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MySpace Developer Platform
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SNS「MySpace」を運営するマイスペースは27日、開発者向けプラットフォーム「MySpace Developer Platform(MDP)」の国内展開を開始したと発表した。あわせてマイスペースではユーザー向けのアプリケーションギャラリー「Consumer Application Gallery」を国内で同日より公開した。
MDPは、2月に米国で公開された開発者向けプラットフォームで、MySpaceのAPIを外部の開発者向けに提供。すでに米国では2カ月弱で約5,000人の開発者が参加し、音楽や映画などざまざまなジャンルのアプリケーションが開発されているという。マイスペースでは、国内のSNS事業者が開発者向けプラットフォームを公開するのは今回が初めてのケースとしている。
アプリケーションの開発者は、原則としてアプリケーションを通じて得られる収益を100%得ることが可能。収益は広告だけでなく、会員登録やコンテンツ販売などの収益も含まれるという。
MDPを利用して開発されたアプリケーションはConsumer Application Galleryで公開され、MySpaceのユーザーが利用可能。気に入ったアプリケーションをクリックするだけでインストールし、自分のプロフィールページに表示できる。
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Consumer Application Gallery
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1クリックで自分のプロフィールに追加できる
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■ プロフィールを軸にアーティストやファンがつながる「エンタメSNS」
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大蘿(たいら)淳司代表取締役社長
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マイスペースではMDPの公開に関する記者発表会を同日に開催。2008年1月1日付で代表取締役社長に就任した大蘿(たいら)淳司氏がマイスペースの国内展開について、米MySpace Inc,の最高技術責任者であるエイバー・ウィットコム(Aber Whitcomb)氏がMDPの詳細について説明した。
大蘿氏は初めに国内におけるマイスペースの動向を紹介。「国ごとのユーザー数は公開していないが」と断った上で、「登録アーティストの数は4万5,000組を超え、我々の調査では国内でも最大規模の数」と説明。携帯電話向けサービス「MySpace モバイル」を開始したほか、日本ならではの展開としてお笑いやアニメ、映画など音楽以外のコンテンツも充実を図っているとした。
マイスペースの基本戦略としては「これまではマイスペースがどんなSNSであるかが明確ではなく、何がやりたいのかわからないという質問も多かった」とした上で、「これまで10年以上ネット業界に関わっているが、今までインターネットは第三者のコンテンツを流通するツールとして効率よく発達してきた」との考えを披露。「今後は新しいコンテンツを創造する場としてマイスペースを成長させたい」との方針を示し、「プロフィールを軸としながら、アーティストやファンがつながる“エンタメSNS”というポジションを目指したい」と語った。
大蘿氏は、「今まではHTMLの知識がなければホームページを持てなかった時代から、文章さえ書ければ誰でもブログを持てる時代になった」と振り返りながら、「次の時代はブログや掲示板、メッセージ、動画や音楽などを統合したプロフィールが広がるだろう」と予測。「プロフィール同士がつながり、つながったプロフィールの上で音楽や動画といったコンテンツが流通する、それが新たなエンタメSNSになる」と自身の考えを示した。
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MySpaceの現状
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事業戦略は「エンタメSNS」を目指す
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■ MDPに加えアーティスト支援やコンテンツの積極的流通も
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MDPで開発者に新たな創造の場を提供
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具体的な戦略として大蘿氏が挙げたのが、「開発者向けプラットフォーム展開」「アーティスト・クリエイター支援の強化」「エンターテインメント系コンテンツの流通」の3つ。
MDPについては「アプリケーションの収入を開発者が100%得られるのがユニーク」とし、「APIによるアプリケーションの開発が自分の名前を広げるだけでなく、実際にビジネスとして成立する点が大きい」とした。
