といったプラグインを、Skype Proを通じて紹介する。
岩田氏は「Skype Proは定額制の料金プランというイメージを持たれがちだが、実際にはmixiプレミアムやAmazonプライムのような、Skypeのヘビーユーザー向けに提供するプレミアムパッケージという位置付け」と説明。「無料サービスをいかに収益につなげるか、という1つの回答がこうしたプレミアムサービス」と補足した上で、「今後も新サービスなどをSkype Proのユーザーへいち早く届けていく」とした。
日本では利用できない定額プランについても、「ヘビーユーザーの利用動向を現在調査している段階で、いずれ日本でも導入する」との方針を明らかにした。ただし、完全な定額プランというのは難しく「無料で数百分利用できる、といった特典になるかもしれない」とし、「過去2年間のデータを元に、赤字にならないような料金設定を計算している」と語った。
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Skypeのユーザー最新データ
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Skype Proのパッケージ内容
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Skype To Goの詳細。To Goとは「お持ち帰り」を意味する言葉だという
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Skype Proの購入方法
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■ 動画表示や着信転送など新機能を搭載した「Skype 3.5」
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Skype 3.5の新機能
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8月8日に正式版が公開されたWindows向けクライアント「3.5」の新機能についても紹介。3.5では任意のテキストを設定して現在の状態を通知できる「ムード」機能やチャットで動画が利用できるようになったほか、ビデオ通話中に相手のスナップショットを撮影する機能も搭載。新機能として着信転送、自動リダイヤル機能も備えた。
ムードやチャットで利用できるのは海外の動画共有サービス「Dailymotion」「Metacafe」のみだが、岩田氏は「日本でのサービスを含め、他の動画サービスにも対応していきたい」との意欲を見せつつ、「不正動画対策をクリアする必要がある」とした。なお、他のサービスに対応する場合は国ごとの対応とはならず全世界同時対応となるため、日本のサービスに対応した場合も全世界共通の機能としてメニューに表示されることになる。
着信転送は、Skypeがオフラインの場合に指定した電話番号へ転送する「通話転送」ではなく、オンライン時に受けた着信を転送できる機能で、Mac OS版クライアントでは2.6で実装されている。転送は着信を受けた時点だけでなく通話中にも可能で、「オフィスの内線感覚で利用できる」(岩田氏)。通常ユーザーの場合はSkype同士でのみ転送できるが、Skype Proのユーザーであれば固定電話や携帯電話にも転送できる。
自動リダイヤルは、指定した電話番号につながるまで発信を繰り返す機能。岩田氏は「チケットを電話で申し込むような場合に向いている機能」と説明した。
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ムードに動画が追加可能に
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着信転送と通話転送の違い
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着信転送の流れ
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従来から対応している通話転送の概要
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■ ログイン障害の詳細も説明。原因となったバグは修正済み
発表会の内容はSkype ProとSkype 3.5の新機能が中心だったが、質疑応答では8月16日から8月18日にかけて発生したSkypeのログイン障害に関する質問が相次いだ。
この障害は、マイクロソフトのWindows UpdateによるPCの再起動がSkypeのネットワークリソースに影響を与えたことに加え、今まで発覚していなかったネットワーク自己回復機能のバグが重なって発生したもの。2日間に渡り、Skypeにログインできない状態が続いていた。
岩田氏は「Windows Updateが悪いのではなく、すべてはSkype側の問題」と前置いた上でSkypeネットワークの詳細を説明。通常、Skypeでは全ユーザーのうち1%未満に相当するユーザーがスーパーノードとなり、全ユーザーを支えるネットワークとなるが、Windows Updateによる再起動によってスーパーノードのネットワークも一旦切断される。
ただし、通常であればそうしたスーパーノードの切断を察知し、Skype全体をコントロールしてスーパーノードの数を増やすことで対処する自己回復機能が動作するはずが、今回の障害ではバグにより自己修復機能が正しく動作しなかったという。こうしたスーパーノードの問題に加え、クライアント側からログインの要求が殺到したことも影響して今回の障害が発生したと岩田氏は説明。該当のバグはすでに修正されており、「今後はこうした障害は発生しない」とした。
「障害の説明がブログやWebサイトのみで不十分だったのではないか」との質問には、「不十分だったという声は承知している」とした上で、「日本は英語のコメントを受けて翻訳する必要があるために発表が遅れがちになる」と説明。障害の告知に関してはWebサイト以外での告知方法も拡充していきたいとした。
■ URL
Skype
http://www.skype.com/
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(甲斐祐樹)
2007/08/24 17:10
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