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【 2009/12/25 】
【 2009/12/24 】
任天堂岩田氏「ニンテンドーDSiは1人1台の“マイDS”を目指す」

 10月2日に開催された「任天堂カンファレンス 2008.秋」では、任天堂の岩田聡取締役社長が登壇。新型の携帯ゲーム機「ニンテンドーDSi」を初公開したほか、DSおよびWiiの今後の展開について語った。


新型DSは「1世帯に1台」から「1人に1台」を目指す

任天堂の岩田聡取締役社長
 岩田氏は冒頭、「ゲーム人口の拡大という基本戦略を掲げてニンテンドーDSを発売したのが2004年12月2日であり、今日はそれから3年と10カ月が経った」とコメント。「本日は最初にニンテンドーDSファミリーの新たなモデルであるニンテンドーDSiを紹介したい」とDSiを取り出した。

 ニンテンドーDS、ニンテンドーDS Liteに次ぐニンテンドーDSプラットフォーム第3のモデルと位置付けられたDSi開発の背景の前置きとして、岩田氏は現状のゲーム市場の概要を説明。「ニンテンドーDSはこれまでの国内のゲーム市場の歴史の中で最速のペースで普及し、すでに2300万台を超えている」とのデータを紹介し、「これはDSの登場前にもっとも普及台数が多かったプレイステーション 2(PS2)を上回る数である」とコメント。「2000万台を突破したのもPS2が6年9カ月だったが、DSは3年弱」と補足した。

 ユーザー層も「7歳から74歳まで幅広い世代で男女ともに楽しんでいただいている」とし、「調査ではニンテンドーDSを触っている人の54%が女性だった」というデータも紹介。「世帯あたりユーザー数も前回調査よりは下がったがそれでも高い水準である」とし、「DSの普及ペースも落ち着いてきたが、今でもこれまでも主流プラットフォームの普及期に遜色ないペースで売れている」とした。

 一方で、「現状ではDSの世帯あたりユーザー数は2.8だが、世帯あたりのDS普及台数は1.8台であり、携帯ゲーム機は複数のお客様に共有されている」と指摘。「携帯ゲーム機はいつでもどこでも楽しんでいただける可能性を持ったデバイスであり、普及の究極の姿は1家に1台ではなく1人に1台」との目標を掲げ、「すでに国民6人に1人という前例のない普及数となった今、DSを持っていない世代だけでなく、複数でDSを共有している家庭でもDSを自分専用にしていもらい、1人1台の流れを作りたい」との考えから生まれたのがDSiだとした。

 本体の薄型化、画面の大型化はユーザーからの要望を踏まえて実現。薄型化によって「DS Liteより12%の薄型化を実現でき、いつでも持ち歩きやすく」とした一方、薄型化によってゲームボーイアドバンス(GBA)スロットが廃止された点については、「ユーザーの要望がある限り、(GBAスロットを搭載した)ニンテンドーDS Liteを引き続き販売していく」とした。


日本におけるDSの普及台数 DSのユーザー人口分布

プラットフォームごとの世帯普及率 DSの世帯あたりユーザー数に比べてDS普及台数が低い

本体メモリにソフトを追加することで自分だけの「マイDS」に

DSiカメラのコンセプト
 本体スペックでは「地味ながら大きな意味がある改善」として、スピーカーの音量や音質の向上を紹介。また、新たな機能として搭載したカメラやオーディオ機能については、「いまどきのたいていの携帯電話には搭載されており、本体に標準搭載するのは任天堂らしくないのではという印象をお持ちの方もいるだろう」とした上で、「われわれはツールとしてでの機能ではなく、生活の中で映像や音で遊び楽しんでいただき、生活を豊かにする提案」と説明。撮影した写真やオーディオプレーヤーの音楽を編集できる「DSiカメラ」「DSiサウンド」機能を紹介した。

 これらカメラやオーディオ機能の利用を想定してSDカードスロットを搭載。カメラやオーディオプレーヤーのデータをSDカードに保存できるほか、撮影した写真をWiiで再生することもできる。また、「1人1台の“マイDS”となるために、DSiでは本体保存メモリを搭載した」と紹介。DSiカメラ、DSiサウンドといった機能は本体に標準搭載されるほか、「DSiショップ」と呼ばれるサービスを通じて「ニンテンドーDSiウェア」を入手、DSi本体に保存できる。岩田社長は具体例として「毎日楽しむソフトを本体に内蔵して自分専用に強化できるようになるほか、ソフトメーカーにとっても新たなビジネスチャンスになる」とした。

 ニンテンドーDSiウェアのサービス開始に合わせて、従来まで「Wiiポイント」の名称だったポイントシステムを「ニンテンドーポイント」と改称し、ニンテンドーDSiウェアの購入にも利用できるようになる。ニンテンドーDSiウェアは無償のソフトに加えて、200ポイント、500ポイント、800ポイントの段階で有料ソフトを用意する。


