スカイプ・テクノロジーズ S.A.は20日、Skype Technologies S.A.のScott Durchslag COOを迎えた記者説明会を開催した。会ではSkypeの今後の方針についてScott COOや日本オフィスの岩田真一ジェネラルマネージャーが説明を行った。
■ ビデオや中小法人、モバイルを中心にビジネスを展開
|
Skype Technologies S.A.のScott Durchslag COO
|
Scott COOは、「世界の通信市場は1.7兆ドル規模の市場で、毎年5.5%の成長を続けているが、この中ではSkypeの収入はまだ微々たるもの」と説明。「ビデオ通信の市場も世界的には約20億ドル近い市場規模であり、ビデオ市場だけでもSkypeは十分に伸びる可能性がある」とし、「Skypeの成長に向けた努力を必死に行っている最中」と語った。
今後のSkypeの戦略としてScott COOが掲げたのが、「コンシューマ向けのビデオ市場」「中小企業を中心としたビジネスユーザー」「携帯電話市場」「プラットフォームパートナーシップ」の4つ。動画に関しては動画中心のインターフェイスへデザインを一新した「SKype 4.0」ベータ2を紹介、「Skypeのビデオに注ぐ力は大きい」と語った。
中小企業のビジネスユーザーについては「個人ユーザーよりもきめ細やかなサポートと、コンシューマ以上の機能が重要」と説明。ただし、Skype単独ですべてをサポートするのは難しいため、4点目に上げたパートナー企業との関係を重要視。「Skypeには世界で1万5000人の開発者や50社以上のSkype対応ハードを開発するメーカー、200以上のSkype認定ハードがある」とし、「パートナーのほうが地域ごとの市場特性を知っており、パートナーと組むことでお互いに利益を上げていきたい」との考えを示した。
■ iPhoneやAndroidは「将来的に何らかの発表をしたい」
|
日本オフィスの岩田真一ジェネラルマネージャー
|
携帯電話市場についてはNOKIAやSamsung、Sony Ericsson製の携帯電話で動作するJavaベースのアプリケーション「Skype for Your Mobile」を「全世界の80近い携帯電話で使用できる」と説明したほか、「Windows Mobile向けのクライアントも1100万近くダウンロードされている」と説明。「どの環境でもシームレスに同じSkypeが利用できることが我々の目標だ」と語った。
iPhoneやAndroid向けSkypeの開発については、「モバイル向けのSkypeはWindows Mobileからスタートし、すべてのメジャーな携帯電話に対応したい」との考えを示し、「今のところ具体的な話はないが、将来的に何らかの発表はできるだろう」とコメント。また、JavaアプリのSkype for Your Mobileについては岩田氏が「必ず日本に持ってこなければいけないアプリケーションだと考えている」とした上で、「ボタンの位置や絵文字対応など、日本用のカスタマイズも必要になるだろう」とした。
現在提供中の「Skype 4.0」ベータ2は、デザインを一新してビデオ中心のインターフェイスとなった一方で、「3.x」では利用できていた機能が利用できないという課題もある。これについてScott氏は、2008年12月に予定されているベータ3を踏まえた上で「すべての機能を再搭載した4.0の正式版は2009年早々にもリリースする」との方針を示した。
最大100人で音声会議が可能な「Skypecast」を9月で終了した件については、「利用率も低く、残念ながらあまり受けなかったサービス」とコメント。「利用者からは好評だったが、我々が掲げた4つの戦略に向けて経営資源を集中するために、成長の見込みがない製品は終了することになった」との理由を説明した。
■ URL
Skype
http://www.skype.com/intl/ja/
■ 関連記事
・ 伊藤忠とスカイプ、ファミリーマートでSkypeクレジットを販売
・ コンタクトグループ機能を再搭載した「Skype 4.0」ベータ2
・ Skype、最大100人で参加できる音声会議「Skypecast」機能を終了
(甲斐祐樹)
2008/10/20 19:08
|