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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
住友電工、PLC技術を応用した同軸モデム「ACLCシリーズ」

 住友電気工業は、PLC技術を応用した同軸用高速モデム「ACLCシリーズ」を開発、9月25日より販売活動を開始したと発表した。企業向けに販売し、個人向けの販売は行われない。オープンプライスで、想定価格は親機の「CAU2510」は90,000円前後から、子機の「CTE1510」は25,000円前後から。


PLC技術を用いて同軸ケーブルで高速なLAN環境を構築

ACLCシリーズ
 「ACLCシリーズ」は、「Advanced Cable Link Communication」の略で、高速PLCの技術を応用して既設のテレビ共聴用同軸ケーブルで最大200Mbpsの通信を実現する同軸モデム。高速PLCが用いる一般の電力線と比べて反射や伝送損失などの線路品質が高いために高速性が見込めるという。

 同軸ケーブルを流れるテレビ放送の信号は70~770MHzを利用するが、ACLCシリーズではより低い4~34MHz帯を利用するために既存のテレビ放送には影響を与えない。また、同軸ケーブルでは電磁波を保護しているために不要放射による外部もないとしている。

 機器はヘッドエンド(親機)側の「CAU2510」、CPE(子機)側の「CTE1510」で構成される。どちらもUPAのPLC技術を利用しており、物理速度は最大200Mbpsだが、周波数帯域は国内で販売されているUPA規格のPLCが使う2~30MHzと比べて4~34MHzと異なる。

 CAU2510には最大64台の子機を接続可能。また、CTE1510を親機として設定することも可能で、その場合は接続可能な子機の台数が32台までとなる。同軸に接続するだけで設定を行わず利用できるほか、独自のOVLAN(Optimized VLAN)機能で子機間の通信を遮断する機能、MACアドレスで子機を認証するセキュリティ機能なども備える。

 本体サイズはと重量はCAU2510が160×40×130mm(幅×奥行×高)、約1kgで、CTE1510が40×150×94mm(幅×奥行×高)、約250g。どちらもインターフェイスとして同軸×1ポート、10BASE-T/100BASE-TX×1ポートを備えるほか、CAU2510はRS-232Cのシリアルポートも1ポート備える。


ヘッドエンド側の「CAU2510」 CAU2510の前面

CTE1510 CTE1510の背面

同軸によってPLCの課題をクリア。性能もPLCを上回る

左からブロードバンド機器開発部 PLC推進部 SEグループ長の野口佳典氏、ブロードバンド機器開発部部長補佐 PLC推進部長の徳丸亀鶴氏
 住友電気工業 ブロードバンド機器開発部 PLC推進部 SEグループ長の野口佳典氏は、同製品を開発した背景を説明。住友電気工業では2007年から構内PLCの販売を本格的に開始したが、分電盤工事が発生するため工事資格者が必要になる、導入時に停電工事を伴う、PLCがベストエフォートのためにVODのような帯域を要するサービス提供が難しい、携帯電話の充電器などが干渉を起こすといった課題があったという。

 ACLCシリーズは既存同軸線を用いるため分電盤工事が不要であり、設置工事にも特別な資格が必要ない。テレビ端子のあるところであればLAN構築が可能なほか、導入時にはテレビ放送が止まるものの電源停止は発生しないといったメリットが上げられた。

 PLCと比較してより高速な点も特徴の1つ。PLCでは漏洩電界の規制値が厳しく制限されているが、同軸の場合はこの規制が適用されないため、「PLCのフルパワーを引き出せる」(野口氏)。従来のPLCはUDP測定値で80Mbps程度が最大速度だが、ACLCシリーズではUDPで約96Mbpsを実現できたという。

 CTE1510は9月25日から、CAU2510は11月末から販売を開始し、小規模住宅やホテル内、学校、病院などを対象として展開する。家庭向けに関しては「宅内であれば携帯電話の充電器が干渉したとしても他のコンセントにつなぎかえればよい、ホテルなどはそもそもコンセントが少ないという事情がある」(住友電気工業 ブロードバンド・ソリューション事業本部 ブロードバンド機器開発部部長補佐 PLC推進部長の徳丸亀鶴氏)と説明。また、「帯域が必要なVODなどを提供するにはACLCのほうが適している」とし、家庭向けはPLC製品、ホテルや学校などの小規模LAN構築にはACLCシリーズという棲み分けが可能とした。

 松下電器産業でも、同軸を利用した高速通信技術として「c.LINK」を展開しているが、野口氏は「c.LINKは価格が高く、主にCATV事業者や大規模の環境を対象としている」と説明。「c.LINKでは別途サーバーの導入が必要になるが、我々は小規模なローカル環境のネットワークを安価に構築できる」との違いを示した。

 発表会場ではACLCシリーズのデモも行なわれた。ネットマークスのSTBを利用し、商用化されているVODサービスから異なる3種類の映像をACLCシリーズで再生。映像はH.264エンコードのビットレート1.3Mbps程度で、3種類ともスムーズに映像が再生されていた。


ACLCシリーズのデモ。1.3Mbps程度のH.264映像を3つ同時に再生 デモの構成

関連情報

URL
  ニュースリリース
  http://www.sei.co.jp/news/press/07/prs551_s.html

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(甲斐祐樹)
2007/09/25 13:15
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