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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
MozillaのCEO来日、Firefox 3.1とFirefox Mobileは2008年に公開

 Mozilla Japanは、6月18日(日本時間)に公開した新ブラウザ「Firefox 3」に関する説明会を開催した。Mozilla CorporationでCEOを務めるJohn Lilly氏が来日し、Firefox 3公開後の現状や今後の展開について語った。


24時間で800万、約1週間で2250万のFirefox 3がダウンロード

Mozilla CorporationのJohn Lilly CEO
 「この1週間はとても忙しい1週間だった」と語ったLilly氏は、48言語に対応したFirefoxが24時間で800万、現在までに2250万ものダウンロードがあったと説明。公開から24時間でダウンロードされたデータ容量は83TBにもおよび、ピーク時には1分間に1万70000ダウンロードを記録。Lilly氏は「数が重要だということを言いたいわけではない」と前置いた上で、「インターネットの使い方において選択肢がある、ということを啓蒙できているのではないか」との考えを示した。

 日本ではFirefox 3公開前日の夜からサイトにアクセスしにくい状態が続いていたが、「ダウンロードに関してはミラーサイトの準備もあって問題はなかったが、フロントとなるWebサイトがパンクしてしまい、急遽マシンを追加するなど24時間体制で対応していた」(Mozilla Japanの瀧田佐登子代表理事)。しかし、24時間のダウンロード数は当初目標であった500万ダウンロードを上回る800万ダウンロードを達成しており、「誰もこなかったという問題に比べれば、(Webサイトにアクセスできなかったことは)高いレベルでの課題だと思う」とLilly氏はコメント。「米国議会図書館の蔵書データ容量が約10TBで、その8倍近いデータを24時間で提供でき、常に稼動状態であったことは喜んでいる」とした。

 Firefox 3の特徴の1つである高速化については「JavaScriptのパフォーマンスが向上しており、Internet Explorerの10倍は高速」とし、「過去数年に渡ってアプリケーションのWeb化が進んでおり、ブラウザに対する需要も強くなっている」とコメント。2008年にアルファ版の公開を予定するFirefox Mobileも踏まえ、「ブラウザのパフォーマンスは重要なポイント」とした。

 Firefox 3で搭載された機能の中からLilly氏は、ロケーションバーに文字を入力すると過去の履歴やブックマークなどを表示する「スマートロケーションバー」、SSLより厳格な審査が必要という「EV SSL」のサポート、マルウェア対策機能を紹介。スマートロケーションバーについては「慣れるまで時間がかかるかもしれないが、米国では最初否定的だったユーザーが数日で親密なスマートロケーションバー派になっている」という事例を紹介。「Web上でどこにアクセスしたかを簡単に把握でき、ユーザー体験を向上するための取り組みの1つ」とした。

 マルウェア対策については、「Firefox 2では初めてフィッシング対策を搭載したが、その後でIEやOperaもフィッシング対策を搭載し、フィッシングサイトの数はかなり減ったと聞いている」とした上で、「一方でマルウェアの攻撃は増えており、ダメージを受けたサイトにアクセスするだけで自分のPCにマルウェアがダウンロードされてしまう危険性がある」と指摘。「最近マルウェアが入っているサイトをFirefoxでアクセスしたが、きちんと守ることができた」とし、「マルウェア対策についてはGoogleと共に活動しており、時間が経てば大きなインパクトになるだろう」との展望を示した。


24時間で800万、約1週間で2250万ダウンロードを達成 各国のダウンロード状況

Internet Explorer、Firefox 2との速度比較 Firefox 3で搭載された新機能

コードネーム「SIRETOKO」のFirefox 3.1は2008年後半に公開

 Mozillaの今後の展開としては、Firefox 3のマイナーバージョンアップとなる「3.1」を2008年後半にリリースする予定に加え、2009年以降の公開予定ではあるが次期バージョン「Firefox 4」の開発にも着手。さらにモバイル向けの「Firefox Mobile」も2008年後半にアルファ版を公開する予定とした。

 Firefoxは開発コードネームに世界の国立公園の名前をつけており、Firefox 2であカナダの国立公園「Bon Echo」から、Firefox 3ではイタリアのGran Paradisoからコードネームが取られていた。3.1では北海道の知床国立公園から「SHIRETOKO」というコードネームがつけられている。

 3.1ではVIDEOタグとAUDIOタグのサポート、CSSセレクタやACID3のチェック、プライバシーコントロールといった機能の実装を予定。マイナーバージョンのためインターフェイスに大きな変更はないが、「複数のアプリやタブを開いていることを前提としたインターフェイスを考えている」としたほか、「JavaScriptはまだまだ改善の余地がある」と、さらなる高速化の可能性を示した。


Mozillaの今後の展開 コードネーム「SIRETOKO」のFirefox 3.1

Firefox Mobileはアルファ版を公開。iPhoneは「対応できない」

Firefox Mobileの概要
 一方、Firefox Mobileの開発コードネームは、国立公園ではなく狐の種類である「Fennec」から命名。アルファリリースの公開を数カ月後に予定しており、説明会ではFirefox Mobileの操作デモも公開された。

 Firefox Mobileの対応OSはLinuxとWindows Mobileで、ハイエンド端末での動作を想定しているという。また、ノキアの端末「N810」ではFirefox Moileのレンダリングエンジンを用いたブラウザ「MicroB」を搭載しているが、このブラウザではFlashにも対応しており、「Firefox MobileでもFlashは対応できると考えている」とした。

 アップルのiPhoneについては、「SDKの制約によって、iPhoneのアプリケーションとしてFirefox Mobileを開発することができない」と、iPhoneへの非対応を説明。iPhoneのアプリケーション配信サービス「App Store」についても、「1つの会社が展開し、売るか売らないかも1社で決められるのはオープンではない」と指摘した上で、「Webであればアプリケーションの開発は自由だが、iPhoneではそうはいかない」とした。


Firefox Mobileのデモ 会場にはMicroBを搭載したN810も用意された

【動画】Firefox Mobileのデモ

Firefoxのシェア向上でユーザーにブラウザの選択肢を提供

WEAVEやPrism、PersonasなどMozilla Labsの提供するFirefox アドオン
 ブラウザ以外の取り組みも紹介。ブックマークやパスワードなどの情報をWeb上で保管して複数のFirefox 3で共有できる「WEAVE」、Webアプリケーションをデスクトップから利用できる「Prism」などを紹介し、「現在は両方ともアドオンとして提供しているが、今後はFirefoxの標準機能として実装していく」との方向性を説明。また、Firefoxの外観をを変更できるアドオン「Personas」も紹介した。

 Firefoxはヨーロッパではすでに30%以上のシェアを持っており、一部では50%を超えるのも時間の問題という国もあると説明。ブラジルやロシア、インド、中国などの国でもFirefoxのシェアが伸びているという。

 方、米国や日本では10~20%のシェアにとどまっており、Lilly氏は「(IEのロゴである)ブルーのEマークだけがインターネットではないということを伝えていきたい」とコメント。具体的な施策としては「まだFirefox 3の公開から8日しか経っていない」と断った上で、「数カ月はFirefox 3のリリースそのものでプロモーションしていきたい。また、モバイル対応もシェア拡大の施策の1つ」との考えを示した。


 一方、「われわれはMicrosoftやAppleに比べると社員も全世界で170人程度の小さな会社であり、70~80%のシェアを狙っているわけではない」とコメント。「人々がさまざまな選択肢から自分の好みでチョイスできることが重要だ」との考えを示した。


関連情報

URL
  Firefox
  http://mozilla.jp/firefox/

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(甲斐祐樹)
2008/06/26 18:48


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