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第178回:2005年のブロードバンド事情を振り返る


 2005年もあとわずか。今回は2005年をブロードバンドの視点から振り返ってみることにしよう。あらためて思い起こしてみると、今年は大きなニュースの多い年だった。





インフラはFTTHが躍進、音声系の明暗もくっきり

 まずは、インフラについて振り返ってみよう。ADSLやFTTHなどの固定回線系では、技術的には宅内に1Gbpsの光ファイバを直収するケイ・オプティコムサービスが登場した以外、あまり大きなニュースはなかった。

□関連記事:ケイ・オプティ、最大1Gbpsの通信速度を宅内まで提供する新サービス
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 一方でサービスの面から見ると、FTTHの契約者数の増加が目立った年だった。全体として2,142万のブロードバンド契約者数のうち、半分以上の1,430万契約をDSLが占めており、FTTHはわずか397万契約に留まるものの(2005年9月末時点)、純増ではDSLの22万に対してFTTHが56万と、DSLを凌ぐ勢いを見せている。

□関連記事:総務省報道発表、ブロードバンド契約者は約2,143万契約
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 実際、筆者宅の周辺でも、今年の初めまでFTTHが引き込まれているのはは筆者宅くらいだったと思われるが、今年の後半には近所の戸建てや集合住宅でFTTHの工事が行なわれているのをよく目にした。価格的な魅力(特に集合住宅向け)や、マンションの建設ラッシュなどの理由も考えられるが、後述するブロードバンド系サービスの充実により、より速く、安定した回線が望まれるようになった結果かもしれない。

 では、メタルからファイバーの時代に完全に移行しつつあるのかというと、まだその時期ではないようだ。今年12月には、KDDIの直収サービス「KDDIメタルプラス」の加入者数が100万回線を突破したとのニュースもあり、音声系の健闘も目立っている。ただ、その一方で、平成電電の民事再生法申請といったニュースもあり、事業者によって明暗がわかれた格好だ。同じく音声系では、NTTのひかり電話で複数番号が利用可能になるなど、FTTH系の巻き返しもあり、今後さらに競争が激しくなりそうな状況だ。

□関連記事:KDDI、直収電話「KDDIメタルプラス」の開通数が100万回線を突破
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□関連記事:平成電電、民事再生法を申請。負債1,200億円、サービスは継続
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□関連記事:イニシャルB第173回:複数番号や無線IP電話が利用可能に
新サービス追加で進化した「ひかり電話」を再検証
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livedoor Wirelessのアクセスポイント
 このほか、無線LANでは、公衆無線LANサービスにも再度注目が集まった年であった。ソフトバンク系、NTT系の事業統合が進んだのも記憶に新しいが、ライブドアが開始した格安の公衆無線LANサービスにも注目が集まった。ワイヤレス通信という広い観点で見ると、今後はBBモバイル、イー・モバイル、アイピーモバイルが割り当てを受けた1.7/2GHz帯の周波数を利用したサービスの動向にも期待したいが、一時期、完全に下火になりつつあった公衆無線LANサービスが再び脚光を浴びたのは興味深い。

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ライブドア、公衆無線LAN「livedoor Wireless」正式サービスを開始
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□関連記事:総務省、新規参入3社に認定書交付
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サービス系はまさに当たり年

iTunes Music Store
 続いて、ブロードバンドサービスについて振り返ってみよう。サービス系は、今年は当たり年だったと言って差し支えないだろう。ブログやSNSサービスの利用者増加に加えて、iTunes Music StoreやPodcastingの登場、USENの動画配信サービス「GyaO」の普及などのニュースも大きな話題を集めた。

 もちろん、iTMSやGyaOは、音楽配信、映像配信といった大きなくくりで見れば、決して新しいサービスではないが、ユーザーへのアプローチ方法がいかにもうまい。これまでのブロードバンド系サービスは、まず技術ありきで、それをサービスという形に変えただけの技術先行という印象が強かったが、今年注目を集めたサービスの場合、ユーザーのニーズが第一に考えられているという印象を強く受けた。

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Xbox 360
 このほか、ゲーム市場のブロードバンド化というのも、今年のキーワードの1つと言えそうだ。任天堂の「ニンテンドーWi-Fiコネクション」、マイクロソフトの「Xbox 360(Xbox Live)」などの登場で、オンラインゲームというこれまで敷居が高かったサービスがぐっと身近なものとなった。また、ソニーのPSP向けの動画配信サービス「Portable TV」が開始されたというニュースもあった。

 これまで、ブロードバンドは主にPCで楽しむためのものであったが、これが家電やゲーム機にまで広がった影響は大きいだろう。ただし、ゲームに関しては、今年はサービスが開始されたばかりで、まだ評価しにくい段階にある。来年以降、次世代ゲーム機の投入が控えていることを考えると、来年が本格的な普及の年となりそうだ。

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□関連記事:イニシャルB第176回:録画した番組やオンラインサービスを家庭用テレビで楽しめる
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デバイス系での注目はやはりローケーションフリー

ロケーションフリーのベースステーション「LF-PK1」
 デバイス系では、あまり注目すべき製品がなかった年であるが、個人的に最大の注目と言えるのは、やはりソニーの「ロケーションフリー」だろう。

 ロケーションフリー自体は従来から存在した製品ではあるが、Windowsという汎用的なクライアントの利用が可能になり、価格的にもかなり手頃になった。また、ソニーのPSPでテレビやHDD&DVDレコーダの番組を見られるようになったメリットはかなり大きい。ユーザーのライフスタイルを変える可能性があるという意味でも、新しいロケーションフリーの登場は衝撃的だった。

 デバイス系では、このほかNASへの録画が可能な製品やDLNA対応製品など、家庭用テレビのレビューもいくつかお届けしたが、正直な印象としては、完成度がいま1つ高いとは言えなかったのが残念に感じた。ネットワーク家電は今後注目すべき分野であることは確かだが、価格面も含めて、本格的に注目されるのはやはり来年以降と言えそうだ。

 以上、今年の主なニュースを振り返りながら、2005年のブロードバンド事情を総括してみたが、なかなか面白い年であったのは確かと言えそうだ。ただ、ゲーム市場や家電市場などに関しては、まだまだ立ち上がったばかりで未成熟な面も多い。来年は、これらがどこまで普及し、ユーザーに受け入れられていくかがポイントだろう。

□関連記事:ソニー、Windows搭載PCで映像を視聴できる「ロケーションフリー」新製品
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□関連記事:イニシャルB第168回:外出先からPSPやPCで自宅のテレビが見られる画期的な製品
ソニーの新型ロケーションフリー「LF-PK1」
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2005/12/27 10:46

清水理史
製品レビューなど幅広く執筆しているが、実際に大手企業でネットワーク管理者をしていたこともあり、Windowsのネットワーク全般が得意ジャンル。最新刊「できるブロードバンドインターネット Windows XP対応」ほか多数の著書がある。自身のブログはコチラ
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