メニュー画面。複数のソフトをメニュー画面に登録できる DSiカメラ DSiサウンド

撮影した画像をカスタマイズできる 音声ファイルを編集できるDSiサウンド Wiiポイントは「ニンテンドーポイント」に改称

ブラウザ機能を無償で搭載。ネット接続環境も拡充

本体に内蔵できるDSiブラウザー
 Oeraベースのブラウザ機能「DSiブラウザー」や、パラパラマンガを作成できる「うごくメモ帳」は無償ソフトとして提供し、「脳を鍛える 大人のDSトレーニング」をDSiウェア向けにカスタマイズした「ちょっと脳を鍛える 大人のDSトレーニング 文系編/理系編」の提供も予定。また、2010年3月末までにDSiショップを利用したDSiに一度だけ1000ポイントをプレゼントするキャンペーンも実施する。

 さらにニンテンドーDS向けの施策として、専用コンテンツなどを外出先で配信する「ニンテンドーゾーン」も発表。これまで家電量販店などに設置していた専用端末「ニンテンドーDSステーション」に続くワイヤレス接続拠点の第2弾として展開するもので、当初は関東、中京、近畿のマクドナルドでサービスを開始する。

 すでにマクドナルドではDS向けコンテンツ配信サービス「ニンテンドースポット」を提供しており、ニンテンドーゾーンのサービスもこの仕組みを踏襲。DSおよびDS Liteの場合は本体のダウンロード機能を利用して専用ビューアを毎回入手する必要があるが、DSiではこのビューアを標準搭載するほか、ニンテンドーゾーンに入ったことを自動で検知する機能を備える。

 ニンテンドーゾーンでは体験版や追加コンテンツの配信、ニンテンドーWi-Fiコネクションを通じたオンラインプレイなどに加えて、エリアごと独自の情報サービスも提供。「ネットワーク接続設定も一切不要で、手軽に利用できる」とした。


操作感はソフト型の「ニンテンドーDSブラウザー」を踏襲 パラパラマンガが作成できる「うごくメモ帳」 「ちょっと脳を鍛える 大人のDSトレーニング」

ニンテンドーDSiウェアの概要 DSiショップの初回利用時に1000ポイントをプレゼントするキャンペーンも実施 マクドナルドから展開する外出時用のコンテンツ配信サービス「ニンテンドーゾーン」

ネットワーク接続率の向上に向けて数々の施策を提供

インターネット接続率の向上はWiiの大きな課題
 家庭用ゲーム機「Wii」については、「全年齢層に幅広く順調に普及が進んでいる」とした一方で、「Wiiについてはまだまだ課題が多い」と指摘し、その1つとして本体メモリの不足を挙げた。Wiiは本体に512MBのメモリを搭載し、容量を超えるデータはSDカードへ移動することができるが、「このSDカードの使い勝手の現状は課題があると認識している」とし、今後の方向性として「ショッピングチャンネルで購入したソフトをSDカードに直接ダウンロードする」「SDカードのソフトを簡単な操作で本体へコピーして実行できる」といった改善を検討しているとした。

 ただし、「この問題への対応は今しばらく時間がかかる」として、本機能の実装は2009年春頃になると説明。また、ソフトの実行自体はSDカードではなく本体メモリへ移動する必要がある点は従来と変わらないことになる。

 Wii第2の課題として岩田氏は、インターネット接続率の向上を挙げた。これまでにNTT東西と提携した接続支援サービスについては「利用した人の35%が非PCユーザーであり、インターネットを利用していないユーザーに対してWiiでインターネットが浸透している」としたほか、「インターネット接続率も徐々に上がっている」という現状を紹介した上で、「現状はまだ我々が満足できる水準にはない」とした。

 その対策として、今後発売するWiiには、Wiiのインターネット機能を紹介した3分半のムービーを標準で搭載し、ホーム画面に表示。また、「どんな機器を購入すればいいかわからない」というユーザーに対して、現在オンライン販売のみの無線LANルータ「ニンテンドー Wi-Fi ネットワークアダプタ」を一部店頭で販売する。

 さらに、ユーザー間でのサポートを目的とした「Wiiネット接続できる人ができない人を手助けして500Wiiポイントを両方がもらえるキャンペーン」(仮称)も検討。詳細は未定だが、身の回りでWiiのネット接続ができない人を手助けすることで、2人とも500ポイントを入手できるキャンペーンを予定するという。


本体保存メモリ容量不足の対策は2009年春を予定 秋以降発売のWiiにはインターネット接続機能の紹介ムービーをプリセット ユーザー同士でネット接続をサポートするキャンペーンも

ソフトウェアの充実が最重要課題。ネットワーク対応も強化

Wiiの最重要課題と位置づける「ソフトタイトルラインナップの充実」
 Wii第3の課題として考える「ゲーム人口拡大の更なる取り組み」としては、NHKエンタープライズと共同開発する「みんなが主役のNHK紅白クイズ合戦」(仮称)を紹介。NHKのクイズ番組「連想ゲーム」などを対戦して楽しめる。また、NHKエデュケーショナルとは「100語でスタート! 英会話」(仮称)を共同で開発中とした。

