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オンラインゲームの可能性を広げる「ニンテンドーWi-Fiコネクション」

 任天堂が10月に正式発表したゲーム機向けのオンラインサービス「ニンテンドーWi-Fiコネクション」が、対応タイトル第1弾の「おいでよ どうぶつの森」の発売と同日の11月23日にサービスを開始した。さっそくニンテンドーWi-Fiコネクションを利用してみたので、使用感をレポートする。


「カンタン」「安心」「無料」がWi-Fiコネクションのコンセプト

ニンテンドーWi-Fiコネクション
 ニンテンドーWi-Fiコネクションとは、任天堂が携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」向けに提供するオンラインサービスで、他ユーザーとの対戦やコミュニケーションなどのオンラインプレイが可能になる。2006年発売予定の次世代ゲーム機「Revolution(開発コードネーム)」もWi-Fiコネクションへの対応が表明されており、任天堂の過去の家庭用ゲームソフトをWi-Fiコネクションを介してRevolutionへ配信するサービスが予定されている。

 Wi-Fiコネクションの特徴として任天堂が打ち出すコンセプトが、「カンタン」「安心」「無料」の3点。詳細は後述するが、ユーザーの設定の手間をできるだけ省き、さらにソフトによってはまったくの他人とは出会わなくて済むような仕組みを実装した。こうした配慮によって、オンラインゲームに対して心理的に抵抗のあるユーザーに対し、敷居を下げることが狙いだ。

 基本料が無料な点も特色の1つ。ニンテンドーWi-Fiコネクションのサービス自体は無料で提供されるほか、任天堂が発売するソフトはすべて無料でニンテンドーWi-Fiコネクションを利用できる。ただし、今後サードパーティーがニンテンドーWi-Fiコネクション対応タイトルを発売する場合には有料となる場合もあるという。


インターネットはDS同士の通信インフラ

ニンテンドーWi-Fiステーションの概要
 ゲーム機向けのオンラインサービスではあるものの、ニンテンドーWi-Fiコネクションはインターネットを意識させないつくりになっている。もちろん他ユーザーとの通信にはインターネットを利用しているものの、Webブラウザ閲覧やメール送受信といったインターネットの主要サービスは利用できず、あくまでインターネットはニンテンドーDS同士での通信インフラという位置付けだ。

 ハードとソフトの関連付けも特徴の1つ。Wi-Fiコネクションでは、対応ソフトのセーブデータと、そのデータで最初にWi-Fiコネクションに接続したハードのユーザー情報を紐付け、ソフト内に一括して保存する。このため、購入したソフトを別のDSに装着して遊ぶことは基本的にできない。もし違うDS本体にソフトを装着してWi-Fiコネクションに接続すると、今までの通信データの上に新たなデータが上書きされてしまうのだ。

 とはいえ、一度作成したデータを完全に他のハードで利用できないわけではない。たとえば新たなDSを購入した場合は、ユーザーデータを新しいDSへ移行できる。また、自分の使っていたハードを譲渡もしくは廃棄する場合は、ユーザー情報を削除することも可能だ。


設定方法は無線LANと同様。PC経由で接続できる専用アダプタも

Wi-Fiコネクションの設定画面
 実際にWi-Fiコネクションの利用方法を見てみよう。Wi-Fiコネクションの接続方法は大きく3つ。家庭内などに設置した無線LANアクセスポイントを利用する方法、専用アダプタを使ってPC経由で接続する方法、そして家電量販店などに設置された「ニンテンドーWi-Fiステーション」を利用する方法だ。

 まずは無線LANアクセスポイントを使った接続方法から。設定方法はPCの無線LAN設定と同様で、SSIDとWEPを設定画面から入力すればいい。WEPは64/128/152bitに対応し、ASCIIと16進法どちらでも入力可能で、付近のアクセスポイントのSSIDを検索できる機能も備えている。なお、TKIPやAESなどWEP以外の暗号化方式には対応していない。


すでに無線LAN環境があれば、SSIDとWEPを入力して接続できる アクセスポイントの検索機能

 バッファローの「AOSS」、NECアクセステクニカの「らくらく無線スタート」2通りの無線LAN設定システムもサポート。DS本体とアクセスポイントのボタン操作のみでSSIDやWEPを意識することなく設定を完了できる。設定画面にはAOSSとらくらく無線スタートそれぞれ専用の設定ボタンも用意されており、ウィザード形式で設定を進められるので非常に手軽だ。