アーティストやクリエイター支援については、MySpaceで1万人以上のファンを獲得してメジャーデビューしたたむらぱん、MySpaceで公開した限定楽曲が米iTunes Storeのブルースチャート6位にランクインしたウルフルズ、あこがれの海外アーティストにMySpaceでコンタクトしたことでコラボレーションが実現したMetisといった事例を紹介。「こうしたアーティストやクリエイターの自己実現を支援することでクチコミが生まれ、登録者数の増加にもつながる」とした。
コンテンツ流通に関しては、「国内では4万5,000組、全世界では800万組のアーティストが登録し、1日に投稿される動画数6万本は世界2位」というコンテンツの充実ぶりをアピール。MySpaceのプロフィールではこれらのコンテンツを自由に設置でき、他のユーザーが設置したコンテンツをワンクリックで自分のプロフィールにも登録できるため、「クチコミによるコンテンツ流通が発生する」と説明。「配信されているコンテンツは著作権者の意志で配信停止などコントロールできる」など、著作者に対する配慮も重要視しているとした。
大蘿氏は「これまでは1カ所に人を集めてコンテンツを見せる方法が主流だったが、MySpaceはプロフィールを通じてコンテンツが広がる分散型」とコメント。「こうしたMySpaceの特徴を日本でも積極的に展開し、アマチュアだけでなくプロのコンテンツもMySpaceで流通させていきたい」との展望を示した。
国内におけるビジネスモデルとしては、「広告だけでなく、BtoCやBtoBも視野に入れている」と説明。「ユーザーのプロフィールに最適化した広告配信によって広告単価を向上する」といった広告施策に加え、「企業向けのプロフィールページ展開や個人向けの課金サービスなどバランスのよい収益モデルを目指す」とした。
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アーティストやクリエイターの支援も強化
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コンテンツの積極的流通
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■ APIはOpenSocialに準拠。すでに600近いアプリケーションが開発
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米MySpace Inc,のエイバー・ウィットコム(Aber Whitcomb)最高技術責任者
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ウィットコム氏は、MDPの概要を紹介。MDPによってMySpaceユーザーの公開データにアクセスする、MySpace上でアプリケーションを実行する、アプリケーションをMySpace上に表示することが可能になるという。また、利用できるデータはユーザーが公開しているデータに限られ、非公開のデータはAPIでも利用できないなど、プライバシーの面でも配慮しているとした。
開発者向けにはOpenSocialに準拠したAPIのほか、サーバー間通信を行なうREST API、Flash実装のためのActionScript APIを公開。OpenSocialという標準方式に準拠することで開発者の負担を軽減し、品質向上への寄与を図るほか、MySpaceの開発者ブログやアプリケーション開発者向けのフォーラム、サンプルコードの公開など、開発者向けの情報提供も行なっていく。
すでにMDPを利用したアプリケーションは600近く開発されており、開発者も世界中に5,000人いるという。ウィットコム氏は「MDPを国際化対応することで、世界のどこにいようとも全世界に向けたアプリケーションを開発できる」とコメント。大蘿氏は「これまでのAPIは情報のハンドリングだけだったが、MySpaceはユーザーのプロフィールを利用することで、ユーザーごとパーソナライズ化したアプリケーションが開発できる」とMDPの特徴を示した。
大蘿氏は「MDPは全世界2億人以上の規模でアプリケーションを開発でき、開発した収益も100%を得られる」との特徴を示したほか、「公開型のSNSであるMySpaceであれば、インターネットに公開されているプロフィールと自分だけが見られるユーザーホームページの違いを活かしたユニークなアプリケーションも開発できるだろう」とコメント。「MDPを日本向けに公開することで、日本の開発者が世界で活躍するチャンスもつかめる」とした。
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MDPの概要
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開発者向けに公開するAPI
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外部向けプロフィールと自分向けホームページでは公開される情報が異なる
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MDPで日本の開発者が世界で活躍するチャンス
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■ URL
MySpace
http://www.myspace.com/
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(甲斐祐樹)
2008/03/27 17:13
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