スマイルラボとスクウェア・エニックス、ニフティは29日、仮想空間コミュニティ「Nicotto Town(ニコッとタウン)」正式版を開始したと発表した。同日開催の発表会には、特別応援ゲストとして小倉優子も出席した。
■ アバターやゲーム、ブログを組み入れたコミュニティサービス

|
Nicotto Town
|
スクウェア・エニックスとニフティは、2008年3月にカジュアルユーザー向けポータル事業に関する業務提携を実施済み。この提携に先立って、スクウェア・エニックスでは100%子会社の「スマイルラボ」を2月に設立しており、Nicotto Townはスマイルラボが提供する第1弾サービスになる。
Nicotto Townは、コミュニティをベースに、アバターやミニゲーム、ブログ、仮想生活を取り入れたサービス。また、ユーザーごとに「庭付き一戸建て」のマイホームも用意する。Adobe Flash Playerで動作し、スマイルラボでは「低スペックPCでもプレイできる」と説明。また、利用推奨環境はOSがWindows XP、WebブラウザがInternet Explorer 6.0、プラグインがFlash Player 9.0。
アバターは、日本人テイストを重視してデザインを設計。4カ月をかけてデザイン作成が進められ、特に注力した“目”のデザイン候補は400パターンに及んだという。また、複数レイヤーによる衣装の重ね着にも対応。アパレルメーカーとの将来的な提携も想定し、「縫い目の再現にもこだわった」としている。
|
|
Nicotto Town概要
|
アバター作成にあたっては“目”に特徴を持たせた
|

|
ミニゲーム画面
|
アバターやマイホームアイテムの入手には、Nicotto Town独自の仮想通貨「コイン」を使用。ミニゲーム、ブログ記事の投稿、タウン内のアルバイトなどを通じて、コインの取得が可能となっている。
基本アイテムや限定数アイテムは通常コインで入手できるが、10月末をめどにレアアイテムや常在庫アイテムを有料コインで購入できる「有料ショップ」の開設を予定する。有料コインは1円1コイン。なお、一部のレアアイテムは、無料コインで購入できるようにするという。
無料でプレイ可能なゲームは、9月29日時点で「ばば抜き」「大富豪」「7ならべ」「スロット」を用意。いずれもボタン操作でプレイが可能になっている。タイトルは順次追加する考えで、11月以降にはゲームの対戦対応などの機能強化も図っていく。
ブログ機能については、タウンとアバター、ゲームを繋ぐ重要なサービスと位置付け。ゲームプレイ後には、結果をブログに書くウィンドウを表示するほか、毎週テーマに沿った日記を投稿すると特別アイテムをプレゼントする施策を用意する。
|
|
ユーザー1人につき、庭付き一戸建てが貰える
|
ブログ機能はタウンやアバター、ゲームを繋ぐ重要な要素としている
|
■ 伊藤社長「日本初の賑わっているバーチャルワールドを目指す」

|
40代にも似合うアバターデザイン例では、スクウェア・エニックスの和田社長、ニフティの和田社長がアバターで紹介された
|
29日に開かれた発表会では、スマイルラボの伊藤隆博代表取締役社長が8月22日から9月5日の期間で実施した「先行お試し版」の結果を交えながらサービス説明を行った。
それによれば、お試し版に参加したユーザー属性は男性が40%で、女性が60%。年齢層は男性が30代、女性が10代がメインとなった。伊藤社長はアバターに関心を持つ10代の女性と、バーチャルワールドに関心を持つ30~40代の男性を想定ユーザーとしており、「予想通りの結果が得られた」とした。
アバター衣装に関しては、10代の女性が好むファッションを取り入れ、チャイニーズや和風、お姉さん系などを用意したという。一方、40代の男性ユーザーではスーツが人気を集めたとのことで、「今後は40代の方にも似合う服のラインナップを充実させたい」と語った。
Nicotto Townの世界観構築に関しては、「どこか懐かしい現代」をイメージ。街並みは手書き風で描かれ、実際の時間に合わせて昼夜が表現される。また、天候は東京に合わせており、雨や雪の描写も可能という。
伊藤社長はその上で、「日本初の賑わっているバーチャルワールドを目指したい」とコメント。「バーチャルワールドと言うとSecond Lifeが例に挙がるが、50以上のサービスがある米国を見ると必ずしもSecond Lifeがトップではない」と指摘し、「日本に関しては、流行という段階にはまだない」と語った。
ユーザー間のトラブルや安全対策に関しては、タウンの開設時間を毎日10時から24時までと制限。また、チャット空間は他ユーザーも閲覧できるオープン環境となるため、こうした環境下で年齢や住所を伝えるケースは少ないとしている。さらに、タウン内で掲示物などを通じた啓蒙活動も随時実施していくという。マイホームでは他ユーザーがいったん庭に入るなど、プライベート空間への配慮も行われる。
なお、システム的には年代別エリアの作成も可能という。伊藤社長によれば、「ニフティさんと協業する中で、30代など大人向けエリアの要望があり、『ニフティタウン』としてエリア展開することも考えられる」とした。また、「10代向けのタウンを作成して、アルバイト情報などを提供する可能性もあり得る」と述べた。
■ 年内目標は10~15万人。来期には携帯電話対応も

