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【ネットブック特集】
第2回:ネットブックに最適な定額データ通信サービスを検証

 ネットブック特集の第2回は、定額で利用できるPC向けデータ通信サービスの中からネットブックに適したサービスを紹介。また、最近話題となっているイー・モバイルとネットブックのセット割引についても分析する。





USBが基本のネットブックは利用サービスが限られる

ネットブックの外部接続インターフェイスはUSBが中心
 PC向け定額サービスはNTTドコモ、KDDI、イー・モバイル、ウィルコムの4社が提供しているが、外部接続のメインインターフェイスがUSBであるネットブックの場合、KDDIはUSB接続型の定額対応データ端末が存在しない。USB経由でPCに接続できるアダプタを使う、といった方法もない訳ではないが、今回はネットブックに直接接続できるUSB接続型の端末を前提とし、NTTドコモ、イー・モバイル、ウィルコムの3サービスに絞って比較する。

 なお、KDDIは、音声端末向けの定額プランでPCも定額で利用できるサービスを10月27日に発表したが、PC接続時の上限は1万3650円と1万円を大きく超えてしまい、携帯電話向け定額プランの上限との差は7665円と、音声端末と別に定額データプランを契約できるほどの価格。あくまで音声端末で一時的にPCに接続するユーザー向けのプランのため、今回の特集では紹介を割愛する。

 基本的にCD/DVDドライブを持たないネットブックでは設定手順も重要。イー・モバイルの「D12LC」「D02HW」などのUSB接続型端末はメモリも内蔵、ドライバなどの設定ファイルが本体に含まれているため、CD/DVDを必要とせず設定できる。

 NTTドコモとウィルコムは基本的にCDインストールが前提。ただし、どちらもインターネットにドライバなどが公開されているので、外付けCDドライブがなくてもインターネット接続環境があれば設定は可能だ。





NTTドコモが下り7.2Mbpsへ高速化。パケット制限も緩和

 スペック面では、NTTドコモが4月1日より下り7.2Mbpsの高速化を実施し、イー・モバイルと速度面で同等となった。また、当初はWeb閲覧やメール送受信などに制限されていたパケット通信制限も段階的に緩和され、VPN通信やFTP、TCPポート(1024〜65535)が利用可能になった。

 現状で利用できないのはストリーミング動画やメッセンジャー、VoIPアプリケーション、オンラインゲームなど。ストリーミング動画に関してはYouTubeのようなFlash型であれば再生は可能だ。また、メッセンジャーに関してはブラウザベースの簡易版「MSN Web Messenger」やGmail上で動作するチャット機能などであればテキストチャットは利用できる。

 このほかの制限として、ドコモの場合はHTTPでのファイルダウンロードが300MBまで、大量の通信を行った場合などは回線が切断される場合があるまた、イー・モバイルも大量の通信があったユーザーの回線を切断する場合があると利用規約定めているほか、一部ユーザーの帯域制限も検討している。





通信速度はNTTドコモとイー・モバイルが高速

左からウィルコムの「DD」、イー・モバイルの「D02HW」NTTドコモの「A2502」
 NTTドコモ、イー・モバイル、ウィルコムの回線を利用し、実際に通信速度を計測。ネットブックはASUSTeK Computerの「Eee PC 901-X」を使い、データ通信端末はすべてUSB接続型のモデルで、NTTドコモが「A2502」、イー・モバイルが「D02HW」、ウィルコムが「DD(WS002IN)+RX420IN」。理論上の下り最大速度はNTTドコモとイー・モバイルが7.2Mbps、ウィルコムがW-OAM対応で204kbpsとなる。速度の測定にはspeed.rbbtoday.comを利用した。

 NTTドコモとイー・モバイルは同じHSDPA技術を採用したサービスだけに、測定結果にそれほど違いはなく、下りの通信速度は2Mbps近い結果を残した。一方、理論値の時点で文字通り桁の違うウィルコムは100kbps前後の数値となった。

 なお、今回はネットブックで利用できる端末を対象としたため、USB接続型の「DD」を使って計測したが、11月にはUSB経由で最大512kbpsの「W-OAM TypeG」が利用できる「AX530S」が発売される。こちらを利用すればさらなる高速化が見込めるだろう。