 ADSLモデムやメディアコンバータとPCを直接接続しているなど、家庭内に無線LAN環境のないユーザーには、3,500円で別売されている専用アダプタ「ニンテンドーWi-Fi USBコネクタ」を使い、PCを経由してWi-Fiコネクションに接続できる。設定画面にもUSBコネクタ専用のボタンが用意され、PCのツールからDSの接続を許可すればWi-Fiコネクションへの接続が可能だ。

 ただし、USBコネクタが使えるのはWindows XPのみで、Windows 2000など他のWindows OSやMac OSでは利用できない。また、特殊な製品のために店頭での販売は行なわれず、任天堂や家電量販店のオンラインストア、Amazon.co.jpなどでのみ販売されている点も注意しておこう。


「らくらく無線スタート」「AOSS」での設定に対応 設定方法はウィザード形式で表示されるため手軽に設定できる

オンラインストア限定販売の専用アダプタ「ニンテンドーWi-Fi USBコネクタ」 接続先は3つまで登録可能。手動設定以外はアイコン表示される

ニンテンドーWi-Fiステーションは設定不要。有料公衆無線LANは利用不可

家電量販店などに設定されたニンテンドーWi-Fiステーション(写真はトイザらス磯子店のもの)
 外出先でのWi-Fiコネクション利用も2つの方法が用意されている。1つが家電量販店などに設置された「ニンテンドーWi-Fiステーション」を使う方法。もう1つはバッファローが主宰するFREESPOT協議会の公衆無線LANサービス「FREESPOT」を使う方法だ。

 ニンテンドーWi-Fiステーションを利用する場合、特別な設定は必要なく、店舗に設置された機器のそばでWi-Fiコネクションへの接続を選択するだけでいい。おそらくはニンテンドーDSの本体にあらかじめWi-FiステーションのSSIDとWEPがプリセットされているのだろう。Wi-Fiステーション付近でアクセスポイントを検索すると、数十文字のアルファベットを羅列したSSIDが発見されたため、これがWi-FiステーションのSSIDではないかと推測される。

 Wi-Fiステーションは現在、ビックカメラやヨドバシカメラといった家電量販店やトイザらスなどの玩具専門店などに設置されており、2004年末までに1,000カ所へ導入される予定。設置店舗はニンテンドーWi-Fiコネクション公式サイトから確認できる。


Wi-Fiステーション付近でのアクセスポイント検索結果。数十文字の英文字を羅列したSSIDが発見できた

IDとパスワードの認証が必要な公衆無線LANサービスではIPアドレスが取得できない
 これに対してFREESPOTでの利用は少々複雑だ。というのも、FREESPOTは特定の事業者が運営しているサービスではなく、FREESPOT用にカスタマイズされた無線LANアクセスポイントを使い、飲食店などが個別に開設しているサービスだからだ。このためSSIDやWEPの設定なども各店舗ごとに異なるほか、喫茶店や宿泊施設などでは施設の有料利用を条件にFREESPOTを利用できるというケースも存在する。

 ただ、設定方法そのものは家庭内と同様、SSIDとWEPで設定できる。また、FREESPOTは公式サイトからアクセスポイント設置場所を検索できるため、付近で利用しそうな場所はあらかじめ情報を調べておくといいだろう。

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)のHOTSPOTやNTTドコモのMzone、日本テレコムのBBモバイルポイントなど、SSIDとWEP以外にIDとパスワードでユーザーを認証する有料のサービスでは、現在のところWi-Fiコネクションを利用できない。これらサービスでは、SSIDとWEPの設定が正しくてもIDとパスワードを認証しない限りインターネットに接続できないからだ。

 FREESPOTは全国3,000カ所に設置されているが、その中心は宿泊施設などで、気軽に立ち寄れる場所はそれほど多くはない。また、Wi-Fiステーションは家電量販店に設置されるものの、ゲーム売り場などに設置されていることがほとんどのため、ゆっくりWi-Fiステーションを楽しむ環境も難しいだろう。できれば有料の公衆無線LANサービスでも利用できるような対応も期待したいところだ。