|
(左から)ニフティ和田社長、スマイルラボ伊藤社長、スクウェア・エニックス和田社長
|
ユーザー目標は、2008年内に10万人から15万人を予定。伊藤社長は「大々的にキャンペーンを展開するとコミュニティが崩壊する可能性もあり、友達紹介キャンペーンやココログ連携などで着実に増やしていきたい」と述べた。なお、お試し期間中の登録数は6000人で、1日あたり平均1500人程度のログインがあったという。
収益モデルは、アイテム課金による収入をメインに据える。加えて、タウン内の1エリアをパートナー企業に合わせたデザインとしたB2Bの出店誘致を進める考え。また、Flashベースとなるため、「サービスの切り出しも可能で、提携企業のキャンペーンページなどに設置することもできる」とした。
このほか、アバターシステムの他社提供も予定。また、ゲーム内広告に関しては、カードの裏面に広告を入れるなど、Nicotto Townの世界観を損なわない範囲で検討を進めるとしている。なお、PC版に加えて、来期には携帯電話への対応も進める考えという。
|
|
アイテム課金をメイン収益と据える
|
B2Bによる出店誘致も行っていく
|

|
アバターで選んだものと同じ衣装で登場した小倉優子
|
発表会に出席したスクウェア・エニックスの和田洋一代表取締役社長は「我々にとってWebの中で体験したことは、かけがえのない思い出になる」とコメント。「いかに快適に過ごして貰えるかを重視し、Nicotto Townの品質には大変こだわってきた」と語り、「正式サービスを通じてユーザーからの審判を得るわけだが、非常に楽しみにしている」と述べた。
ニフティの和田一也代表取締役社長は、「これまで当社はアバターに手を出していなかったが、(スクウェア・エニックスさんとの提携により)本当に良いものを頂戴した」と発言。ニフティでは、インフラ面やマーケティング面で協力しているが、「今後はココログなどの自社サービスに、Nicotto Townのアバターを使っていきたい」との考えも示した。
発表会にはまた、特別応援ゲストとして小倉優子が登場し、Nicotto Townを実際に体験するデモンストレーションが実施された。小倉優子の当日の衣装は、「今回のために選んで作ってもらったアバターと同じ衣装」とのことで、実際にアバターを見た小倉は「すごくかわいく作って貰えて嬉しい」と語っていた。また、デモ中には一般ユーザーとのチャットを楽しむシーンもあった。
今回作成されたアバター衣装は、限定アイテムとして9月29日から毎週100着、合計500着を1500コインで販売する。小倉は「優子と一緒の衣装を着たアバターがいっぱいいっぱい増えて欲しい」と呼びかけていた。
|
|
デモンストレーション中は自らコメントを投稿する場面も
|
多くのユーザーに囲まれる一幕もあった
|
■ 小倉優子インタビュー映像
■ URL
Nicotto Town
http://www.nicotto.jp/
ニュースリリース
http://www.nifty.co.jp/cs/08kami/detail/080924003412/1.htm
■ 関連記事
・ 「海外展開も視野」スマイルラボの“仮想生活つきコミュニティ”
・ スクウェア・エニックスとニフティ、新ポータル開設で提携し新会社設立
(村松健至)
2008/09/29 18:03
|