A2502の接続イメージ 同梱のアダプタでディスプレイ部にも設置できる

D02HWの接続イメージ DDの接続イメージ
事業者 方向 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 平均
ドコモ 下り 3.04Mbps 2.66Mbps 2.24Mbps 1.51Mbps 2.33Mbps 2.36Mbps
上り 297kbps 366kbps 367kbps 365kbps 368kbps 353kbps
イー・モバイル 下り 2.27Mbps 2.58Mbps 2.94Mbps 1.92Mbps 2.33Mbps 2.41Mbps
上り 363kbps 366kbps 368kbps 366kbps 362kbps 365kbps
ウィルコム 下り 169kbps 117kbps 156kbps 165kbps 201kbps 162kbps
上り 53kbps 55kbps 55kbps 59kbps 72kbps 59kbps
speed.rbbtoday.comの測定結果





最安値はウィルコム。ドコモも2年契約で大幅割引

 定額データプランにとって料金も重要なポイント。どんなに高速なサービスでも料金が高ければ月額契約は手を出しにくい。

キャリア プラン ISP 料金
ドコモ 50万パケット
(約62MB)
50〜70万パケット 70万〜100万パケット 上限
定額データプラン HIGH-SPEED 840円 4200円 +0.0126円/パケット 10500円
定額データ割 +0.0126円/パケット 6720円
定額データプラン HIGH-SPEED バリュー 3465円 +0.0126円/パケット 9765円
定額データ割 +0.0126円/パケット 5985円
イー・モバイル ライトデータ 無料 9万3400パケット
(約11MB)
9万3400パケット〜 上限
1980円 +0.0105円/パケット 5480円
スーパーライトデータ 2万3825パケット
(約3MB)
2万3825パケット〜 上限
1000円 +0.042円/パケット 4980円
ギガデータ 838万8700パケットまで
(約1GB)
838万8700パケット〜 上限
3980円 +0.0105円/パケット 9980円
データ 4980円
ケータイプラン 2万3825パケット
(約3MBまで)
2万3825パケット〜 上限
1000円 +0.042円/パケット 4980円
ウィルコム 新つなぎ放題 315円
(IIJmio)
3880円


 NTTドコモのプランは上限が1万500円と非常に高額だが、2年契約の割引プラン「定額データ割」で最大3780円が割り引かれるようになり、ぐっと利用しやすい料金になった。

 なお、NTTドコモの定額データプランは、端末代金を一括もしくは分割購入することで月額料金がさらに割り引かれる「バリュープラン」もあるが、これはUSB接続型のA2502は契約の対象外。バリュープランを利用するにはN2502もしくは通常の音声端末をデータプランで契約する必要がある。

 イー・モバイルのプランは、細かな点を除けば2年契約前提で上限が4980円の「スーパーライトデータ」、1GBまでは3980円で、上限は9980円の「ギガ」の2種類と考えていい。というのも、完全定額の「データ」の上限は4980円とスーパーライトデータと同額であり、ライトデータは1980円から5480円と上限、下限ともにスーパーライトよりも高いためだ。

 音声端末用のプラン「ケータイプラン」も、課金はスーパーライトデータと同額のため、これは音声端末用のスーパーライトデータと考えればよい。なお、上限が同額であるスーパーライトデータとデータの違いはADSLサービスで、イー・モバイル契約者向けのADSL無料特典はスーパーライトデータでは利用できない。

 ウィルコムも料金プランが多様だが、データ通信を主目的で考えるのであれば「新つなぎ放題」がもっとも安価。また、10月1日からは新つなぎ放題で音声通話も利用できるようになったので、スマートフォンで契約するのもいいだろう。ただし通話料金は30秒31.5円と、携帯電話で月額料金が最も安いプランやソフトバンクのホワイトプランよりも高い料金である点は注意。





イー・モバイルはエリアが課題

イー・モバイルの人口カバー率は2008年6月末のデータで85%。2008年にエリア別で70〜80%の達成を目標としていた
 料金、速度以外で気になる要素はやはりエリアの問題。この点ではやはりNTTドコモがパケット制限はあるものの、全国でほぼ利用できるという点は心強い。ウィルコムもNTTドコモほどではないが人口カバー率は99%を達成しており、エリアはほぼ全国で使えると言っていいだろう。