 Wiiの最重要課題と位置付ける「ソフトタイトルラインナップの充実」としては、「据え置き型のゲーム機は携帯ゲーム機と比べて開発に時間がかかるため、DSと比べてラインナップの充実に時間がかかった」とした上で、Wiiリモコンを置いた箱を叩くだけで操作できるセガの「Let's TAP」(レッツタップ)」、USBマイクでカラオケが楽しめる「カラオケJOYSOUND Wii」などを紹介。

 また、11月20日発売の「街へいこうよ どうぶつの森」も紹介。500万本以上を販売したというDS「おいでよ どうぶつの森」のデータを引き継げるだけでなく、カスタマイズによってMiiを利用することも可能。さらにゲーム内でボイスチャットが利用できる「Wiiスピーク」にも対応。どうぶつの森を購入したユーザーのみに、どうぶつの森を起動していないときもボイスチャットが可能になる「Wiiスピークチャンネル」もネット経由で提供する。どうぶつの森の価格は単体が5800円、Wiiスピーク同梱版が7800円で、Wiiスピーク単体は3500円。

 ネットワーク対応ソフトとしては、DSとWiiでオンラインプレイが可能になる「FINAL FANTASY CRYSTAL CHRONICLES(FFCC) Echoes of Time」も紹介。FFCCはDS版とWii版を用意し、ハードの違いを超えてオンラインプレイができるようになるという。価格はWii版、DS版ともに5040円。

 さらにゲームキューブのソフトのうち、Wiiでの操作に親和性が高いタイトルの操作方法をWii向けにカスタマイズした「Wiiであそぶ」セレクションも発表。「Wiiでもゲームキューブのソフトはそのまま遊べるが、リモコンと相性の良いタイトルをWii操作向けに作り変えた」とし、「Wiiであそぶドンキーコングジャングルビート」「Wiiであそぶピクミン」などのタイトルを紹介した。

 講演の最後には2007年のカンファレンスで紹介した「モンスターハンター3」のデモ映像に加え、バンダイナムコの「テイルズ」シリーズ新作、コーエーのアクションゲーム「戦国無双」のナンバリングタイトル「戦国無双3」がWiiで発売されると発表。Wiiのソフト充実をアピールし、講演を締めくくった。


ネットワークを介してボイスチャットできる「Wiiスピーク」 「街へいこうよ どうぶつの森」でのWiiスピーク利用イメージ 「街へ行こうよ どうぶつの森」を起動せずにボイスチャットできる「Wiiスピークチャンネル」

ゲーム人口拡大の取り組みとしてNHKとゲームを共同開発 「みんなが主役のNHK紅白クイズ合戦」(仮称) 「100語でスタート! 英会話」(仮称)

カラオケJOYSOUND Wiiは300ポイントで3万曲が利用できる カラオケJOYSOUND Wiiの料金 リモコンを触らずに箱を叩いて操作できる「レッツタップ」

宮本氏は「Wii Music」をデモ。「演奏を自発的に楽しむゲーム」

専務取締役の宮本茂氏
 岩田氏の講演に続き、専務取締役の宮本茂氏は、10月16日発売のWii用ソフト「Wii Music」を紹介。「音楽ゲームが始まって10年以上経つが、画面に流れる音符にあわせてボタンを押すのが1つの傾向になっている」とし、「そうではなく、ビートに乗って自分の演奏を自発的に楽しめる音楽ソフトを作りたい」との考えがWii Music開発のきっかけとした。

 音楽の演奏が趣味という宮本氏だが、「趣味は“ギター”ではなく“ギターの練習”。1人だと楽しいが、人前だったりセッションでは間違えてはいけないという恐怖心がある」という。宮本氏は「楽器を弾けない人にはおっと心の障壁になるだろう」と続け、Wii Musicは音に合わせてWiiリモコンを操作するだけで演奏を楽しめるとした。

 演奏は同時に4人まで参加できるほか、1人で6パート分を演奏し、それを合成してミュージックビデオを作成できる機能も搭載。別売だがWiiバランスボードにも対応し、「Wiiバランスボードを使えばドラムの基本的な演奏方法がマスターできる。おかげで今社内はドラマーだらけ」とコメント。「ジャムセッションやアレンジする楽しさを重視し、最近のヒット曲ではなく誰もが知っている曲を収録している点も最近の音楽ソフトとは違うだろう」と語った。


宮本氏がさまざまな楽器の演奏をデモ。写真はバイオリンの演奏 「どうぶつの森」のキャラクター「とたけけ」のモデルとしても知られる戸高一生氏も登場。Wii Musicの開発にも参加している 宮本氏と戸高氏によるデモセッションも披露

【動画】宮本氏と戸高氏のセッション

関連情報

URL
  任天堂カンファレンス 2008.秋
  http://www.nintendo.co.jp/n10/index.html

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(甲斐祐樹)
2008/10/02 19:47


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