Wi-Fiを通じて友達が訪ねてくる「おいでよ どうぶつの森」

Wi-Fiコネクション対応第1弾の「おいでよ どうぶつの森」
 では、実際にニンテンドーWi-Fiコネクション対応タイトルの第1弾「おいでよ どうぶつの森」をプレイしてみよう。「おいでよ どうぶつの森」は、ゲーム内の村の中という仮想空間で自分の家を持ち、魚釣りをしたりお金を稼いで自分の家を飾り付けたりと、ゲームの中の空間を自由に暮らせるゲームだ。ゲームは現実の時間と連動しており、現実の時間が夜になればゲーム内も夜になり、四季に合わせてゲーム内の景色も移り変わっていく。

 「おいでよ どうぶつの森」では、ニンテンドーWi-Fiコネクションを使うことで、友達の村へ遊びにいったり、逆に友達を招待することが可能になる。ただし、誰とでもコミュニケーションできるわけではない。ユーザーにはそれぞれ個別の「ともだちコード」というIDが発行され、これを知人と交換し合うことで初めてお互いの村を訪問できるようになる。

 ともだちコードはゲームをある程度進めると、それぞれの村にいる門番から入手できる。この12桁の番号をあらかじめ友達同士で登録し、さらにWi-Fiコネクションにつないで自分の村の門を開けておくと友達が自分の村に尋ねてくることができる仕組みだ。このともだちコードがソフトとハードを関連付けして固有に割り当てられるユーザーIDの役割を果たしている。


ゲームのスタート画面からWi-Fiコネクションを設定できる ゲーム内で本体のデータをセットで取り扱う旨が説明される


ともだちコードをお互いに登録すれば、友達の村へWi-Fiコネクションを使って遊びに行ける
 村の門を開けっ放しにしていても、自分がともだちコードを登録していないユーザーは入ってくることができないので、知らない人が村に入ってくることはない。また、DSを閉じたスリープ状態でも通信は継続するが、電源を切ると通信は切断され、村の門も閉じられる。

 同様の機能は、インターネットを使わずに直接ニンテンドーDS同士でワイヤレス通信を使っても実現できる。ただし、友達同士が1カ所に集まらなければ楽しめないワイヤレス機能よりも、場所を問わずインターネットに接続できれば一緒にプレイでき、しかも無料のWi-Fiコネクションははるかに利便性が高いだろう。

 ともだちコードで登録した友達とした遊べないという仕様は制限が厳しいようにも思えるが、これは「おいでよ どうぶつの森」のWi-Fiコネクション対応機能がコミュニティを中心としているためだ。12月8日発売の第2弾タイトル「マリオカートDS」は他ユーザーとの対戦がメインであり、ともだちコードをつかわずに見知らぬユーザーとも対戦できる。ゲームのコンセプトによって柔軟に仕組みを使い分けられる点も、Wi-Fiコネクションの魅力の1つと言えそうだ。


「すぐに楽しめる」ネットワークゲーム市場開拓へ

 らくらく無線スタートやAOSSといった設定システムの採用やUSBコネクタの発売により、ニンテンドーWi-Fiコネクションでは無線LANの導入でも障壁となりがちな設定の煩雑さをうまく対処している。また、知らない人と出会うという不安感を「ともだちコード」という仕組みで拭い去り、そのためにハードごと固有のIDを発行しながらも、情報の移行や削除にも対応するなど、細部にまで気が配られている。

 オンラインゲームといえばPC向けタイトルが盛んだが、PCに高スペックが要求されるタイトルも多く、敷居は決して低いとはいいがたい。また、家庭用ゲーム機であれば対応タイトルを購入すれば同じ条件で利用できるが、インターネットへの接続設定などを考えると「買ってきてすぐに楽しめる」ほどに簡単ではないだろう。「カンタン」「安心」「無料」を実現し、手軽に持ち運べる携帯ゲーム機でのオンラインサービスを実現したニンテンドーWi-Fiコネクションは、オンラインゲームの市場を広げる可能性を秘めていると感じた。


関連情報

URL
  任天堂
  http://www.nintendo.co.jp/
  ニンテンドーWi-Fiコネクション
  http://wifi.nintendo.co.jp/

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(甲斐祐樹)
2005/11/24 11:32
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