 一方、イー・モバイルは首都圏のエリアは充実しているものの、全国のカバー率や地下鉄・地下街などのエリアはそれほど広くはない。イー・モバイルでも地下街や全国でのエリア拡充を進めてはいるが、利用を検討する場合はまずエリアを自分で確認しておくといいだろう。





いずれも一長一短。利用シーンに合わせた選択を

bモバイル3G
 3サービスを比較すると、いずれも一長一短。料金や速度はイー・モバイルのコストパフォーマンスが高いがエリアに課題があり、NTTドコモはエリア、通信速度は魅力だが料金が他より高くパケット制限も行われる。ウィルコムは低額かつ全国で利用でき、パケット制限も行われていないが、NTTドコモ、イー・モバイルと比べると通信速度の遅さが目立つ。

 いずれにしてもどのサービスも一長一短であり、すべてにおいて秀でたサービスは存在しない。また、ウィルコムとイー・モバイルはデータ通信用の契約で音声端末としても利用できるというメリットも存在する。自分がどのような場面で利用したいのかを考えた上で、契約を検討するといいだろう。

 なお、NTTドコモの回線を利用したMVNO型サービスである日本通信の「bモバイル3G」は、トラフィック制限は行っているものの、NTTドコモのようなプロトコル制限は行っていないため、SkypeやWindows Live メッセンジャーでのテキストチャットも利用できる。価格は150時間利用できる「bモバイル3G アワーズ150」で39900円と高めだが、最大利用期間は480日間あるので、データ通信は時々しか利用しないというユーザーには利便性が高そうだ。





ネットブックとイー・モバイルのセット割引を分析

 ネットブックには欠かせない存在として、最近家電量販店などで行われているイー・モバイルとネットブックのセット割引の仕組みも言及しておこう。ネットブック購入時にイー・モバイルを契約することで、販売価格よりも安価に購入できる。

都内店舗の販売価格一例
メーカー 型番 割引前 割引後
ASUSTeK Eee PC 701-X 3万9800円 100円
Eee PC 901-X 5万4800円 9980円
Eee PC 1000H-X 5万7800円 1万2980円
エイサー Aspire One 5万4800円 9800円
デル Inspiron mini 9 5万4800円 9800円
東芝 NB100 6万9800円 2万4980円


 ネットブックの購入とイー・モバイルの契約を両方検討しているユーザーには魅力的なプランに思えるが、このセット割引は通常といくつか違う点がある。その1つが、契約できるプランが、多くの場合料金プランが「スーパーライトデータ にねんMAX」に固定されていることだ。

 通常契約時に利用できる2年契約の「新にねん」は、利用開始月の契約解除料が2万4000円。これに対してにねんMAXは利用開始月の契約解除料が6万9600円と高額に設定されており、ネットブックを安価に購入してイー・モバイルを即解約するといった行動ができないようになっている。

 そしてもっとも重要なのが月額料金の上限。通常のデータ端末を新にねんとスーパーライトデータで契約した場合の上限は4980円だが、スーパーライトデータプラン にねんMAXの場合は6880円。その差は月額1900円で、2年契約で換算すると4万5600円の差となり、最終的にはネットブック購入時に割り引かれたのとほぼ同等の金額を支払うことになる。また、100円で購入できるEee PC 701Xの場合、割引額が3万9700円のために、セット割引を使わずに購入した方が結果的に安価だ。

 ネットブックとのセット割引は割引というよりも割賦制度に近く、購入時に割り引かれた金額はのちのちの通信料金で支払うことになる。初期費用が安いほうを好むか、月々の支払いを抑えるほうが得かはユーザーの判断次第だが、一括購入であれば家電量販店のポイント対象ともなる。初期費用が抑えられるメリットはあるものの、決して「お得」になっている訳では無い点は注意だ。


関連情報

URL
  定額制データ通信(NTTドコモ)
  http://www.nttdocomo.co.jp/service/data/foma/flat_rate/
  イー・モバイル
  http://emobile.jp/
  ウィルコム
  http://www.willcom-inc.com/ja/index.html

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(甲斐祐樹)
2008/10/29 11:59
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