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イー・アクセス、TD-SCDMA(MC)方式を用いた高速ワイヤレス実証実験
イー・アクセスの千本倖生代表取締役社長兼CEO
イー・アクセスは5日、TD-SCDMA(MC)方式を用いたモバイルブロードバンドサービスについて技術説明会を実施した。2004年3月から実証実験を開始、2年後にサービスを提供する予定で、定額制でのサービスを目標にしているという。
TD-SCDMA(MC)とは、ITU(国際電気通信連合)で策定された次世代移動通信規格「IMT-2000」として標準化されている方式の1つ「TD-SCDMA」の起案者であるDr. Guanghan Xuが提案した通信方式。Dr.Xuが、TD-SCDMA策定時に取り入れられなかった技術を踏まえたものだという。システムはDr.Xu自ら設立した米Navini Networksが開発、Naviniとイー・アクセスは今回の実証実験に際して戦略的事業提携を結んでいる。
なお、イー・アクセスはすでに今回発表したTD-SCDMA(MC)ではなく、米IP Wireless社の技術をベースとしたTD-CDMA方式での免許申請を総務省に対して行なっている。これについてイー・アクセスの諸橋知雄技術部長は、「TD-CDMAよりもTD-SCDMA(MC)のほうが優れていると判断した」と説明。TD-CDMA方式については保留状態にあり、現在はTD-SDCMA(MC)の認可申請を準備中だと付け加えた。
TD-SCDMA(MC)では、クライアント端末に対して指向性を持たせ、通信パワーを絞ることで干渉を防ぎ、消費電力化を図る「スマートアンテナ」技術を用いる。また、周波数を500KHzごと10つのサブキャリアに分割することで伝送品質を高め、1つの周波数帯を複数の事業者で利用できるマルチキャリア技術も採用。この2つの技術は第4世代の通信技術としても注目されているという。
このほか、上り回線を同期することで端末パワーを抑える上り同期CDMA技術をサポートしており、これら3つの技術を利用することで、TD-CDMAに比べて「エリアの広域化」「干渉の軽減」「高品質」「省電力」という点で優位性を持つとしている。
従来のシステム(左)を電球に例えるなら、スマートアンテナ技術(右)は「懐中電灯のようなイメージ」だという
上り同期CDMA。TD-SCDMA(MC)ではすべての端末からの信号が同時に到着するよう調整されている
マルチキャリア技術。TD-CDMAとOFDMの技術を融合、最適化しているという
TD-SCDMA(MC)は、北米で携帯電話の標準規格を作る組織「T1P1」の第4部会で検討が進められており、すでに承認待ちの段階にあるという。また、米国を始めた諸外国ではすでに実証実験や商用サービスが開始されており、日本ではフィールド実験の3月開始を目標として準備が進められている。
通信速度については、「あくまで一例」とした上で、韓国で行なわれた実証実験の結果が示された。走行スピードが時速90kmの移動性実験では、クライアント端末側の計測で2.2~1.8Mbps程度のスループットが得られたという。諸橋氏は「この速度はあくまでクライアント側で計測したもの」と補足、実際の速度はこの数倍だと語った。
韓国での実証実験。高速移動中で2.2~1.8Mbpsのスループットを計測したという
TD-SCDMA(MC)標準化の流れ。T1P1では承認待ち段階にあるという
イー・アクセスの千本倖生代表取締役社長兼CEOは、「日本のDSLは1,000万加入を超えて、ある意味第1段階が終わった」とコメント。「家庭では数十メガのブロードバンドがあるのに、モバイル環境でのブロードバンドはまだ進んでいない」とした上で、「モバイルで次の事業戦略を進めていきたい」と語った。
料金体系については、実証実験の検証次第ではあるものの、定額で利用できるサービスを考えているという。また、サービス形態については携帯電話事業ではなく、あくまでブロードバンドなデータ通信を中心に考えているとした。実証実験は2004年3月に開始予定で、実験期間を約1年ほど踏まえたのち、2年後にはサービスを提供したい考えだという。
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URL
イー・アクセス
http://www.eaccess.net/
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(甲斐祐樹)
2004/02/05 17:49
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